一言で皮膚炎と言っても、その原因や症状も様々なものが存在します。また、様々な病気が引き金となって皮膚炎を引き起こす場合も。その中でも比較的多く発症する皮膚炎について、症状や原因、対策について取り上げていきたいと思います。

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皮膚炎について


犬を悩ませる病気のひとつに「皮膚炎」があります。昨今のペットとして飼われている犬の悩みの上位に上がるほど、皮膚のトラブルを抱えた犬が多くいるのです。

こうした背景には、アレルギーによって引き起こされる皮膚トラブルが非常に多く、様々なフードやシャンプーなど、皮膚やアレルギー対策の商品が多く販売されています。

また、アレルギーによる問題ばかりでもありません。飼育環境による皮膚への影響もあれば、散歩中やドッグラン等でダニなどに寄生されたことで皮膚炎を発症することも、少なからずあるのです。

ノミが原因となる「ノミアレルギー」

非常に強い痒みを伴うノミアレルギー性皮膚炎。かゆみの原因は、ノミの唾液が原因で引き起こされる「ノミアレルギー」による反応です。

強い痒みと発疹、脱毛といった症状が見られ、皮膚が痒いために、壁に擦りつけたりかきむしってしまうことで、皮膚が傷ついてしまい、皮膚は荒れていきます。
その結果、更に症状が悪化してしまい、患部が化膿してしまったり、他の細菌に感染してしまい「膿皮症」を併発してしまったりもします。

また、怖いのはこれだけではなく、ノミは血を吸い始めてからわずか数日で卵を産み、絨毯やクッションなどに卵が落ちていくのです。そして、その後は孵化をし、成長を繰り返していくため、ノミにとって好条件の環境であれば、どんどんノミが増えていってしまうのです。

餌となる環境を作らないこと

ノミアレルギーを発症した場合には、痒みを抑えるための抗アレルギー薬の投与に加え、早急にノミの駆除を行う必要があります。

また、犬を飼育している場所の掃除も欠かせません。前述の通り、ノミは絨毯やクッションに落ち、また新たな子孫を残し続けていきます。ノミは絨毯に落ちている卵から孵りますが、犬に付着しているノミは犬の血を吸血し、その殆どを糞として排泄します。

この糞が絨毯へ落ち、小さなノミは糞を食べて成長、大きくなって再び犬に寄生するというサイクルを送ります。

こうした状態にならないよう、絨毯をはいだり、愛犬が使っているクッションやベッド、ブランケット等は徹底的に洗うようにしましょう。飼育環境は常に清潔な状態に保つことが大切といえます。

様々な要因が関係する「アトピー性皮膚炎」

犬にも「アトピー」と呼ばれる皮膚炎の病気は存在します。症状は人間と同じ感じですが、脱毛症も引き起こしてしまいます。アトピーの原因には、環境によるものや、食物アレルギーによるものなど、様々な原因が関係しているのです。

食物アレルギーの場合には、病院でパッチテストを受け、どの成分・食べ物がアレルギーを引き起こすのかを確認することが出来ます。これが原因とわかれば、その食べ物を摂取しないことで、脱毛症を防げる場合もあるでしょう。

また、環境が要因となる場合には、環境整備が重要になります。大変ではありますが、愛する愛犬のため、アレルゲンを無くした環境を作るようにし、治療を行う必要があるでしょう。その原因がカビ等の場合には、常に清潔な状態で飼育する必要があります。

脱毛症のみならず、他の病気も引き起こしかねませんので、飼育環境は常に綺麗にするようにしましょう。

免疫力の低下で引き起こす「アカラス」

アカラス症の原因となるイヌニキビダニ。感染経路の多くは母犬からの感染で、若年の犬が発症しているケースが多く見られます。これは、犬の免疫力が下がっている時に、アカラス症を発症するためで、子犬や若年の犬が免疫力が低い為に、発症するものです。

ただし、成犬でも発症する場合はあります。この場合も、免疫力が下がっている場合になりますが、病気による免疫力の低下、主に「糖尿病」や「甲状腺機能低下症」「アトピー性皮膚炎」といった、体の免疫力が下がる病気をした際に、アカラス症を発症する場合があるのです。

アカラスはこのように病気等、犬の体が弱まることで悪さをする皮膚病でもあります。逆に免疫力を下げなければ、アカラスの症状も大きなものにはならないでしょう。

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悪化することで出血することも


アカラス症を発症すると、脱毛の症状が現れます。また、脱毛のほかにも、体を痒がったり、患部が荒れてきたりといった症状も見られます。病状が進行していくと、肌はカサカサになりフケを伴い、目の周りなども含めた全身が、アカラス症となっていきます。

症状が悪化することで、皮膚が化膿したり出血を伴ったりもしてしまいます。

基本的な治療は、駆虫薬を使用してのアカラス駆除が基本となります。しかし、犬の免疫力の状態や体調によって、アカラス症を再発する場合もあります。

完全な死滅ができないために、免疫力が下がる度に症状が現れる場合もあるので、継続的に治療を行う必要があります。また、原因が病気等でわかっている場合には、免疫力を下げる根本となるものを完治させることも大事になります。

ズーノーシスで知られる「疥癬(かいせん)」

「ヒゼンダニ」というダニに寄生されてしまうことで発症する「疥癬」。疥癬を発症することで、激しいかゆみが起こり、やがてかきすぎてしまったために患部が傷だらけになり、フケが出たり皮膚がかぶれたりといった症状が出てきます。この患部が今度はかさぶたの状態になり、次第にフケが混ざったり、脱毛が激しくなっていってしまいます。

疥癬を完治させるまでには、持続的に投薬等の治療を施していきながら、約1ヶ月〜1ヶ月半程度の期間を要します。また、この間には他に感染を広げないためにも、十分に気をつけて生活をしていかなければいけなくなるのです。

また、気をつけなければいけないのが、疥癬に感染するリスクはどこにでもあり、同じ犬同士はもちろん、人間にも感染してしまう場合があるということです。

犬の病気が人にもうつる「ズーノーシス」とは

「ズーノーシス」とは「人畜共通感染症」と呼ばれるもので、犬や猫の病気が人間にもうつる感染症の総称です。犬から人へ、逆に人から犬、また、犬にかかわらず猫や小動物にもズーノーシスである感染症は存在します。

その中でも疥癬は代表的なもので、犬が疥癬に感染・発症している場合は他の同居動物はもちろん、飼い主さんも疥癬に感染している可能性は高いと言えます。疥癬が人に感染した場合、早ければ4〜5日で、遅ければ1〜2ヶ月潜伏し、症状を発症する場合がありますので、注意が必要です。

愛犬が疥癬になっている場合、完治させるまでの間は飼い主さん自身も疥癬に感染しないよう、ビニール手袋をはめて処置するなど、最新の注意を払わなければなりません。

飼い犬も飼い主も悩まされる皮膚病なので、しっかりと内容を理解し、予防に努めることが大事になってくるでしょう。

餌も皮膚炎を引き起こすことも


上記に挙げられた皮膚炎以外にも、様々な皮膚炎が存在しますが、こうした皮膚炎を防ぐためには、まずは食の管理と生活環境を整える事が重要になるでしょう。

ご飯が愛犬の体質に合わなければ、十分な栄養をドッグフードから摂取することができず、免疫力が低下してしまう場合があります。また、愛犬がドッグフードに使われる原材料にアレルギーを持っていれば、食物アレルギーを引き起こし、皮膚炎を引き起こすなどの皮膚トラブルを起こしてしまうことも。

食物アレルギーにも「穀物類」や「チキン」といったように、何に対して食物アレルギーを引き起こしているかを把握する必要があります。中でも近年増加しているのが穀物に対してのアレルギーで、穀物アレルギーに配慮した「グレインフリー」とよばれる、穀物類不使用のドッグフードも登場しています。

食事の管理はしっかり行いましょう

食物アレルギーを発症した場合、始めは犬の薄皮の部分が赤らんでくるなどの症状や、目やにが増えるなどの症状が見られるようになります。例えば、犬の腕の付け根や指の水かき部分など、皮膚の薄そうな部分です。

食物アレルギーが疑われる場合には、動物病院で一度パッチテストと呼ばれる、アレルギーチェックを行うことをおすすめします。何がトラブルになっているかをしっかりと把握し、その原料を使用していないドッグフードを選ぶ必要があります。

このように、食事の管理を疎かにしていると様々なトラブルを生じるきっかけにもなります。食べさせていれば問題ないと考えず、十分な栄養管理を行った上で、愛犬の食事の管理はしっかりと行うようにしましょう。

シャンプーは大事なケア

皮膚炎を予防するためには、外出時・外出後のケアも効果的です。どこか遠出した時やドッグランなどに行ったあとには、できるだけシャンプーをするようにしましょう。外にはダニやノミ、その他にも様々なウイルスが潜んでいると考えたほうが良いです。

今回ご紹介した皮膚炎でも、他の犬と接触することで感染するものもありました。特に疥癬などはリスクの高いものと言えるでしょう。皮膚炎を引き起こす前の予防策としてシャンプーをし、常に清潔な状態を心がけるようにしましょう。

また、皮膚炎を引き起こした時には皮膚も弱ってしまっています。低刺激のシャンプーでなければ更に症状が悪化してしまう場合もありますので、低刺激性のシャンプーや、皮膚トラブルに対応した消炎効果のあるようなシャンプーがおすすめとなります。

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