様々な犬の病気が存在しますが、その中でも「腫瘍」を伴う病気というものは、原因がわからない場合も多い病気も多く、早期発見・早期治療が望まれるものが多いです。今回は腫瘍を伴う病気について解説していきたいと思います。

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「腫瘍」について

犬にも、人と同様に「癌」や「腫瘍」というものが体に出来てしまいます。その原因がわからないものもありますが、人間よりも体の小さい犬では、悪性腫瘍が発生した場合、進行が早いものがおおく、早期発見・早期治療が望まれます。

また、腫瘍=癌というわけでもなく、悪性のもの・良性のものが存在します。腫瘍に対する知識をある程度もっていると、犬を触った時に「しこり」があった場合など、悪性なのか良性なのかの判断は難しいものの、ある程度の状況判断はつくので、日頃の健康チェックに役立てられるでしょう。

何よりも、癌や腫瘍の症状を、いち早く見つけ、いち早く治療することが大事になりますので、ちょっとした変化がわかるよう、腫瘍に対しての知識を身に着けてみましょう。

口の中にできる腫瘍「メラノーマ」

「メラノーマ(悪性黒色種)」は、犬の口腔内にできる悪性の腫瘍で、口腔内メラノーマとも呼ばれることがあります。舌の部分や粘膜部分に腫瘍が出来ることが多く、黒っぽいしこりが発生しますが、初期症状では症状がわかりにくいため、気が付かないことも多い病気でもあります。メラノーマが進行していくと、口臭が臭く・酷くなったり、よだれが増え、咳き込んだり、口から出血する場合もあります。

また、メラノーマは進行が早いという事と、転移しやすい腫瘍としても知られます。口腔内のみならず、肺などに転移してしまっている場合、その処置は非常に難しく、手遅れの状態になってしまっている事もあります。こういった症状が見られる場合には、すでに腫瘍自体が大きくなっている可能性もあり、外科手術を施すなど、早急な対応が必要となるでしょう。

残念ながら、何故メラノーマができるのかという事はわかっていませんが、一般に、被毛の生える皮膚に発生するメラノーマは良性であると言われ、悪性のものは口腔内や爪の下、肉球、唇、眼瞼部などに発生すると言われております。

このように、メラノーマを予防する事はできませんが、定期的な健康診断は重要です。また、自宅内でもチェックできるように、歯や口の中を見る「癖」を付けさせるようにすることも効果的でしょう。このようにして、自宅内でも見られるようにしておけば、口の中にほくろのような物を発見した際に、定期的にチェックが可能になります。また、歯垢や歯石を見つけることも容易になるでしょう。

しこりを伴う場合も多い「リンパ腫」

リンパというものは、全身に張り巡らされている血管と寄り添う「リンパ管」と呼ばれる管と、その中に流れる「リンパ液」の事を指します。このリンパには体の老廃物が流れており、体の免疫機能で流れてきた老廃物や病原菌を「リンパ球」が集まる「リンパ節」で掃除しています。リンパ節は、「扁桃腺」「胸腺」「骨髄」「腸内のパイエル板」など、体の様々な部位に存在しています。

このようにして、感染症などが体に回らないように掃除しているのがリンパなのですが、免疫力などが低下し、掃除が間に合わなくなることで、リンパ節に老廃物や病原菌が溜まってしまい、リンパ球が腫瘍化してしまうのです。これが、「リンパ腫」と呼ばれるものです。

犬がリンパ腫を発症する、その多くが多中心型リンパ腫と呼ばれるものです。症状は主に、体にできるしこりが特徴となりますが、痛みを伴わない場合が多く、触診しても明らかにわかるほどに大きく腫れ上がってしまうため、見た目でも確認することが可能となるでしょう。元気の減退や食欲の低下がみられるようになり、嘔吐や下痢、免疫力も低下してしまい、「肺炎」や「膀胱炎」と言った感染症を併発してしまうようになるのです。

愛犬を撫でていた際に「しこり」に気付く事が多いようですが、その腫瘍も内部から始まり、転移してしこりが発生していることも考えられるため、まずは検査が急がれます。
触れてわかればまだ良いのですが、体の内部でリンパ腫が出来てしまうと、なかなか気が付くことも出来ないため、症状が広がる前に早期発見・早期治療が望まれるのです。

大型犬に多く見られる「骨肉腫」について

「骨肉腫」は、骨の癌と呼ばれる病気です。骨に含まれている組織が癌化してしまうために発症する病気で、大型犬や超大型犬種に多く見られる病気です。犬種では、「ゴールデン・レトリバー」や「ラブラドール・レトリバー」「グレート・ピレニーズ」「シベリアン・ハスキー」と、いずれも10kgを超えるような大型犬種が名前を連ねます。原因はわかっていないものの、体の重さが関係しているような数字も出ているため、大型犬種を飼育している場合には、骨肉腫を意識し、注意する必要がありそうです。

骨肉腫を発症すると、犬が足をひきずって歩くといった様子が見られるようになり、この他にも、患部の骨が腫れ上がったりという症状も見られるでしょう。腫れ上がった患部は硬い腫れとなります。また、骨肉腫を発症する箇所も偏っており、四肢に多く発症する傾向にあります。中でも、「太ももの骨」や「すねの骨」「上腕骨」といった箇所に多く見られ、他にも「頭蓋骨」や「下顎」、「肋骨」といった部分にも発症することがあります。

一番恐ろしいのは、骨肉腫が転移しやすく、その病状の進行が早いということです。転移は、同じ関節内にはみられない事が多いですが、肺に転移する場合が多いため、注意が必要です。しかし、骨肉腫の症状に気がついた時には、すでに肺に転移しているという事も多いのが、この骨肉腫の最も恐ろしい特徴なのです。

残念ながら、骨肉腫を完全に予防する手段はありません。そのため、早期発見が何よりも重要になってきます。そのためには、まずは骨肉腫がどのような病気なのか、どのような場所に骨肉腫が発生するのかという事を、知っておく必要があります。

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