犬の体を苦しめる病気の一つに腫瘍がありますが、この腫瘍の中でも特に多く見られる皮膚がんの元となるのがこの肥満細胞腫です。肥満細胞とよばれる細胞が腫瘍化してしまうことで引き起こされる腫瘍ですが、今回はこの肥満細胞腫に関して解説していきます。

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皮膚にできる腫瘍「肥満細胞腫」とは?

犬にも、人と同様に「癌」や「腫瘍」というものが体に出来てしまいます。しかし、腫瘍=癌というわけでもなく、腫瘍にも悪性のもの・良性のものが存在します。その原因がわからないものもありますが、人間よりも体の小さい犬では、悪性腫瘍が発生した場合、進行が早いものがおおく、早期発見・早期治療が望まれます。

そんな腫瘍を伴う病気の一つに「肥満細胞腫」という病気があります。この肥満細胞腫は腫瘍が皮膚に見られる病気として知られており、症状も様々です。また、良性・悪性いずれの場合もありますが、悪性の肥満細胞腫である場合、最も多く見られる皮膚がんが、この肥満細胞腫です。

肥満という呼称が入っていますが、肥満細胞腫の「肥満」は、体が太ってしまうことで起きる肥満とは別のもので、「肥満細胞」と呼ばれる細胞の事を指しています。肥満細胞は、体中に存在する細胞で、主にアレルギー、炎症といった症状に関係している細胞です。この肥満細胞が腫瘍化してしまうことで、肥満細胞腫となってしまいます。

腫瘍に対する知識をある程度もっていると、犬を触った時に「しこり」があった場合など、悪性なのか良性なのかの判断は難しいものの、ある程度の状況判断はつくので、日頃の健康チェックに役立てられるでしょう。何よりも、癌や腫瘍の症状を、いち早く見つけ、いち早く治療することが大事になりますので、ちょっとした変化がわかるよう、腫瘍に対しての知識を身に着けてみましょう。

肥満細胞腫の症状

一見すると虫刺されのようにも見える事もある肥満細胞腫。皮膚に発症することは共通しているものの、その見た目や発症部位、形態などは様々です。好発犬種には「ボクサー」や「ボストン・テリア」「ラブラドール・レトリバー」「スコティッシュテリア」「ポインター」「バセット・ハウンド」「ブルドッグ」等が挙げられます。しかし、いずれの場合も原因不明である事が多いようです。

肥満細胞腫の症状には、しこりや腫れといった症状が見られる他、下痢や嘔吐、脱毛、皮膚の炎症などが挙げられます。こうした症状にも様々なパターンがありますが、本来、肥満細胞が持つ血管を拡張させる効果や、胃酸を分泌させる効果、血液の凝固を抑制し、傷の治りを遅らせるといった働きが機能しなくなるため、胃潰瘍や不整脈、気管支収縮などの症状を引き起こすこととなります。

肥満細胞が持つ物質の中でも、特に有名な物質が「ヒスタミン」と呼ばれる物質で、血圧降下、平滑筋収縮、血管透過性亢進などの重要な働きをする物質でもありますが、肥満細胞腫を発症することで、逆にヒスタミンが様々な悪影響を引き起こしてしまうのです。そのため、「ヒスタミン誘発性腫瘍随伴症候群」と呼ばれる場合もあるようです。

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肥満細胞腫の治療について

肥満細胞腫の治療に関しては、腫瘍の悪性度のグレードによっても治療方法が変わっていきます。3段階に分かれるグレードによっては転移する可能性も変わり、治療だけで済む場合もあれば、術後も治療を行う必要がある場合もあります。また、再発性も変わり、早期に見つけることが出来るかで、完治できるか否かという事にも関わってきます。

悪性度が一番低い段階では、転移する可能性も低く、再発する可能性も少ないでしょう。また、治療に関しても外科手術を行うことで、ほぼ完治する見込みも高くなります。
一方、もう1段悪性度が上がると、転移の可能性も高くなり、再発の可能性も高いです。治療に関しては、完治する場合も無くもないですが、その多くは再発や転移によって進行してしまい、術後も治療を続けていく事となるでしょう。

悪性度が最も高い状態である場合、転移も起こしやすく、再発の可能性も非常に高くなります。ほぼ確実に術後の抗がん剤治療を行う必要があり、こうした治療を行ったとしても完治することは難しいでしょう。転移に関しても、リンパ節、肝臓、秘蔵といった場所への転移が多く見られ、様々な病気を併発してしまうこととなります。

さいごに

犬にとっても、人間にとっても、癌は非常に恐ろしい病気です。病状が進行し、腫瘍が見つかってからでは遅いことも多いため、いかに早く腫瘍を見つけ、切除するかが大事になるでしょう。こうした事態を避けるためにも、最低でも年1回の健康診断を受けるようにしたいところです。

ついつい症状がでてから病院に連れていきがちではありますが、定期検診を行うことで、病気の予防にもなりますし、万が一の場合にも、かかりつけ医があるというのは、非常に安心出来るものです。1日でも多く、愛犬に長生きしてもらえるよう、日頃から健康チェックする癖をつけてみてもいいかもしれませんよ。

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