ハムスターのおやつにもなる「果物」。上手に果物を利用することで、ハムスターとのコミュニケーションツールとしても、ハムスターの健康を維持するためにも、非常に効率の良い「おやつ」になります。今回は、果物の効能と与え方について調べてみました。
おやつにも最適な「果物」
ハムスターの毎日の主食は、ハムスターの体のことを考えて作られた「ハムスター用のペレット」がペットショップなどで売られていますから、ペレットとお水があれば充分に栄養バランスがとれるわけですが、時々は「おやつ」を添えてあげたくなりますね。
ハムスターにとってのおやつですが、今回はその中でも、おやつに最適な「果物」について触れていきたいと思います。果物は、スーパーなどでも簡単に手にいれることが出来ますし、自分の目で確かめて新鮮なものを選ぶことができますね。
ハムスターのおやつに最適な果物と便利な加工品
ハムスターにとって最適な果物は、「リンゴ」「バナナ」「ブドウ」「イチゴ」「メロン」「パイン」などが挙げられます。バナナやリンゴは、日持ちする、乾燥させた状態で売られているものもありますから、利用すると保存に便利でしょう。
ペットショップなどでは、ハムスターが好む、「種子」「にぼし」「野菜」「果物」など乾燥させて固くスティック状に加工したものが、ハムスターのおやつとして売られています。
スティック状なので、ハムスターにとっても持ちやすい形状ですし、硬く作られているので、「歯」の伸びすぎを防いでくれるメリットもあると思います。
また、持ち運びや保存に便利ですから、お家でのおやつタイムにはもちろん、お出かけ先でのおやつとして利用すると良いでしょう。
糖分を多く含む果物
ハムスターにとって最適な果物ですが、やはり果物には「糖分」が多く含まれています。肥満にしてしまっては、体調を崩す原因になりますから、毎日の主食に添える程度の量にしましょう。
人間と同じく、肥満体質は病気を引き起こす要因となるものです。また、ハムスターが肥満体質になると、あまり活動的でなくなる上に、どんどんと体も重くなってしまうため、ますます動かない生活を送り始めます。
こうなってくると新陳代謝にも問題が生じ始め、様々な病気を引き起こし始めるのです。また、糖質の多いおやつばかりを与え過ぎると、ペレットを食べれなくなってしまう可能性もあり得ます。
では、実際にそれぞれの果物の効果や、最適な与え方について見てみましょう。
疲労回復に最適な「ブドウ」
「ブドウ」が好きなハムスターも多いですが、ハムスターにブドウを与える際に注意したい点がいくつかあります。
ブドウは、ブドウに含まれる「ブドウ糖」が疲労回復に効果があり、夏場の水分補給や元気の無い時にも、効果的に水分と糖分を摂取できる優れた果物です。また、ブドウの「皮」には「タンニン」と呼ばれる、抗酸化作用が期待できるポリフェノールが多く含まれています。
しかし、このタンニンという成分を与えすぎてしまうと、ハムスターにとっては健康を害してしまう恐れもあるため、ハムスターにブドウを与える際には「皮」と「種」は取り除いてから与えるようにしましょう。
また、水分も多く含んでいますので、実でも与えすぎると下痢の原因になってしまいますので、与え過ぎには注意が必要です。
スポンサードリンク
ブドウはいざという時の栄養食にも
ブドウはこのように、糖分と水分を効率よく摂取できる果物なので、体長を崩しがちなハムスターや、夏バテ気味のハムスターにもオススメの果物です。ぶどうに含まれるブドウ糖は疲労回復を促し、水分の多さは急速な水分補給にも最適なのです。
ブドウの与えすぎは少々問題もありますが、このように適度な量を特定のシーンで利用することで、非常に優れた果物として活用することが出来ます。栄養たっぷりというわけではありませんので、日頃からのおやつとしては不向きですが、いざというときの栄養食として覚えておくと良いでしょう。
また、ブドウを与える時は「皮」と「種」をしっかり取り除き、「実だけ」の状態にしてから与えるようにしましょう。
食物繊維が豊富な「リンゴ」
リンゴは、一年中手に入りやすく、お手頃な果物の一つで、私たちもよく口にすることが多いと思います。
ハムスターにも与えることができる「リンゴ」は果物や野菜に含まれる多糖類の「ペクチン」が含まれています。このペクチンは、食物繊維の一種で、腸の中の悪玉菌を抑制する働きがあり、腸の健康を守ってくれる成分です。
しかし、こうした効果もあくまで、適量を与えていればのことです。腸を守ってくれる食物繊維ですが、反面、食べすぎるとお腹が緩くなって、下痢を起こしてしまいます。ですので、リンゴを与える時には、ハムスターが手で持てるくらいの量に留めておき、ひとかけらに切って与えるようにしましょう。くれぐれも与え過ぎには注意が必要です。
すりおろしのりんごも
おやつとしてだけではなく、ハムスターの食欲があまり無いようなときには、食欲を戻してあげるきっかけとしてリンゴを利用したり、フンの状態が軟便気味の時に、リンゴのすりおろしを少し与えてみるという使い方もあります。この場合も、様子を見ながら量に注意して与えましょう。
注意しなければいけないことは、「熟していない若い実」と「タネ」です。
この熟していない実と、タネには「アミグダリン」という成分が含まれています。アミグダリン自体は無毒な成分ですが、ハムスターの体の中で分解される過程で青酸が発生することで、中毒症状を引き起こす可能性があるため、与えてはいけません。
与えるときの注意に気を付けていれば、腸内環境を整えてくれる食物繊維が豊富なリンゴは、ハムスターのおやつとして健康的で、与えやすい果物といえるでしょう。
イチゴは腸内環境も整える優れた果物
ハムスターは人間と違って、自分の体内で、糖類のグルコースという成分からビタミンB、ビタミンCを生合成できる動物ですが、イチゴはその他にも、腸内の環境を整える食物繊維の「ペクチン」も含まれています。
また、イチゴにはポリフェノールの一種である「アントシアニン」も含まれています。ブドウに含まれるアントシアニンの量には及びませんが、発がん抑制の効果が期待される成分ということで、ハムスターのおやつとして取り入れたい果物ですね。
また、イチゴは日持ちしない果物なので、お店で買ってきてから、なるべく2~3日中に与えるようにしましょう。お店で選ぶときには、赤く美味しそうに色づいていてもヘタがしなびているものは、熟す前に収穫したものなので注意しましょう。
おやつとしての量は、ひとかけら程度に、水分をキッチンペーパーなどで拭いてから与えます。
ビタミンCが豊富な「イチゴ」
ビタミンCや食物繊維が含まれるイチゴは、カゼ予防や腸内環境を整える成分が含まれていますから、軟便の様子が見られた時や、体調を整えるおやつとして良いかもしれません。
ただし与えるときは、水分で下痢にならないように水気を取り、様子をみながら少しづつ与えてみましょう。イチゴもブドウと同じように、水分を多く含む果物です。与えすぎると整腸作用どころか、水下痢を引き起こしてしまいますので、与えすぎには注意しましょう。
適量であれば、イチゴはビタミンCも豊富な健康的なおやつとして、ハムスターに与えることが出来ます。適量を見極めるには、まずは少量ずつを与えるようにし、数時間後に排泄される便の状態を確認しながら、量を増やしていくようにしましす。
栄養補給には「バナナ」
バナナには、腸まで届いて善玉菌のエサとなって腸内環境を整える「フラクトオリゴ糖」が豊富に含まれていることが特徴です。
「食物繊維」も豊富なため、これまでの、「リンゴ」「イチゴ」のように、小腸や大腸などの消化器官の健康によい果物です。
その他、水分のバランスを整える「カリウム」も豊富ですが、多く取り過ぎると、腎障害を引き起こす可能性がありますから与える量に注意しましょう。
バナナは、軟らかくとても甘みが強い果物ですから、ハムスターがたくさん食べすぎると、肥満になったり、食物繊維の摂りすぎで下痢になるおそれがあります。
また、バナナは、体を冷やす作用もあるため、与えるときは他の果物と同じように、様子を見ながら少しの量から与えましょう。
このように、バナナには「フラクトオリゴ糖」という消化を促し腸内環境を整える成分が豊富に含まれているため、腸の調子を崩している時によいものですが、カロリーの摂りすぎに気を付けたい果物です。
ですが、ハムスターの食欲が落ちている時など、甘くて美味しいバナナは食欲を戻すきっかけに使えるかもしれません。
たまにのご褒美に最適な「メロン」
私たちでも、特別な時に食べる果物のイメージが強いメロンですが、与え方に注意して、ハムスターと一緒に「ご褒美メロン」を楽しむことも、コミュニケーションの一つになるかもしれませんね。
メロンには、「赤肉」「青肉」の2種類がありますが、主成分は「糖分」で、「赤肉メロン」には、「ベータカロチン」が多く含まれています。
果物の中でも、メロンは「カリウム」の含有量が多く、バナナでも触れましたが、水分バランスを調整して、むくみ予防になったり、高血圧予防になると言われています。
「カリウム」が多く含まれているため、食べすぎると腎臓に悪影響を起こすことが考えられますから、与えるときは、小さくひとかけらにし、水分の摂りすぎにならないよう、キッチンペーパーなどでしっかり水分をふき取ってから、ハムスターに与えましょう。
他の果物よりも、特別感があるメロンは、「何かの記念日」や「ご褒美」に最適な果物ですね。
与え方に十分気を付けて、ハムスターとの楽しいおやつの時間を過ごせるコミュニケーションの一つとして与えてみてはどうでしょうか?
スポンサードリンク
与えてはいけない果物
ここでは、ハムスターにとって与えてはいけない果物について触れたいと思います。
身近にあるものなので、間違って与えることのないように注意しましょう。
【アボカド】
「ペルジン」という成分が「けいれん」「肝臓障害」を引き起こし、最悪の場合死に至る可能性があります。絶対に与えてはいけません。
【アンズ】【モモ】【ビワ】【サクランボ】
「アミグダリン」という成分が「胃腸障害」「呼吸困難」「心臓麻痺」などの中毒症状を引き起こす可能性があります。
その他、注意しなければいけないことは「完熟していない果物」を与えてはいけないということです。完熟していない果肉のほか、種も与えてはいけません。これらにも、ハムスターに中毒を引き起こす成分が含まれているので注意しましょう。
果物は与えてよい種類のものを完熟させてから、少量にしてハムスターに食べさせてあげることが大切です。
コミュニケーションの一つとして
おやつを与えるのは、ただ間食ということだけではなく、ハムスターと飼い主にとってコミュニケーションの一つとして使えることもあるでしょう。
ハムスターを飼い始めたけれど、なかなか慣れてくれない・・・という時には、果物を使って誘ってみる、という使い方もあります。自分の手のひらに、少量の果物を置いて食べさせてあげると、ハムスターとの距離を縮められるかもしれません。
もう一つは、ハムスターの食欲がなんとなく落ちていると感じたときに、好物の果物で食欲を戻すきっかけを作るという使い方です。ただ、糖分が多い果物ですから、与え過ぎてしまうと逆に、主食のペレットを食べられなくなってしまう可能性があるので気を付けましょう。
食べ残しはすぐに撤去しましょう
ハムスターに果物を与える時は、清潔を保つことも大切です。ハムスターが残してしまった果物は、早めに片付けてしまいましょう。ほうっておいたものが腐ったりすると、ケージも汚れて不潔になり病気の元となる可能性があります。
ハムスターケージの中は、夏は特に湿気が高くなりがち。すぐにカビも生えてしまいますので、くれぐれも残したものはすぐに除去しておきましょう。ハムスターは夜行性の動物ですから、夕方以降の活発になる頃に、食事の時間を作ってあげると、食べ残しが少ないかもしれません。
甘くて美味しい果物ですから、ハムスターの体調を損なわず、楽しい「おやつ」の時間になるように、注意を払って果物を与えられるようにしましょう。
スポンサーリンク