猫の命にかかわる重大な病気のひとつ「肺水腫」。この肺水腫は、肺の中に水が溜まってしまうことで、正常な肺の機能が働かなくなるために引き起こされる病気です。今回は、肺水腫の症状と原因について解説していきたいと思います。

スポンサーリンク

肺水腫について

人間の病気でも耳にしたことがある「肺水腫(はいすいしゅ)」ですが、肺水腫は猫にも起こりうる病気の一つです。生命を維持するのに、非常に重要な役割を果たしている「肺」ですが、肺は本来、血液中へと酸素を送り、また、二酸化炭素を排出させる役割も果たしています。
この酸素と二酸化炭素を交換する働きをしているのが、肺の中にある「肺胞」と呼ばれる部分ですが、「肺水腫」とは、この肺胞などに水が溜まってしまい、本来持つ肺の機能が果たせなくなってしまう病気なのです。
こうして肺が正常に働かなくなってしまい、結果として命を落としてしまう結果を引き起こしてしまうのです。そのため、肺水腫は、早期に発見・治療を行わければ、最悪の事態にもなりかねない結果を招いてしまいます。

肺水腫の症状とは


肺水腫が引き起こされると、咳が出てきたり、息が荒くなったりと言った症状が現れはじめます。ゼーゼーとした息をするようになり、常に呼吸をすることが苦しそうになるでしょう。このような状態が酷くなると、呼吸困難などの症状も見られはじめます。
ただし、こうした呼吸困難の症状は、肺水腫の症状としてはまだまだ軽度のもの。さらに肺水腫が重症化してくると、さらに苦しそうに呼吸をする姿や、できるかぎり圧迫する肺を楽にしようと、猫自身が落ち着かずに歩き回ったりする行動も見られ始めます。
落ち着きなく動いているかと思えば、逆に動くような行動を取らなくなったり、横になると苦しいため、前足を突っ張ったまま座り込むといった様子も見られたりと、常に呼吸の苦しい状態に陥ってくるのです。

嘔吐などの症状も見られる肺水腫

肺水腫の症状がさらに進行していくと、酸欠状態になっていくため、口腔内にチアノーゼの症状が見られるようになります。チアノーゼになると歯茎などが青白くなるので、すぐに見てわかるような症状が現れます。
さらには、泡状の鼻水が出てきたり、吐き気をもよおしたり、ヨダレの量が増えるといった症状が現れます。嘔吐だけではなく、血の混じったヨダレを吐く場合もあるでしょう。
こうした症状が急激に起きているのであれば、状態はあまり良いとはいえません。急性の肺水腫である場合、わずか数時間で命を落としてしまう場合もあるのです。肺水腫の原因が明確ではない場合、急性の肺水腫である可能性が非常に高いので、愛猫の呼吸の様子がおかしいようであれば、すぐに病院に行くことをおすすめします。

スポンサードリンク

肺水腫の原因について

肺水腫を引き起こす原因に関しては、いくつかの原因が考えられます。まず一つは、心臓の病気を患っているために、肺水腫を併発してしまう「心臓性肺水腫」です。猫に見られる肺水腫の原因となるのは、この心臓性肺水腫の場合であることが圧倒的に多いようです。
心臓の病気を患っていると、心臓の働きが正常でないために血液の流れが滞ってしまい、肺の中の肺胞を繋ぐ毛細血管の内圧が上昇してしまいます。
結果として水分が外側に押し出され、肺に水が溜まってしまって肺水腫が引き起こされてしまいます。心不全や僧帽弁閉鎖不全などの病気では、特に注意が必要になります。

肺炎からも肺水腫を引き起こす可能性が

心臓性肺水腫のほかに、もう一つの原因となるのが「非心臓性肺水腫」の場合です。
具体的には、肺炎や熱射病、肝硬変、ネフローゼ症候群と低蛋白血症などの病気や、事故などによる原因によって引き起こされる肺水腫です。また、有毒ガスなどを吸引してしまうことでも、肺水腫が引き起こされる場合もあるようです。
心臓性肺水腫が「心臓」を原因としているのに対し、非心臓肺水腫は「心臓」ではない他の要因が関係しているのです。肺炎ひとつとっても、肺炎が引き起こされるまでに何かしらの要因があるため、こうした要因を治療・予防しなければ肺水腫を引き起こす可能性も無くなりません。
また、後述しますが、熱中症などによって肺水腫が引き起こされる急性の場合には、命に危険が及ぶ場合も多く、非常に危険な状態であるともいえます。

肺水腫の治療について

肺水腫の治療に関しては、まずは肺水腫を引き起こしている原因となる病気や要因を特定することから始まります。
心臓性肺水腫である場合には、肺水腫を引き起こしている心臓病の治療が急がれます。こうした病気を治療していかなければ、いつまでたっても肺水腫の症状は治まることはありませんので、一刻も早く、肺水腫を引き起こしている心臓病を治療していくことが大事なのです。
このような治療を行いながら、肺水腫の症状を軽減させるための対症療法も行っていきます。肺水腫によって引き起こされている症状に対し、利尿薬などの投薬治療などが行われますが、非心臓性肺水腫である場合も、こうした治療を中心に行っていくこととなるでしょう。

肺水腫の治療費はいくらくらい?

猫が肺水腫を引き起こしてしまった場合には、どの程度の治療費がかかってくるのでしょうか。
まず、肺水腫は急を要する病気であるため、ほとんどの場合で入院することとなるでしょう。入院となると、症状によっては2〜3日の入院になる場合もあれば、5日程の入院になる場合もあるでしょう。
そのため、治療費としてはおおよそ10万円前後は覚悟しておいたほうが良いでしょう。
治療の前には診察が行われますが、レントゲンや血液検査など、肺水腫を引き起こしている原因を突き止めるため、肺水腫の状態を確認するための検査費用でも2〜3万はかかってきます。
要因にもよりますが、まずは肺水腫の症状を緩和し、原因を突き止めて治療していくという流れになるかと思います。

急性の肺水腫にも注意

前述の通り、肺水腫が心臓性肺水腫である場合には、その原因となる心臓の病気にならないような予防策が必要となります。まずはこうした心臓の病気にならないよう、健康的な食生活や適度な運動を行うようにしましょう。
また、急性の肺水腫を引き起こす事故にも要注意です。熱中症などによっても肺水腫を引き起こす場合もありますので、非心臓性肺水腫であるような際には、一刻も早く動物病院に駆け込むようにしましょう。
熱中症などは、一旦具合が悪くなり、そのうちケロッと普通に振る舞っていても、実は内臓などに甚大なダメージを受けている場合もあるのです。また、熱中症だけではなく、高いところから落下した場合などにも、同じことが言えます。
見た目には何とも無くとも、精密検査を受けてみると、内臓にダメージが残っている事も十分に考えられますので、念のため、しっかりと検査を受けるようにしましょう。

スポンサードリンク

注意が必要な「感電」が原因による肺水腫

急性の肺水腫で起こり得る、家庭内の事故の一つに「感電」が挙げられます。普段の生活で感電を起こす機会はありませんが、いたずらなどで電源のケーブルを咬んでしまったりすることで、感電を起こす場合があります。
日本の電力は感電死するほどの電力は流れていないものの、やはり感電を起こすと見た目にはわからないものの、内臓にダメージを受けている可能性も高くなります。
下手に自宅内で様子を見ていても解決にはなりませんので、ケーブルを咬んでしまった場合には念のため、動物病院で様子を伝え、検査してもらったほうが安全です。肺水腫は前述の通り、急性である場合には取り返しのつかない事態にもなりかねませんので、早期発見・早期治療を行うことを重視しましょう。

肺水腫を予防するために


肺水腫という病気は、予防だけをするという事ができませんので、肺水腫を引き起こすような病気にならないようにしなければいけません。
肺水腫を引き起こしたということは、日頃の健康管理に問題があったと考えてみたほうが良いかもしれません。食事の管理は十分でしょうか。栄養は偏ってはいないでしょうか。十分な運動、免疫力が低下してしまうような状態ではないでしょうか。
また、急性である場合にも、飼育環境の見直しが必要になってくるでしょう。事故が起きてしまった場所、環境、再度起きてしまわないよう、十分に考え、環境の見直しを行いましょう。
こうしたことを踏まえて、まずは、栄養バランスの整った食生活を中心に、ストレスのかからないような生活を送らせるようにし、定期的に健康診断を行うようにしましょう。

スポンサーリンク