犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事など、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回はフラット・コーテッド・レトリバーについて、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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フラット・コーテッド・レトリバーとは

レトリバー犬種というと、まず「ゴールデン・レトリバー」や「ラブラドール・レトリバー」の名前が挙げられると思いますが、フラット・コーテッド・レトリバーは、これらの犬種よりも歴史が古く、見た目はほっそりとした体型であることが特徴で、水に落ちた獲物をハンターのところまで回収する(Retrive)という鳥猟犬として活躍していました。

他のレトリバー種の中でも、一際やんちゃで明るい「フラット・コーテッド・レトリバー」について、ルーツや性格、かかりやすい病気などについて解説していきましょう。

フラット・コーテッド・レトリバーのルーツ

フラット・コーテッド・レトリバーのルーツは定かではありませんが、19世紀初めの頃、イギリスでは水を怖れない狩猟犬を作出するため、カナダからイギリスへ持ち込まれた、極寒の海中での作業を得意とする「セント・ジョンズ・ウォーター・ドッグ」と、鋭い嗅覚を持つセター犬種が掛け合わせて作られたと考えられています。

当初は被毛の状態で、「ウェービーコーテッド(ウェーブしている)」「スムースコーテッド(短毛)」「フラットコーテッド(直毛)」の3種類に区別されていましたが、ウェーブされていると、海中で撥水の機能が十分になされないという理由から、直毛になるよう改良されて誕生したのが、「フラット・コーテッド・レトリバー」です。

フラット・コーテッド・レトリバーは、その後の20世紀初頭まで絶大な人気を誇り、1915年にはアメリカの愛犬家団体「AKC」に登録されましたが、この後に登場したゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーによって人気は下火となり、第二次世界大戦後には絶滅の危機に陥りましたが、この犬種の愛好家たちによって保存活動が行われ、無事に頭数は回復されました。

フラット・コーテッド・レトリバーの性格


フラット・コーテッド・レトリバーは、陽気で明るく、とにかく尻尾は常にブンブンと振っています。また、家族以外の他の人や動物に対してもとても友好的で、子供がいる場合でも、一緒になってはしゃぎますので、良い遊び相手になるでしょう。この性格は、幼少期だけでなく、成犬になっても見られますので、大人になっても子供のようなという意味から、「永遠のピーターパン」とも呼ばれているようです。

フラット・コーテッド・レトリバーは、物覚えも早いので、しつけや訓練などのトレーニングも楽しんでこなしますが、3歳くらいまではとてもやんちゃ者なので、飼い主さんと愛犬との上下関係をつけながら根気良くしつけしましょう。フラット・コーテッド・レトリバーは、興味を持った事に関しては高い集中力を発揮するので、愛犬にあったトレーニングを見つければ、きっと素晴らしい家庭犬となるでしょう。

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フラット・コーテッド・レトリバーの運動量はどのくらい?

人間の狩猟を手伝うために改良されてきたフラットコーテッド・レトリバー。回収作業を主な仕事としてきたことから、その体力もかなりのものがあります。

実際にフラットコーテッド・レトリバーを家庭犬として飼育する際には、十分な運動量が必要となってくるため、毎日の散歩も1時間〜2時間は当たり前といったところでしょう。逆に、運動量が少なければストレスが溜まってしまい、問題行動を起こしてしまうこともあるでしょう。

また、運動不足は肥満を誘発するものでもあるので、運動が少ないことでどんどん肥満体型になってしまい、内蔵の機能も弱まっていくことでしょう。

フラットコーテッド・レトリバーを飼う際には、毎日の散歩に加え、定期的にドッグランなどに行って、思い切り走らせたり遊ばせることも必要です。

フラット・コーテッド・レトリバーの被毛

フラット・コーテッド・レトリバーは、「ダブルコート」の被毛を持ち、長くて真っ直ぐな「オーバーコート(上毛)」と、防水性や保温効果のある、柔らかく密生した「アンダーコート(下毛)」の2種類の被毛で覆われています。

アンダーコートを持つ犬種は、本来毛が抜けやすく、定期的なブラッシングは必要ですが、年に2回の換毛期は、より毛が抜けますので、こまめにブラッシングをするようにして、常に清潔な体を維持させるようにしましょう。

フラット・コーテッド・レトリバーの被毛のカラーは、「ブラック」または「レバー」の単色に限られます。

イエローのフラット・コーテッド・レトリバーは?


フラットコーテッド・レトリバーの毛色は前述の通り「ブラック」か「レバー」に限られていますが、フラットコーテッド・レトリバーに非常によく似た犬種といえば「ゴールデン・レトリバー」が挙げられますね。

ゴールデン・レトリバーの毛色は「ゴールデン」か「クリーム」に限られますが、俗に「イエロー」と呼ばれる毛色は、ゴールデン・レトリバーの「ゴールデン」にあたります。

元はと言えば、フラットコーテッド・レトリバーとゴールデン・レトリバーは親戚関係とも言える犬種で、1911年以前はゴールデン・レトリバーとして登録されていたこともあるため、性格も容姿も似た所があるのは当然といったところ。

フラットコーテッド・レトリバーのイエローという表現はおかしいですが、フラットコーテッド・レトリバーのイエローと言われれば、それは間違いなくゴールデン・レトリバーの事になります。

フラット・コーテッド・レトリバーの抜け毛対策

前述の通り、フラットコーテッド・レトリバーはダブルコートの被毛を持つため、抜け毛が多い犬種です。一番効果的な抜け毛対策としては、毎日のブラッシングが一番になりますが、ただブラッシングを行うだけではなく、しっかりとムダ毛を取り除くようにブラッシングを行ないましょう。

主に抜けてくる被毛はアンダーコートですので、いくらオーバーコートをブラッシングしていても、アンダーコートを絡め取るには少々足らずと行ったところ。ブラッシングを行う際には、アンダーコートを絡め取る事を意識してブラッシングしましょう。

毛並みを整えるのは最後の仕上げに過ぎませんので、まずはスリッカーブラシ等で力を入れず、ブラシだけを押し当てるようにし、オーバーコートをめくりながらブラッシングを行うと、より効果的にアンダーコートのブラッシングが行えます。

また、ブラッシングの際には、ブラシ側に静電気防止のブラッシング用スプレー等も使用すると、より効果的に抜け毛対策が行えます。

フラット・コーテッド・レトリバーがかかりやすい病気とは

【股関節形成不全】
股関節形成不全とは、股関節が正常に形成されなかったり、変形されることで、歩き方に支障をきたす大型犬に多く発症する骨の病気です。
肥満体型は股関節形成不全を引き起こすきっかけとなってしまいますので、子犬の頃から肥満にならないように、食事の管理は徹底するようにしましょう。

【胃捻転】
胃捻転とは、胃の内容物が発酵し、発生したガスで胃がパンパンになり、その胃が捻転してしまう病気で、大型犬に多く見られ、致死率も高い病気です。ついさっきまで元気にしていると思ったら、急にぐったりとするなど、早急に処置をしないと、最悪の場合死に至る病気です。
予防としては、食事の後しばらくは安静にさせることや、水のがぶ飲みは避けること、早食いさせないことなど、十分に気を付けてあげましょう。

【骨肉腫】
大型犬に発症することが多いと言われている骨肉腫とは、命の危険が極めて高いガンの一種で、このガンは足に発症することが多く、足に激しい痛みが生じて、足を引きずったり、患部の骨が腫れるなどの症状があります。

また、骨肉腫はとても進行が早く、転移しやすいため、発見した時点で、90%以上の確率で肺に転移していると言われています。日頃の飼い主さんの愛犬への観察が、この病気の早期発見・早期治療に繋がりますので、もし足を引きずったり、いつもと歩く感じが違うと感じたら、すぐに病院へ連れて行きましょう。

フラット・コーテッド・レトリバーの寿命は?

大型犬種であるフラットコーテッド・レトリバーの寿命は、平均で8歳〜10歳と、他の大型犬種と比較すると、やや短めな平均寿命となっています。

しかし、これはあくまでも平均値ですので、15歳位まで生きる子もいればといった話になります。とはいえ、フラットコーテッド・レトリバーを飼っている方にとっては気になるところ。できるだけ長生きしてもらえるよう、日頃からの健康管理は欠かせないものとなります。

近年ではドッグフードの質も向上していますので、数年前の平均寿命よりも増えているとは思いますが、毎日食べるドッグフードも、長生きしてもらうための大事な要素となるでしょう。特に、添加物を含むようなドッグフードは危険です。

また、しっかりと運動を行うことも大事ですね。フラットコーテッド・レトリバーは特に運動量を必要としますので、十分に運動を行うようにし、ストレスもたまらないような、健康的な生活を送れるように環境を整えてあげましょう。

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フラット・コーテッド・レトリバーのブリーダーは?

フラットコーテッド・レトリバーは、ゴールデン・レトリバー等の犬種と比較すると、日本国内ではややマイナーな犬種になりますので、ペットショップ等で見かける機会は少ないでしょう。

そのため、フラットコーテッド・レトリバーを迎え入れる際には、主にブリーダーからの直販が一般的かもしれません。しかし、フラットコーテッド・レトリバーを専門的に繁殖しているブリーダーも少ないため、ゴールデン・レトリバーを繁殖しているブリーダーなどに問い合わせてみるのも、一つの方法となるでしょう。

フラットコーテッド・レトリバーの相場価格としては、おおよそ25万円前後、高くとも30万を越えるのは稀でしょう。また、そんなに多く見られない犬種であるため、月齢が経っていてもそこまで価格が下がることは望めません。下がっても20万円前後ほどではないかと思います。

フラット・コーテッド・レトリバーと暮らすために


フラット・コーテッド・レトリバーは、本来水猟犬としての資質からか、かなりの運動量が必要なため、1日2回、1回につき1時間程度の散歩の他にも、ドッグランなどの自由運動や、海や川で泳がせることもお勧めです。

この犬種は、運動量が少ないと、ストレスが溜まり、吠える、噛む、物を壊すなど、犬特有の問題行動を引き起こすことがありますので注意が必要です。しかし、股関節形成不全を引き起こしやすいとも言われていますので、あまりにも激しい運動は避けた方が良いでしょう。

とても賢く、訓練やしつけなどの吸収は早いフラット・コーテッド・レトリバーですが、反面、飽きっぽいところも持ち合わせています。この場合、レトリバー種(回収犬)としての資質を利用し、「ボール投げ」や「宝探し」など、何かを取ってきたり、運ぶような遊びを得意としますので、訓練やしつけの合間にこのような遊びを取り入れるなどの工夫をすることで、飽きずに訓練に集中するようになるでしょう。

また、悪いことをしたからと、乱暴に扱ったり、威圧的な態度で接すると、神経質になったり、攻撃的な子になることもありますので、良く出来た時はきちんと褒めて、出来なかった時はピシッと叱るようなメリハリのある訓練が必要です。

さいごに

フラット・コーテッド・レトリバーは、狩猟犬時代から「人と共に行動し、人と共に仕事をしてきた犬種」になりますので、忙しくて愛犬のために時間を作ってあげられない、長時間の留守番をさせてしまう、屋外で繋ぎっぱなしの飼育をする、散歩へ連れて行ってあげられないというような生活環境では、稀に分離不安を発症したり、先述したような問題行動を引き起こすことがありますので、愛犬に時間を費やしてあげられない方の飼育には向きません。

また、若くてやんちゃ盛りの頃は、退屈するとトラブルを起こしたり、家財道具をボロボロにされたり、残飯あさりなど、飼い主さんを困らせることもあり、言うことを聞かない駄犬だとレッテルを貼られることもあるかもしれません。

いつまでもやんちゃなフラット・コーテッド・レトリバーですが、沢山の愛情を注ぎ、信頼関係を築くことで、家族を楽しませる欠かすことのできない最高のパートナーになります。存分に犬生活を送りたい方にはピッタリの犬種ですよ。

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