犬は、人間と一緒に暮らし始めた最も古い動物であります。また、犬の種類は名前もついていないような非公認の種類を含めると、実に世界中で700~800種類になるといわれています。しかし、日本で公認されているのは、たったの6種類だそうです。

犬の種類によって、大きさも寿命も習性も違います。同じ種類でも、生まれ育った環境で言語理解能力や性格もそれぞれであり、種類ごとに飼い方や気をつけたい病気も異なります。 また、人間の助けになっている犬もいて、愛犬(ペット)としてだけでなく番犬や盲導犬、警察犬として活躍する犬も多いです。更に、犬は品種改良され愛犬用として可愛く進化を遂げた種類も多く、これからも数が増えると言われています。今回は、さまざまな犬の犬種について解説をしていきます。

大型犬の特徴

大型犬は、全体的に聡明、穏やか、明るく人懐っこい犬種が多く、しつけやすいとも言われています。個体、種類にもよりますが学習能力が高く、友好的でフレンドリーな犬種が多い傾向にあり、全体的に飼い主への忠誠心が強い犬種が多いため、ペットとしても飼いやすいことから人気があります。

ただ、犬種の中には甘えん坊で寂しがり屋な犬種もいるため、できるだけ一緒にいる時間を作ってあげるのが望ましいようです。 大型犬の平均寿命は11~12歳前後です。犬全体の平均と比較すると、寿命はやや短めになります。 大型犬は体が大きいため、大型犬を飼う場合は、食事やトイレ、サークルやベッドなど、大型犬が過ごすのに十分な広さが確保できるかを考え、一部屋分の広さを確保した方が望ましく、それなりのスペースが必要となります。

もし、マンションで大型犬を飼育する場合は「大型犬可」の物件か確認するようにしましょう。飼育できるマンションは決して多くないため、飼う場合は、戸建ても選択肢に入れる事を考える必要があります。 大型犬は聡明な犬種が多く、正しいしつけを行うことで飼い主だけではなく、他の人に対しても友好に接してくれる傾向があります。特に子犬期は物覚えが良く、新しい習慣にも対応しやすいので飼い主とのコミュニケーションを子犬のうちからしっかり行うことが大切です。

また、大型犬は力が強く、運動量も多いことから、散歩時間を多くとる必要があります。犬種、個体にもよりますが、毎日朝晩30分~1時間程度の散歩が必要です。大型犬の場合はドッグランを利用するケースも少なくないようです。 旅行に出かける際も気をつけるポイントがあります。大型犬を飼う人は、旅行時には車を利用する人が多いです。交通機関や飛行機を利用する場合は、規定を事前に確認する必要があります。旅行先によって犬を連れて行くことができない場合は、ペットホテルに預ける手段もあります。

小型犬の特徴

小型犬は体が小さくて行動の制御などがしやすく、飼い主にとって飼いやすい特徴があります。 小型犬は体が小さい為、飼育スペースを取りやすく、そこまで広い居住スペースがなくても十分に飼育が可能なので、マンション等の間取りや広さに制限がある住宅でも飼育しやすい傾向があります。また、小型犬は体が小さい為、軽くて抱えやすく、運動量も少なく済みます。散歩等で立ち止まった時に犬を抱えながら散歩したり、そのまま家に連れ帰ることができるのです。

その他小型犬は、大型犬や中型犬と比べると寿命が長い傾向にあり、体が小さい為、エサ等が比較的少なくて済み、シャンプーやトリミング等といったお手入れや、排泄物の処理にかかる時間が短く済むので、飼育が手軽です。 ただ、性格的にやや臆病な傾向が多く見られ、自分より大きな犬に吠えかかる等して無駄吠えで苦労することがあります。無駄吠えをしつけるのは難しく、根気よくしつける必要がある等、少々しつけがし辛い傾向があります。

また、小型犬は飼い主に依存する犬が多く、依存が強いと、外出等で留守にする際になかなか飼い主から離れようとしない場合があります。その他、体が小さい事から、骨や関節などが華奢な為、小さなきっかけでケガ等をする事があるので散歩する時などは、飼い主は常に注意する必要があります。しかしながら、全く散歩が必要ないというわけではなく、適度な散歩は犬にとって良い刺激となり、ストレス解消につながる為、大体30分辺りを目安にして毎日散歩を行うように心がけましょう。

人懐っこい犬種

人懐っこい犬種は主に、トイプードル、パグ、ゴールデンレトリバー、ボーダーコリー、ポメラニアン、シェットランドシープドック、ミニチュアダックスフンド、ウェルシュ・コーギー等が挙げられます。勿論、育った環境や性格の個体差があるので、すべての犬が人懐っこい訳ではありませんが、人懐っこい理由としては犬としての習性があり、人間を自分よりも上の存在と認識している傾向がある為であると言われています。

古来の立場から、人の役に立ちたいという習性を持ち、信頼関係を築く行動をしていると考えられており、また、犬はリーダーに従う習性を持っているので、人をリーダーとして認識してるとも考えられます。 愛犬を人懐っこい犬に育てるには、愛犬を飼っている自分が親切に接する必要があるのは勿論、自分以外にも親しい友人に触れさせる必要があります。友人に愛犬の名前を呼んでもらったり、愛犬におやつを与えたりおもちゃで遊んでもらったり、撫でてもらったりします。

犬に嫌がることをしなければ、犬の方から友人に興味を持つようになり、友人の事を良い人という印象になれば、よりフレンドリーに接する事が出来ます。特に、遊んでもらう事は犬にとっては社会的なスキルを学ぶ重要な方法であり、人と良好な関係を築けるようになるのです。

警戒心の強い犬種

警戒心が強い犬種は、知らない人や他の犬に対して攻撃的になります。臆病や神経質で吠える犬種もいれば、威嚇の為に吠える犬種もおり、縄張り意識が強い犬種もいます。これらの犬種は、元々番犬や護衛犬として使われていた犬種が多く、警戒心が強い傾向があります。警戒心の強い犬種は主に、秋田犬、柴犬、ボーダーコリー、ドーベルマン、ボクサー、ブルマスティフ等が挙げられます。特にドーベルマン等は力が強く、危険で飼育が難しい犬種です。

また、主に人懐っこい犬種であるポメラニアンも警戒心が強い犬種ですが、育った環境や性格の個体差があります。 警戒心の強い犬を飼う際には、十分な社会化としつけを行う事が重要です。特にボーダーコリー、柴犬等の犬種は正しくしつけないと言う事を全く聞かない、自由奔放でわがままな犬に育ってしまい、中には凶暴化する犬も出てしまいます。これらの問題行動を防ぐためにも、子犬の頃から徹底した妥協のないしつけをして、毎日しっかりとした運動をさせます。

自身でのしつけが難しい場合は、犬と共に専門家でのトレーニングに参加をし、またドッグトレーナーや獣医師・ブリーダー等の専門家の助言をいつでも貰えるような体制を取れるようにしておくのが望ましいです。また、警戒心が強い犬種は、飼育当初は飼い主に対しても警戒心が強い傾向があり、子犬の時期や迎え入れたときに犬に安心感を与え、信頼関係を築く必要があります。たとえ警戒心の強い犬種でも、訓練をする事で人懐っこい性格になる犬種も中にはいます。

与える餌の違い

犬のエサであるドッグフードは、味の成分、症状別、形状別、年齢別、体高別、住環境別、被毛別、犬種別と目的ごとに細分化しています。これは元々、1860年頃に初めて犬の為のドッグフードが作られて、当時1種類だったものが、長い年月を経て、より安全で安心なものを求める声に応えるために、研究と開発を重ねて進化してきた結果です。犬種ごとに病気になりやすい傾向や、弱い箇所を知り、それらの特徴に併せて強化成分を加えたり、増やしたりして、できる限り健康に過ごせるようにすることが目的です。

例えば、胃拡張や胃捻転を予防するために、消化の良いものや、体重増加などで膝等に負担を掛けないように体重をコントロールするもの、添加物の少ないもの等と犬種によって様々なものがあり、ドライフードやウェットフードとして加工されて販売されています。栄養素の配分調整をしたものや、サプリメントに使われる成分を配合しているものが多く、犬には質の良いたんぱく質、ミネラル、ビタミンが欠かせないのです。

しかし、考えないといけないのは、ドライフードは熱加工されて乾燥したフードで、ウェットフードはとろみのある触感を出す為の増粘多糖類等の添加物が含まれている事が多いものであり、与え方によってはかえって犬の体に負担をかけてしまいます。そうなった場合、犬に生肉を与える事も選択肢に入れておきましょう。加熱加工していない生肉は動物性たんぱく質が豊富なため、消化吸収がスムーズで、低カロリー、低脂肪の為、体重のコントロールが必要な犬には最適です。ただ、気を付けないといけないのが、人間が食べる事が出来る食べ物でも犬が食べる事ができないものもあります(特にアボカドは犬に限らずペットにとって猛毒です)ので、これらの食べ物を間違って食べさせないようにする事も大切です。

かかりやすい病気の違い

犬は主に、体重増加や栄養不足及び、過剰摂取による関節や靭帯の症状に加え、内臓の病気を起こす事があります。 大型犬の場合は、股関節形成不全、拡張型心筋症、胃捻転、前十字人体断裂、腸閉塞にかかる事が多く見られ、小型犬の場合は、気管虚脱、膝蓋骨脱臼、僧帽弁閉鎖不全症にかかる事が多く見られます。

特に胃捻転や、僧帽弁閉鎖不全症は生命に関わる緊急性の高い病気の為、呼吸が苦しそうな時や、元気がない等の異常を感じた時はすぐに動物病院へ連れて行きましょう。 病気の予防としては、犬に適度に運動をさせ、適切なエサを選び、食事を数回に分けて食べさせて、水を一度に大量に飲ませない、早食いをさせない、食べさせ過ぎないようにします。また、ボール等の異物を飲み込ませないように気を付けましょう。

また、小型犬や子犬、年を取った犬や心臓病等の病気を持つ犬は低温に敏感になりやすく、低体温を起こしやすい上、高温にも弱く、温度に関しての許容範囲が狭いので、体温調整に気をつける必要もあります。正常な体温を維持するために暑い日は外出を避けたり、定期的に木陰で休憩しつつ、適切な水分補給を行って内部温度の増加を防ぎ、寒い日はセーターやジャケットを着せて内部温度の低下を防ぐなどの配慮をしましょう。

日本に多い犬種

日本で多く飼われている犬種は、トイ・プードルをはじめ、チワワ、柴犬、ミニチュア・ダックスフンド、ポメラニアン等と殆どの犬種が小型犬であり、大型犬が少ないです。その影響としては、近年、ペット可のマンションが増えて日本のコンパクトな住宅事情に適しており、室内での飼育が容易な小型犬が根強い人気を保つようになった為と考えられます。

主な飼育理由として、生活に癒しや安らぎが欲しい事が最も多く、愛情をかけて世話をする対象が欲しい、家族や夫婦間とのコミュニケーションに役立つ家族の一員として犬を希望する人も増えています。他にも、一人暮らしで寂しく、話し相手や遊び相手として欲しい人も多いようです。 例えばトイプードルの場合、小さくてふわふわした姿がとても可愛らしく、また、体臭も控えめで脱毛も少ないことに加え、頭が良く訓練しやすい為、しつけがし易い事が多く飼われる理由となっています。

チワワは、気が強い一方で活発で社交的な性格を持ち、海外セレブリティや、日本の芸能人でも愛犬家が多く、その影響力が一般家庭に浸透している事が挙げられます。柴犬は、忠実で人懐っこい性格を持っている事が多く、活発で元気である事に加え、コンパクトで可愛らしく、初心者が飼いやすいのも理由の一つとなっています。

海外に多い犬種

一方、海外では日本と違って、ラブラドールレトリバー、フレンチブルドッグ、ジャーマンシェパード、ゴールデンレトリバー、フレンチブルドッグ等と全体的に大型犬が多く、小型犬が少ない傾向にあります。これは日本と海外とでは犬種の好みも分かれるようですが、住宅事情によるものに加えて、愛犬に対しての気持ちの差と考えられます。

また、欧米やドイツでは、日本で超大型犬に分類されるロットワイラーが居て、更に各国毎の原産の犬種が多い傾向にあり、国ごとに飼っている犬種に特徴があります。例えば、フランスでは牧羊犬とテリア種が多い傾向にあります。 海外では、広い敷地の戸建てで、大きな庭がある住宅が一般的であり、基本的に住宅では犬の飼育が可能な上、レストランやカフェ等でも入店に制限を受けない店が殆どです。

また、公共交通機関に関しても、細かいルールはあれど気軽に地下鉄やバスに乗車できるので、犬たちも吠えず走らず、飼い主の足元で大人しく座っている等、社会に溶け込みやすい環境と言えます。それに加えて、愛犬を友人や仲間として認識しており、時には自分や家族を守ってくれる頼れる存在として見ているので、体の大きいしっかりした犬が好まれてる傾向があります。

警察犬

犬種の中には、警察犬になる犬種もいて、主に直轄警察犬と嘱託警察犬の2種類に分かれています。 直轄警察犬は、各都道府県の警察で飼育及び訓練や管理を行っている公認の警察犬で、一般家庭から提出されることはなく、子犬の段階で適性がありそうな個体を選別し、厳しい訓練を積み、その中のエリートの犬だけがなる事を許されています。

一方、嘱託警察犬は一般家庭で飼育されている犬の中で、「嘱託警察犬審査会」という特定の試験で基準をクリアして認められることで嘱託警察犬になる事ができます。この試験では、警察犬として必要な各々の項目があり、開催する地域によって異なります。 警察犬の仕事内容としては主に、足跡追及、臭気選別、創作活動、警戒活動、業務に必要な各々の訓練の実施等があります。

警察犬になるのに向いている犬種は、警察犬として「公共社団法人日本警察犬協会」が公式に定めている犬種で、エアデールテリア、ボクサー、コリー、ドーベルマン、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、ジャーマンシェパードの7種類だけで、元々猟犬や軍用犬として活用され、力が強く賢い犬が選ばれています。一方、直轄警察犬になれない犬種であっても、高い実務能力や素質が認められると、嘱託警察犬になることができます。

これまでに、チワワ、トイプードル、ミニチュアダックスフンド、ミニチュアシュナウザー、柴犬が嘱託警察犬になっており、大型犬が入り込めない隙間などを捜査するなど、指定犬種ではカバーできない範囲を支えています。普段あまり目にすることの無い警察犬ですが、今日もどこかで私たちの安全を守るために頑張っているのです。

まとめ

犬は人間と一緒に暮らし始めた最も古い動物であり、世界には様々な犬がいます。大型のものから小型のものまで様々で、可愛い犬も居れば大きくて逞しい犬も居て、賢くて力が強く、警察犬になる犬種も居れば、凶暴化すると危険な犬種もいます。人それぞれ性格が違うように、犬もまた犬種や個体差、環境や育て方によってそれぞれ性格が異なり、人懐っこくて元気な犬種も居れば、臆病で縄張り意識があり、警戒心の強い犬種もいます。

飼い主との大切なパートナーになる為に、適切な運動及びしつけ、エサのやり方を工夫しましょう。また、近隣住民との付き合い方にも気を配り、出来るだけトラブルを発生させない事を意識して、責任を持って大事に育てていく事が大切です。

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