ペット先進国で知られるドイツ。ドイツでは、ペットに対して、人間と同様に、細かい法律が定められていたり、犬を飼っている飼い主さんは「犬税」を納めなくてはいけません。今回は、ドイツのペット事情に関して調べてみましょう。

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犬にも権利がある?


ドイツと言えば、みなさんも知っている通り、動物愛護の先進国で有名な国ですが、ドイツでは、「動物の権利」が尊重されていることをご存じですか?

日本の法律では、ペットは「物」として扱われますが、ドイツでは、ペットや畜産などのあらゆる動物に対して動物保護法が定められており、その権利は法律で守られています。

特に犬に対しては、ケージの大きさや、採光、通気や暖房設備などにも細かい基準が設けられていたり、8時間以上の長時間の留守番は禁止されています。さらには、運動時間も1日2回以上、計3時間以上の散歩が義務付けられていたり、外の外気が21℃を超える車内での置き去りなども、「動物虐待罪」などの罪に課せられます。

ドイツでは犬と一緒に電車にも乗れる

その他にも、電車や地下鉄、トラムなどの公共交通機関では、子供と同じ料金を支払えば犬を連れて気軽に利用できたり、デパートや小売店などでも犬と一緒に入店することができます。また、犬と同伴できるレストランが多いのもドイツの特徴です。

日本でも、まだ記憶に新しいですが、大手のデパート内に入っているレストランで、介助犬の入店を断られたということがありましたよね。その後、デパート側からの謝罪がありましたが、ドイツでは、盲導犬や介助犬だけでなく、ペットも一緒にレストランで食事することができるのです。

盲導犬や介助犬でさえ、同伴OKのステッカーが貼っていても、実際のところ入りにくいと考えている方が多いようです。まだまだ、店も一般の方も、こうした考えに同調しているわけではないのが、日本の実情です。

犬も家族の一員

では、ドイツではどうして公共機関やデパートなどに犬を連れて入ることができるのでしょう。

日本で同じことをすると、吠えたり騒いだり、他のお客さんに迷惑かけてしまうのは目で見るより明らかではないでしょうか。

ベルリン市には、犬の学校が50校以上あり、ベルリンに住む飼い主さんは、生後8週目から1歳半くらいまで学校に通わせることが多いからです。そこで公共の場でのしつけやマナーを学びます。まるで、人間の子供と一緒ですね。

このように、人間と犬が共存できるような法律や環境を作ることで、お互いの権利が尊重されるのでしょう。

日本にも犬のしつけ教室やスクールがありますが、利用している割合もまだまだ少ないでしょう。必ず通わせなければならないわけではないと思いますが、愛犬とともに色々な場所を回りたいと考えているのであれば、一度スクールに通って見ても良いかもしれませんね。

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ドイツの犬税とは?

そして、日本とドイツの違いはと言うと、ドイツには「犬税」が存在することではないでしょうか。

自治体によっても異なりますが、犬1頭に対して月に10ユーロ(約1000円)、2頭目以降は1頭に対し15ユーロ(約1500円)を犬税として納めなければいけません。1頭よりも2頭目、2頭目よりも3頭目にかかる税金が高額になります。これは、安易に犬を飼うことをさせない、増やすことをさせないという役割があります。

じつは、日本にも犬税があったこと、ご存じでしたか?「生類憐れみの令」を発令した徳川家の五代将軍、綱吉の時代です。

当時は、犬のために数百棟もの犬小屋が作られ、およそ8万頭の犬が飼育され、その犬たちの餌は、白米や干鰯、味噌など人間が食べるより良いものを与えていたようです。その餌代に犬税が使用されていました。

ドイツの動物保護シェルター「ティアハイム」

ドイツでは、ペットの殺処分場が存在しないことはご存じですか?日本では、年間16万頭もの罪のないペットたちが殺処分されているのに対し、ドイツでは余程正当な理由がないと殺処分は行われることはないようです。

本来、ドイツでは殺処分という概念がないため、日本のように殺処分場が存在しないのです。では、迷子犬や飼育放棄など、何らかの事情で行き場が無くなったペットたちはどこへ行くのでしょうか。

ドイツには、1901年に設立された、「ティアハイム」という民間が営んでいるシェルターが存在し、保護されたペットたちはこのティアハイムへ送られます。ここでは日本の保健所のように保護されたペットを原則的に殺処分せず、新たな飼い主さんを探すという施設になっているのです。

ドイツの生体販売の仕方とは


このティアハイムでは、年間で約1万頭の動物を保護している中、その譲渡率はなんと9割を超えるようです。犬猫以外にも小動物や爬虫類、馬や豚などまで、沢山の種類の動物を保護しています。

ドイツでは、ペットショップで生体を販売するところがほとんどないため、ペットを飼おうと思えば、ティアハイムもしくはブリーダーから気に入ったペットを探します。

ティアハイムでは、家族構成や住居環境、留守番時間など厳しい審査や、何度も行われる面接をしてから、飼い主として初めて認められるようです。日本のようにペットショップで子犬を衝動買いできる環境にないので、安易な気持ちでペットを飼うことができません。

お金さえあれば動物を飼うことができる日本とはちがい、ドイツでは動物を飼うことが出来る環境かどうかで判断されるので、最低限、安易な気持ちでペットを飼う人を減らすことは出来ています。

犬を飼育するのにも義務が生じます

先で犬税について触れてきましたが、ドイツでは犬を飼育する環境についても厳密な決まりが定められています。ただ自宅で一緒に飼えるだけでよいというわけではないのです。

まず、体高50cmまでの犬は6平方メートルの面積以上、体高65cmまでの犬は8平方メートル以上、体高65cm以上の犬は10平方メートル以上のスペースが確保できていなければ飼育することが出来ません。

この他、窓の有無やサイズ、散歩は必須、自宅内だけで飼育するのではなく、外に出て人や犬に触れ合う機会を作らなければならないなど、日本では考えられないような量の決まりがあります。

こうした条件をクリア出来なくてはドイツで犬を飼育することは出来ません。万が一、こうしたルールを無視していては、通報される可能性もあるため、市民も社会も一体となって動物を飼うことに責任を持っているのです。

ブリーダーに対しても厳しい法律が

こうした違反は誰が取り締まるの?と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。ドイツにはアニマルポリスと呼ばれる方々がいて、市民からの通報や取締を行っています。

違反していれば罰金が課せられたり、厳しい罰則を受ける場合があります。また、その後も違反が続くようであれば犬は没収されることとなり、犬を飼育することができなくなります。また、保護された犬たちはティアハイムなどの施設に預けられることとなり、新たな飼い主を見つけることとなります。

飼育する人間だけではなく、ブリーダーに対しても厳しい法律が定められており、ブリーダーが違反を犯した場合には約300万円までの罰金が課せられる場合もあるそうです。この決まりの中には、数年前に日本の一部の自治体が定めた生後8週齢規則も盛り込まれています。

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狩猟法について

このように愛護動物先進国のドイツですが、正直一つだけ腑に落ちないことがあります。それは、ドイツ連邦狩猟法において、狩猟区域でかつ民家から一定以上離れていれば、狩猟動物への被害を防止する目的で、野良犬や野良猫の殺傷が認められているということです。

その殺傷推計は、犬で年間4~6万5千頭、猫では年間40万頭もの命が絶たれているのです。そのため、放し飼いの飼い猫が、狩猟によって殺傷されることも少なくないようです。

ドイツでは、在来生物の自然保護や生態系維持に関しては、ペットに対する動物愛護と同様、とても熱心な国です。そのため、野良猫や野良犬が、在来の野生動物を食害したり、ウィルスを感染させたり、生態系に悪影響を及ぼすと判断した場合、狩猟の駆除が義務付けられています。ドイツでは「殺されたくなかったら、外へ出さず、ちゃんと管理するべき」と考えられているようです。

確かに、在来動物の保護も大事だとは思いますが、年間でトータル45万頭以上の犬猫が殺傷されるのは多くはないのでしょうか。

日本とドイツの差は大きい


今回はドイツの犬の飼育について解説してきましたが、日本との差に驚くばかりですね。実際のところ、日本が勝っている部分は一つも無いのではないでしょうか。

日本は自治体レベルで頑張っているところはあっても、国が動くことはありません。厳しい法律や飼育に関しての決まり事がなければ、いつまで経っても状況は変わらないでしょう。

国としては先進国と言われる日本ですが、ペットに関してはまだまだ先進国とは言えない状況です。悪質なブリーダーが未だ多い状況や、多頭飼育崩壊のニュースも跡を絶ちません。近年では特に猫の飼育崩壊が多いように感じますね。

ドイツの状況が完璧とは言えませんが、日本もすこしずつでよいので真似をして、少しでも先進国に近づければと思います。

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