鳥の日光浴は非常に重要な健康管理のひとつです。日光浴を行うことで、鳥は丈夫な体を作る事にも繋がり、健康な体を維持できるようになります。今回は鳥の日光浴の重要性について調べてみました。

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日光浴が鳥に必要な理由


鳥にとって必要不可欠な健康管理の一つが「日光浴」です。人間でも日光浴は必要とされますが、体の小さな鳥にとっては、日光浴は非常に大切な健康管理法なのです。適切に日光浴が行われていれば、鳥の体調も良好になり、体も丈夫に育っていきます。

鳥が日光浴を必要とする理由には、単に気持ちが良いからという事ではなく、日光浴によって「ビタミンD」を生成するために重要なことなのです。そして、ビタミンDが不足してしまうことは、カルシウムの吸収量に関係してしまい、結果として骨がもろくなるなどの悪影響がもたらされるのです。

骨を作る為に必要な、ビタミンDの役割

ビタミンDは、「カルシフェロール」とも呼ばれるビタミンで、脂溶性ビタミンの一つでもあります。ビタミンDは、骨を形成する「カルシウム」や「リン」の代謝を促進させ、カルシウムが骨に沈着させるサポートを行うために欠かせないビタミンとなっています。

骨を形成するためには、カルシウムとリンのバランスが重要になりますが、このビタミンDのサポート無くしては、カルシウムを骨に沈着させることが困難になってしまうため、単にカルシウムを摂取すると良いわけではないのです。

ですので、ビタミンDが欠乏している状態で、たくさんのカルシウムを摂取させたところで、カルシウムは思うような効果を果たせず、結果としてカルシウムの欠乏も招く結果となるのです。

日光浴と食事の必要性


ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きだけでなく、血液中のカルシウム濃度を調整する働きもしています。この働きにより、カルシウムが減少している時にも、カルシウムが尿へ排出されないように再吸収させ、血中のカルシウム濃度を一定に保とうとする働きをしているのです。

ビタミンDは、本来であれば鳥が日光浴をすることで紫外線を浴び、体内でビタミンD(ビタミンD3)が合成されるものです。しかし、体内で合成される量だけでは不足している場合には、食べ物からビタミンDを摂取する必要があります。

こういった事態を防ぐためにも、ビタミンDを摂取できる食べ物を与えておく必要があるのです。また、同じく日光浴をさせる必要性も、こういった理由からなります。

ビタミンDの欠乏で起きるクル病

このようにカルシウムと密接な関係にあるビタミンDですが、ビタミンDが欠乏してしまうと、カルシウムへと直接影響が及んでしまいます。具体的には、「カルシウム欠乏症」が引き起こされたり、「骨粗鬆症」といった症状も引き起こされ、骨がもろくなるために骨折の危険性も増すでしょう。

ビタミンD欠乏症は「クル病」や「骨軟化症」とも呼ばれ、幼鳥期にビタミンD欠乏症になると成長不良といった問題が生じ、成長期には前述のように骨粗鬆症などの症状が見られるようになります。

クル病が引き起こされると、脚の変形や翼が曲がるといった症状が見られ、歩行障害などの症状も見られる場合があり、ハイヒール歩行など、通常では見られないような異常な歩き方になってしまいます。

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精神的にも悪影響を及ぼすビタミンD欠乏症

クル病などに代表されるように、ビタミンDが欠乏してしまうと、いくらカトルボーンなどでカルシウムを摂取していても、骨に吸着されずに消化されてしまい、骨やくちばしはどんどんもろくなっていってしまいます。こうした状況を予防するためにも、鳥の日光浴は必要不可欠な健康管理の一つなのです。

また、ビタミンD欠乏症は病気を引き起こしたり、体に悪影響が見え始めると行った問題だけでなく、鳥の精神的な部分にも影響が見られるようになります。具体的には、ビタミンDの欠乏によって鳥がイライラしやすかったり、産卵を控えている鳥は「軟卵」などの症状も見られます。単純に骨を構成するだけでなく、精神的な部分にも悪影響が及ぶのがビタミンD欠乏症なのです。

効果的に日光浴を

自宅で飼育されている鳥は、日当たりの良い場所もあれば、日陰になってしまっている場所に鳥かごがあったりと、飼育環境によっては適切に日光浴が出来ていない場合もあります。また、鳥のサイズや種類によっても必要とする日光浴の時間も変わります。

おおよその日光浴の理想の時間は、小型の鳥であれば1日10分ほど。中型の鳥であれば1日1時間程度、大型の鳥であれば1日2時間程度を目安に日光浴をさせるようにしましょう。毎日、日光浴ができるような状態であれば、体のサイクルにも良いので、出来る限り日光浴が行えるような場所に、鳥かごを設置するのが望ましいです。

また、日光浴をする場合には直射日光にも注意が必要です。あまりに逃げ場がないような状態であれば、鳥も日光浴とはいえ、今度は直射日光によってダメージを受けてしまいます。日光浴を行う際には、鳥が自分で日陰に移動できるような状態にしましょう。

ガラス越しは効果も半減

飼育している鳥を外に出すのは危険が多いので、窓越し等で日光浴を行う方が安全ではありますが、ガラス越しに日光浴をした場合には紫外線の量も半減するということは意識しておきましょう。

人間でも日焼けの心配や紫外線の浴びすぎの心配がありますが、実はガラス一枚隔てただけでも、有害であるUV-Cは1%以下に、合せガラスになるとUV-Cだけでなく皮膚がん等のリスクがあるUV-Bや、やや影響が懸念されるUV-Aまでもが99%以上カットするというデータも。

このように、窓ごしの日光浴では、鳥にとってはあまり意味を成さないものになってしまうのです。出来る限り紫外線を浴びることが理想ではありますが、直射日光もまた危険であるため、理想となるのは網戸越しの日光浴となります。

ライトで日光浴も可能

ガラス越しでの鳥の日光浴には期待できるほどではないため、網戸越しでの日光浴が理想的ではありますが、窓が1階や1軒屋である場合には野良猫が危険であったり、マンションでもカラスに気をつける必要もあります。

また、マンション等で飼育していて、日光浴が難しい場合などもあるでしょう。そんな時には、「バスキングライト」や「紫外線ライト」の導入も検討してみましょう。

バスキングライトは、日光浴の代わりにもなるライトで、紫外線ライトは紫外線を発生させるライトなので、どうしても自然光を室内に取り入れるのが難しい場合には、こうしたアイテムも必要になるでしょう。

照射時間に関してはライトの強さによっても変わりますので、説明書き等を参考にしてみましょう。

ランプではなく専用スタンドを

バスキングライトやUVライトは電球と同じような形をしているため、家にあるランプ等にも使用できるものもありますが、できるだけ専用のスタンドを使用するようにしましょう。

スタンドと行ってもクリップになっている製品もあるので、鳥かごへ上手に照射できる角度に変えられたり、理想的な場所に設置できるというメリットもありますので、鳥用としてライトを設置するのであればクリップ型のスタンドをおすすめします。

また、熱もそれなりに発するので、ライトにカバーは付けたほうが良いでしょう。飼い主さんが誤ってやけどしてしまう事故を防ぐことも出来ますし、消している時に鳥が面白がって電球を突いてしまうような事も防ぐことが出来ます。色々な製品がありますので、飼育環境に適した物を選ぶようにしましょう。

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冬の日光浴について

窓を開けたり、窓越しに日光浴をするのは、夏であれば容易でも冬になると何かと難しくなりますね。そんな時にも活躍するのがバスキングライトやUVライトです。

バスキングライト等は自然光よりも効果は低くなってしまいますが、それでも6割〜8割程度の効果は得られますので、冬も効果的に日光浴をさせることを考えれば、ライトの使用はおすすめとなります。

あまり強いライトを使用すると、鳥の目にも悪影響がありますので、適度な強さのライトを選ぶようにしましょう。完全ではありませんが、冬場のヒーター代わりとしても使用できますので、昼夜の寒暖差をつけるのにも良いでしょう。夜はしっかりとしたヒーターを使用することを忘れずにしましょう。

まとめ

野生化では自由に日光浴を浴びることの出来る鳥たち。ペットとして飼育される鳥は、こうした自由がない代わりに、安全な環境でのんびりと過ごすことが出来ていますね。とはいえ、1日中日陰の中で飼育されていれば、人間であっても体がおかしくなりますよね。

鳥にも同じことがいえますので、毎日しっかりと日光浴が出来る環境を作り、1日の生活リズムを整えてあげることが、鳥の健康を維持する最低限の方法になります。丈夫で健康な体を作るためにも、日陰で飼育している場合には少し場所を変えて、適度に陽が射す場所に移動するようにしましょう。

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