キャットフードに含まれる酸化防止剤の「BHT(ブチルヒドロキシトルエン)」をご存知でしょうか。比較的安価なキャットフードに使用される酸化防止剤ですが、100%安全な酸化防止剤とはいえないのがこのBHT。今回はBHTについて解説していきます。
キャットフードに含まれる食品添加物の存在
人間の食べる食品にも含まれているように、キャットフードにも食品添加物が使用されています。この食品添加物は、食品を長持ちさせるためや、色を付けるため、酸化を防ぐためなど、色々な用途の為に使用されるもので、食品添加物の種類にも様々な物が存在します。
キャットフードに関して言えば、キャットフードの風味を維持させるために使用される食品添加物や、キャットフードの酸化を防ぐ為に使用される酸化防止剤などが原材料として含まれていますが、こうした食品添加物は、必ずしも安全ではないものも含まれているのです。
BHT(ブチルヒドロキシトルエン)とは?
食品添加物の中でも、今回取り上げる「BHT(ブチルヒドロキシトルエン)」は、「合成酸化防止剤」と呼ばれる食品添加物で、主にキャットフードに付着させている「味付け」の為の油脂の酸化を防ぐために使用されているものです。
猫はグルメな動物としても知られており、味が変わると食いつきが落ちてしまったり、キャットフードを切り替えたら食べなくなってしまう場合も。また、たとえ同じキャットフードでも「風味」が落ちてしまったり、「酸化」してしまうことでも食べなくなってしまうことがあります。
こうして猫が食べなくなってしまわないよう、各社それぞれが味の研究をし、より生肉に近いような味付けを行ったりするわけですが、風味を損なう原因となるフードの酸化を抑えるために利用されるのがBHTなのです。
キャットフードの酸化とは?
キャットフードには「旨味」を増すために動物性の油脂などを吹き付け、フード事態に味付けを行っています。酸化とは、この吹き付けた油脂が酸化してしまう事を指し、酸化してしまった油脂は旨味を落とすだけでなく、健康被害も引き起こす要因となってしまいます。
酸化の進んだ油脂は、風味ではなく異臭を放つようになるため、猫の食いつきもより一層に悪くなってしまいます。また、酸化してしまったキャットフードの油脂は、一種の「腐った」ような状態になってしまうため、酸化が進んでしまったキャットフードを食べ続けてしまうと、猫の体にも良いものではなくなってしまいます。
場合によっては嘔吐してしまったり、下痢を引き起こしてしまう可能性もあり、酸化したフードを与え続けることで毒素が蓄積され、アレルギーを引き起こしたり、皮膚炎などの症状が見られるようになります。
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蓄積され、アレルギーを引き起こす要因に
キャットフードの酸化を防ぐために利用される「酸化防止剤」ですが、酸化を防いでくれる役割を持つ「BHT」に関してなぜ取り上げるのかというと、BHT自体が発がん性が認められると言われる添加物であるからなのです。
また、同じ酸化防止剤の「BHA(ブチルヒドロキシアニソール)」も多くのキャットフードに使用されているもので、こちらも発がん性が認められているものです。
キャットフードが酸化してしまうことで、食いつきや猫の体に悪影響を及ぼしてしまうために酸化防止剤を使用して酸化を抑えているはずなのに、その酸化防止剤そのものが猫に害が及ぶ物であるのは本末転倒でもあります。
では、さらにBHTについて詳しく掘り下げて見ていきましょう。
BHTは主に容器等に使われる添加物
実のところ、BHTは人間に対しては発がん性が認められておらず、あくまでも動物に対して発がん性が認められると言われています。
BHTは今も安価な酸化防止剤として知られており、以前までは人間用のバターやマーガリン、チューイングガムにも使用されていました。
しかし、現在では食品に使用される添加物ではなくなり、塗料や接着剤、包装材等の保存に使用されています。なぜそんな添加物を、なぜわざわざキャットフードに使用しているのか疑問に思うことでしょう。
その原因となったのが、食品の容器に使用されていたBHTが、容器から中身の食品に移ってしまうという事件でした。数年前ですので記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
決して無害ではないBHT
陽気からBHTが移ってしまうという事件の真相は、陽気に使われていたBHTが溶出してしまい、中身の食品へとBHTの成分が移ってしまったために起きた問題でした。
この事件を機にBHTの存在も大きく知られるようになり、人間用の食品にも使用される機会が減っていきました。完全になくなったわけではありませんが、多くの食品では使用せず、主にプラスチック製品や容器などに利用される事が殆どとなっています。
一方、BHTはペットフードには未だに使用されている酸化防止剤で、アメリカの研究結果によると、BHTは動物に対して「脱毛」といった症状や、「膀胱がん」「甲状腺がん」を誘発する可能性があるとされていながらも、今もなお使い続けられているのです。
BHT以外の合成添加物
以前は人間用の食品にも多く使われていながら、現在は使われなくなったBHT。健康被害はないと言われつつも、人間用の食品では利用しなくなった理由が気になるところですね。
そんな酸化防止剤ですが、なぜ未だにペットフードには使用しているのかという疑問が残ります。これには酸化防止剤の「含有量」によって、特に害を及ぼさないという事も言えるからです。
BHTの他にもキャットフードに使用されている酸化防止剤はあり、先程触れた「BHA」や「エトキシキン」がそれに当たります。しかし、これらの酸化防止剤についても毒性が強く、防腐力の高い合成抗酸化剤として知られているのです。
BHT以外にも酸化防止剤は利用されていますが、結局は安価な酸化防止剤として合成添加物が使われているため、種類が違えど、根本的な解決にはなっていません。
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微量であればとはいえ
BHTやBHA、エトキシキンなどの酸化防止剤は、発がん性や毒性のあるものとして近年指摘されている合成添加物。
しかし、一般社団法人「ペットフード協会」によると、BHT、BHA、エトキシキンの3種の合計量が1g中150μgを越える量(犬用に関してはエトキシキン 75μg)をペットフードに含んではいけませんという説明があります。(1μg(マイクログラム)=0.001mg。1,000mg=1g)
つまりこれは、微量であれば猫の健康にも問題はないという意味にとれる説明です。
1g中に150μgなので、非常にわずかなものとはなりますが、いくら微量であれば問題が無いとは言え、飼い主としては発がん性があると認められているものを、わざわざ配合されているものを与えたいとは思わないでしょう。
さいごに
いくら微量であれば安全だからとはいえ、いくら安価に使用される酸化防止剤だからとはいえ、100%安全なものではないのは確かなのです。また、キャットフードの中でも比較的安価なクラスのキャットフードに使用されているのが、このBHTです。
ハイクラスのキャットフードになると、BHTどころか、酸化防止剤自体も天然由来の物が利用されており、こうした食品添加物は一切使用されていないというキャットフードも多く存在します。しかしながら、こうしたキャットフードは価格も高くなる傾向にはあります。それだけ、この酸化防止剤は安価に手に入り、利用しやすいものなのでしょう。
愛する愛猫のために購入するキャットフード。僅かな含有量であれば問題は無いのかもしれませんが、添加物を使用しないでもキャットフードを作ることが出来ているのであれば、添加物を使用していないキャットフードを選択したいと考えるのが当たり前ではないでしょうか。愛猫の健康はお金には変えられません。今一度、愛猫が食べているキャットフードの原材料表記を確認してみてはいかがでしょうか。
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