猫の体を作るのに欠かせない栄養素の「タンパク質」。タンパク質を摂取するには、肉が手っ取り早いと考えてしまいがちですが、タンパク質をしっかりと理解して、効率よく摂取する必要があるのです。今回はタンパク質の性質と必須アミノ酸について解説します。

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猫の体を構成する重要な栄養素「タンパク質」

栄養素の中でも特に重要な要素となる「タンパク質」。猫の主食は「肉」であるためにタンパク質は猫にとっても無くてはならない存在です。このタンパク質は「筋肉」を作る素となるだけではなく、「臓器」や「皮膚」「被毛」「血管」「骨」といったように、体を形成するのに無くてはならない組織を構成する栄養素なんです。

また、「ホルモン」や「酵素」「免疫抗体」といったものも全て、このタンパク質から構成されています。タンパク質は体を構成する部分だけではなく、他の栄養素の素にもなっているため、タンパク質が不足してしまうと、健康な体を維持することが極めて困難になることでしょう。

このように、体を構成する全てと言っても過言ではないタンパク質ですが、このタンパク質が不足してしまうと、猫の体にはどのような事が起きてしまうのでしょうか。

タンパク質が不足する事で起きる変化

猫の体にタンパク質が不足してしまうと、猫の皮膚はどんどん荒れていき、ケガをしてしまってもケガの治りが遅かったり、免疫力も低下してしまうので病気になりやすくなるでしょう。この他、精神的にも不安定な状態に陥ってしまったり、ちょっと動いただけでも疲れてしまったりといった状態を引き起こすことでしょう。

これはタンパク質が皮膚や被毛、さらには免疫抗体を構成するのにも関わっているためですが、もっとも深刻なのは成長期の子猫にタンパク質が不足することです。子猫の時期は、体を作り上げるのに最も重要な時期でもあるので、タンパク質が不足することで成長の促進が妨げられてしまったり、脳の活性化にも影響を及ぼすという悪影響が考えられます。

タンパク質は筋肉を作る素というイメージも無くはないですが、もっと根本的に、体に必要な部分を構成する栄養素だということが分かります。そのため、数ある栄養素の中でもタンパク質は、猫の体に一番必要な栄養素だということが言えるでしょう。

「動物性」と「植物性」のタンパク質の違い

タンパク質が非常に重要な栄養素だということはわかりますが、このタンパク質を摂取するにはどうしたら良いのでしょうか。そこで、猫や人間がタンパク質を摂取すると言うと、すぐに浮かんでくるのが「肉」に代表される「動物性タンパク質」でしょう。

一言でタンパク質と言っても、肉類に代表される「動物性タンパク質」や、大豆やとうもろこし等に代表される「植物性タンパク質」に分けられますが、このタンパク質の違いとはどういったものなのでしょうか。

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タンパク質の違いと「アミノ酸」

タンパク質は、約20種類の「アミノ酸」が結合されたもので、鎖状に繋がってできています。例を挙げると、「A+B+C+・・・」といったようにアミノ酸が結合されているわけですが、この配列=結びつき方が違う事で、例に挙げたタンパク質とはまた別のタンパク質となるのです。

こうして形成されたタンパク質が体内へと摂取され、消化されることで繋がっていたアミノ酸はバラバラになっていき、やがてそれぞれのアミノ酸として体内に吸収されていくのです。そこで重要となってくるのが、聞き覚えもあるでしょう、「必須アミノ酸」というものです。

実はアミノ酸は、体内で合成されるものもあるのですが、この内、体内で合成されないために食事から摂取する必要があるアミノ酸の事を「必須アミノ酸」と呼んでいます。この必須アミノ酸は、猫であれば11種類あり、これらの必須アミノ酸は「動物性タンパク質」や「植物性タンパク質」に含まれているものなのです。

猫の必須アミノ酸とは?

猫が必要とする11種類の必須アミノ酸。残念ながら、この11種を同時に摂取できる食べ物はありません。そのため、バランス良く肉を食べ、野菜を食べる必要があるのです。11種の必須アミノ酸とは、

・ヒスチジン
・イソロイシン
・アルギニン
・ロイシン
・メチオニン
・スレオニン
・バリン
・トリプトファン
・リシン
・フェニルアラニン
・タウリン

の11種となります。これらの必須アミノ酸が欠乏してしまうと、タンパク質だけでなく、他のビタミンなどの栄養素にも影響を与えてしまいます。そのため、いずれか1種だけを多く摂取しても意味は無く、バランス良く摂取する必要があるのです。
これが、「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」に分けられている理由になります。

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必須アミノ酸の知識と被毛の変化

猫の体に無くてはならない「タンパク質」と「必須アミノ酸」の関係ですが、キャットフードを食べ、普通の生活・普通の食生活を送っていれば、実は欠乏するという事は考えにくいのが近年の猫の食生活です。

ただし、タンパク質を構成する必須アミノ酸に関しては、身近な「肉」や「卵」「大豆」「魚」「牛乳」などから摂取できるものですが、これらの食材の中にもビタミンや別の栄養素が含まれます。これらには過剰症を引き起こすものもありますので、手作りフードを考えている場合には、それぞれの食材に関する、必須アミノ酸と他の栄養素の関係についてしっかりと理解するようにし、バランスの取れた食事を作れるようにしましょう。

猫の体に必須アミノ酸が不足してくると、まず初めに気がつくことが出来るのが「毛艶」です。タンパク質の不足は、被毛にも影響を与えるものなので、ちょっと変化が感じられた場合には、日頃の食生活を改めて見直してみるのも良いかもしれませんね。

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