犬の体を作るのに欠かせない栄養素の「タンパク質」。タンパク質を摂取するには、肉が手っ取り早いと考えてしまいがちですが、タンパク質をしっかりと理解して、効率よく摂取する必要があるのです。今回はタンパク質の性質と必須アミノ酸について解説します。

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「タンパク質」は、重要な栄養素のひとつ

栄養素の中でも特に重要な要素となる「タンパク質」。誰もが効いたことのある栄養素の一つだと思いますが、タンパク質は「筋肉」を作る素となるだけではなく、「臓器」や「皮膚」「被毛」「血管」「骨」といったように、体を形成するのに無くてはならない組織を構成する栄養素なんです。

また、「ホルモン」や「酵素」「免疫抗体」といったものも全て、このタンパク質から構成されています。タンパク質は体を構成する部分だけではなく、他の栄養素の素にもなっているため、タンパク質が不足してしまうと、健康な体を維持することが極めて困難になることでしょう。

このように、体を構成する全てと言っても過言ではないタンパク質ですが、このタンパク質が不足してしまうと、犬の体にはどのような事が起きてしまうのでしょうか。

タンパク質が不足してしまうと

犬の体にタンパク質が不足してしまうと、犬の皮膚はどんどん荒れていき、ケガをしてしまってもケガの治りが遅かったり、免疫力も低下してしまうので病気になりやすくなるでしょう。この他、精神的にも不安定な状態に陥ってしまったり、ちょっと動いただけでも疲れてしまったりといった状態を引き起こすことでしょう。

これは前項のとおり、タンパク質が皮膚や被毛、さらには免疫抗体を構成するのにも関わっているためですよね。そして、もっとも深刻なのは成長期の子犬にタンパク質が不足することです。
子犬の時期は、体を作り上げるのに最も重要な時期でもあるので、タンパク質が不足することで成長の促進が妨げられてしまったり、脳の活性化にも影響を及ぼすでしょう。

タンパク質は筋肉を作る素というイメージも無くはないですが、このように、筋肉というよりかは、もっと根本的に、体に必要な部分を構成する栄養素だということが分かります。そのため、数ある栄養素の中でもタンパク質は、犬の体に一番必要な栄養素だということが言えるでしょう。

タンパク質の違い

タンパク質が非常に重要な栄養素だということはわかりますが、このタンパク質を摂取するにはどうしたら良いのでしょうか。そこで、犬や人間がタンパク質を摂取すると言うと、すぐに浮かんでくるのが「肉」に代表される「動物性タンパク質」でしょう。

一言でタンパク質と言っても、このようにタンパク質には肉類に代表される「動物性タンパク質」や、大豆やとうもろこし等に代表される「植物性タンパク質」に分けられますが、このタンパク質の違いとはどういったものなのでしょうか。

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タンパク質の違いと「アミノ酸」

タンパク質は、約20種類の「アミノ酸」が結合されたもので、鎖状に繋がってできています。例を挙げると、「A+B+C+・・・」といったようにアミノ酸が結合されているわけですが、この配列=結びつき方が違う事で、例に挙げたタンパク質とはまた別のタンパク質となるのです。

こうして形成されたタンパク質が体内へと摂取され、消化されることで繋がっていたアミノ酸はバラバラになっていき、やがてそれぞれのアミノ酸として体内に吸収されていくのです。そこで重要となってくるのが、聞き覚えもあるでしょう、「必須アミノ酸」というものです。

実はアミノ酸は、体内で合成されるものもあるのですが、この内、体内で合成されないために食事から摂取する必要があるアミノ酸の事を「必須アミノ酸」と呼んでいます。この必須アミノ酸は、犬であれば10種類あり、これらの必須アミノ酸は「動物性タンパク質」や「植物性タンパク質」に含まれているものなのです。

犬の必須アミノ酸とは?

犬が必要とする10種類の必須アミノ酸。残念ながら、この10種を同時に摂取できる食べ物はありません。そのため、バランス良く肉を食べ、野菜を食べる必要があるのです。10種の必須アミノ酸とは、

・ヒスチジン
・イソロイシン
・アルギニン
・ロイシン
・メチオニン
・スレオニン
・バリン
・トリプトファン
・リシン
・フェニルアラニン

の10種となります。これらの必須アミノ酸が欠乏してしまうと、タンパク質だけでなく、他のビタミンなどの栄養素にも影響を与えてしまいます。そのため、いずれか1種だけを多く摂取しても意味は無く、バランス良く摂取する必要があるのです。
これが、「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」に分けられている理由になります。

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必須アミノ酸の知識と被毛の変化

犬の体に無くてはならない「タンパク質」と「必須アミノ酸」の関係ですが、普通の生活・普通の食生活を送っていれば、実は欠乏するという事は考えにくいのです。よほど偏った生活や、野菜ばかり食べる生活を送っていなければ、タンパク質の欠乏も考えにくいのが、近年の犬の食生活です。

タンパク質は、身近な「肉」や「卵」「大豆」「魚」「牛乳」などから摂取できるもので、これらの食材の中にもそれぞれの必須アミノ酸が含まれています。ドッグフードにもこうした食材は使われている場合がほとんどなので、特にアンテナを立てて気にする必要は無いかもしれません。

場合によっては、手作りのフードを与えている方もいらっしゃると思います。手作りフードを作っている方なら、必須アミノ酸の知識は最低限押さえておかなければいけないものなので、しっかりと理解するようにし、バランスの取れた食事を作れるようにしましょう。

犬の体に必須アミノ酸が不足してくると、まず初めに気がつくことが出来るのが「毛艶」です。普段から愛犬を撫でていれば、すぐにこの毛艶や毛質の変化に気がつくことができるでしょう。タンパク質の不足は、被毛にも影響を与えるものなので、ちょっと変化が感じられた場合には、日頃の食生活を改めて見直してみるのも良いかもしれませんね。

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