犬の消化器系の病気には、様々な病気が存在しています。また、初期症状もわかりにくい病気も存在するため、日頃の健康管理や犬の様子を見ているだけでは、なかなかわかりにくいものも。今回は、消化器系の病気と対策について解説します。

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犬の消化器系の病気

一言で消化器系と言っても、食事から引き起こされる病気、事故から引き起こされる病気、不衛生な環境から引き起こされる病気など、色々な病気が存在します。こうした病気を予防するためには、まずは飼い主さんがしっかりと病気についての知識を身につけることが大事になります。

病気の知識が身につくと、ちょっとした異変にも気が付くことができますし、症状の兆候からもおおよその病気が検討つくでしょう。また、こうして病気に対しての知識を身につけることで、病気にならないような対策を講じることもできます。では、実際にどのような病気が存在するのか、見てみましょう。

子犬の誤飲には要注意

愛犬が便秘がちだったり、嘔吐や脱水症状、食欲の減退といった症状が見られないでしょうか。その原因の多くは、異物を飲み込んでしまったことによるものが大半ですが、中には、他の病気や寄生虫などが、腸閉塞を引き起こしている場合も考えられます。

症状が重症になってくると、やがて激しい腹痛のために体を丸める姿勢をとっていたり、呼吸の仕方も苦しそうなものに変わってきます。これは、腸閉塞によって腸の血行が止められてしまい、腸管が壊死に向かっているためで、完全に壊死してしまうと死に至る場合もあります。腸閉塞は初期症状も軽く見えてしまうため、ちょっとした症状と油断していると、取り返しのつかない事態にもなりかねない病気でもあるのです。

腸閉塞を引き起こす原因には、愛犬の拾い食いや、おもちゃ等を誤って飲み込んでしまうことで発症してしまうものが多いのです。石、ビニール袋、大量のティッシュ、小銭など、子犬の頃では、食べて良いもの・悪いものの区別もついていないため、家の中でも危険があります。こうした誤飲が原因となるほか、腸に出来てしまった腫瘍や、腸に寄生する寄生虫の大量発生でも、腸閉塞を引き起こす場合があります。

腸閉塞を防ぐためには、まずはこうした誤飲事故を無くすことが重要です。飲み込んでしまってからでは、すでに遅いのです。場合によっては吐き出すことも、糞として出すことも出来ないような物も、飲み込んでしまいかねません。また、万が一こうしたサイズのものを飲み込んでしまうと、外科手術によって開腹しなければ、摘出出来ない場合もあるのです。
犬の体力も減るばかりか、無駄な出費となってしまいますので、誤飲による事故をおこさないよう、しっかりと注意するようにしましょう。

崩れた食生活は高齢になると悪影響

「膵炎(すいえん)」とは、膵臓が作り出す「膵液(すいえき)」が逆流することで、消化液である膵液が膵臓を消化・炎症させてしまう病気で、「急性」のものと「慢性」のものに分かれますが、急性の場合には発熱や元気の減退、食欲の低下が見られるようになり、やがて嘔吐や下痢といった症状が現れます。こうした症状の軽いものがダラダラと続くものが、慢性の症状にあたります。

こうした症状を放おっておくと、やがてはショック症状もあらわれ、血圧の低下や心停止といった症状も起こりえます。ここまでいくと、膵液が他の器官も消化しはじめ、多臓器不全に陥る事も考えられ、命に関わる事態にもなり得るのです。

膵炎を発症してしまう原因については、様々な要因が関係しています。この膵液が逆流してしまうのは、犬が激しい嘔吐をした場合や異物などが詰まって膵管が詰まってしまった時、何らかの要因によって、膵臓にダメージを受けた場合が考えられます。また、「クッシング症候群」等のホルモンの病気や、ウイルス感染等による病気が引き金となって、膵炎を引き起こす場合もあります。

日頃から、脂肪分の多いような食事、消化に悪いような食べ物など、高脂肪な食事を取り続けた事によって、肥満体型になり、膵炎を引き起こすという事も少なくないようです。高齢犬に多く見られる膵炎ですが、こうした高脂肪な食事が蓄積されていき、膵臓が悲鳴をあげた結果といえるでしょう。人間の食べ物を犬にも与える方がいますが、人間の食べ物は、犬の栄養バランスを崩し、肥満の原因にもなります。こうした行動はすぐに止めるようにしましょう。

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肛門のケアも大事

犬が肛門嚢炎を発症すると、お尻や尻尾を気にする様子や、お尻を擦りつけて歩いたりといった様子が見られるようになります。症状が悪化していくと、今度は排便時に踏ん張っても出にくそうにしていたり、排便するたびに痛そうに鳴いたり、排便自体を嫌がるようになるでしょう。腫れは腫瘍となってしまい、また、腫れ上がった患部が破裂することもあります。

肛門嚢炎を発症してしまう原因には、肛門腺を絞らないことが挙げられます。肛門腺とは、犬の分泌液を分泌する器官で、この分泌液は肛門嚢に貯められます。この分泌液は、通常であれば排便時に一緒に排出され、排便することで臭いを付けて「マーキング」する働きがあります。分泌液は、マーキングをするためのものなのです。

こうして一緒に排出されるはずの分泌液ですが、中には上手に排出されず、肛門嚢に溜まってしまう犬もいるのです。これを排出させなければ、肛門嚢の中で細菌が繁殖してしまい、やがて炎症してしまい肛門嚢炎となります。そして分泌液は膿として溜まっていき、肛門嚢を膨らましていってしまうのです。

このようにして肛門嚢炎を発症してしまうのですが、分泌液を排出できない犬は、肛門腺を絞ってあげて分泌液を排出させてあげる必要があるのです。溜まりやすさ、肛門腺を絞る頻度は犬によっても変わりますが、目安としては1ヶ月に1回の頻度で絞ってあげるようにしましょう。一度肛門嚢炎を発症してしまうと、消毒や抗生剤を投与するなどの治療が必要になります。こうした面倒なことになる前に、きちんと肛門腺を絞るようにしましょう。

まとめ

犬の生命を維持するのに必要不可欠な、体の消化器系。一言で消化器系と言っても、様々な部位に影響を及ぼし、色々な点に気をつけなければいけないことがわかるかと思います。

常に犬に健康な体で生活してもらうためには、飼い主さんが責任をもって愛犬の体調管理、食事の管理を行う必要があります。また、食べれば何でも良いと言うわけではありません。前述のように、偏った食事は、ゆくゆく病気を引き起こす結果を招いてしまいます。

こうした病気にならないためにも、愛犬の様々な部位に気を使うようにし、常に健康体でいられるように、体の良いものを摂取し、清潔な環境で、毎日体を動かすことができるような環境作りを目指しましょう。

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