特徴的なその容姿で、一度見たら強い印象が残る「スフィンクス」。その特徴は何と言っても無毛の体です。うっすらと産毛はあるものの、無毛ならではのメリット・デメリットがある猫種でもあります。今回はスフィンクスについて解説していきます。

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異彩を放つスフィンクスの容姿


珍しい犬や猫がたくさん存在しますが、その中でも異彩を放つ猫と知られる「スフィンクス」。SF映画の超大作「ET」のモデルにもなったと言われているその容姿は、全身の毛が無く、その容姿と雰囲気が、古代エジプトの石像「スフィンクス」に似ていたことから、スフィンクスと名付けられました。

そんなスフィンクス、てっきりエジプトに縁があるのかと思ったら、実はカナダ原産の猫だということをご存知でしょうか。なぜ、スフィンクスの異名を持つのにカナダ原産なのか。その謎は、スフィンクスのルーツにありました。

スフィンクス誕生のルーツ

かつては「カナディアン・ヘアレス(Canadian Hairless)」の呼称もあったスフィンクス(Sphynx)。1966年のカナダのトロントで、突然変異によって無毛の猫が一匹だけ誕生しました。

親猫は長毛種でありながら、無毛の猫として誕生したこの無毛の猫は「プルーン」と名付けられました。後に、このプルーンがスフィンクスと呼ばれる猫の基礎となるのですが、残念ながらプルーンの血統は途中で途絶えてしまうこととなります。

その後も、突然変異によって無毛の猫は誕生してはいましたが、いずれの個体も繁殖する事ができず、失敗に終わることとなります。

このように、無毛の猫は昔から突然変異で誕生してはいたようですが、いずれの猫も子孫を残すことはできていなかったようです。

スフィンクスの原産国はカナダ

1978年、プルーンを産んだ母猫は無毛の猫をまた出産、ついにスフィンクスの原型となる猫が誕生します。この当時、カナダのトロントだけでなく、アメリカでも無毛の猫が発見され、無毛猫の繁殖に用いられるようになります。

その後、無毛の子猫は新品種(スフィンクス)の確立のため、ヨーロッパへと送られることとなり、巻き毛で知られる「デボンレックス」と交配させることで現在におけるスフィンクスの原型が作られました。

こうしてスフィンクスの基礎は築かれ、1979年に新品種としてスフィンクスが登録、新品種として確立されていったのでした。現在では、障害が発生するとして、スフィンクスとデボンレックスの交配は禁じられていますが、こうして「カナダ」原産のスフィンクスが確立されていったのです。

デボンレックスとはどんな猫?


スフィンクスの確立のために用いられたデボンレックス。デボンレックスはイギリスを原産国とする「巻き毛」を持つ猫で知られており、スフィンクス同様に突然変異で誕生してきた猫です。

デボンレックスは野良猫の一匹として発見された猫で、スフィンクス同様に新品種としてデボンレックスを確立させるために、「コーニッシュレックス」等と交配させる試みが行われました。

一時期は同じ品種として登録されたものの、1979年に別品種として新たに認定、巻き毛を持つデボンレックスが認められたのです。

このように、デボンレックスもスフィンクスと同じような歴史を辿っている猫で、偶然道端で発見されたことにより、その子孫を残してきた同士とも言える猫なのです。

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皮膚のケアは欠かせません

スフィンクスは無毛の猫として知られていますが、その肌はペタペタと吸い付くような肌を持っています。ロングヘアーの猫の毛の手入れも大変ではありますが、スフィンクスの毛の生えていないこの肌を健康に保つことも大変です。

スフィンクスの持つ独特のこの肌は、皮脂や汚れが皮膚に溜まってしまい、飼い主がこまめに肌を拭いてあげなければならず、こうした肌のケアを怠ってしまうと、スフィンクスは皮膚病になりやすくなってしまうのです。

通常の毛の生えている猫であれば、こうした皮脂は毛が吸い取り、汚れも毛が受け止めるため、ブラッシング等で清潔に保つことができ、皮膚への影響はよほどでなければありません。しかし、スフィンクスはこうしてガードしてくれる毛がないため、ダイレクトに皮脂へと影響されるのです。そのため、常に清潔にする必要があるのです。

寒暖差にも注意が必要です

そして、スフィンクスは毛が無いために、温度差が激しいことでも皮膚や体調に影響してしまいます。寒い時であれば、毛もないためにより寒く感じてしまい、逆に炎天下であれば直接的な日光は厳禁です。

スフィンクスを飼育する上では、温度管理も非常に重要な要素となり、こうした温度管理ができなければ、スフィンクスの体調も崩れやすくなり、また、肌の状態も悪くなることでしょう。

毛が無いので想像は付くと思いますが、肌を守るはずの毛が無いことで、こうした状況もダイレクトに皮膚へと影響を与えてしまい、また、スフィンクス自体の体調をも左右するのです。

洋服を着せてあげたり、こまめに皮膚のケアを行うなど、スフィンクスを飼育するにあたっては皮膚を守るケアが重要です。

スフィンクスの性格


一見すると、風格ただようスフィンクスですが、その性格は好奇心旺盛で甘えん坊、また非常に愛情深い猫種として知られます。そのため、人間の子供に対しても穏やかに接してくれ、共に遊ぶこともできるため、お子様のいる家庭で飼育されても、しっかりと空気を読んで一緒に生活することが出来るでしょう。見た目のイメージとはちょっと違いますね。

また、無毛であるスフィンクスのメリットとしては、猫アレルギーの方でも、アレルギー反応が見られない場合があることです。猫の毛に限らず、動物の毛などに反応してしまう、動物アレルギーの方でも、アレルギー反応が出ない場合も多いため、100%とは言えませんが、動物アレルギーの方とも接することが出来る猫種といえます。

猫アレルギーのメカニズム

人によって猫アレルギーを持つ人と平気な人が存在しますが、その原因は何故なのでしょうか。

その根本となるのが、人の体内にある「ヒスタミン」と呼ばれる物質です。このヒスタミンがアレルゲンに反応してしまい、猫アレルギーを発症してしまうのですが、このアレルゲンには「Fel d 1」や「Fel d 4」など、計8種類が存在します。

一般に、猫アレルギーを発症しにくいと言われる猫は、このアレルゲンの産出量が少ない事がわかっており、そのため猫アレルギーを発症しにくいと言われているのです。しかし、これらの猫がアレルゲンを100%持っていないというわけではなく、あくまでも産出量が少ないという事に注意が必要です。

猫アレルギーを発症しにくいと言われているのには、こうした理由があるのですが、100%の確立ではありませんので、まずはしっかりとしたパッチテストが重要になるでしょう。

スフィンクスの寿命はどのくらい?

スフィンクスの寿命は、平均すると15歳前後といったところ。一般的な猫の平均寿命と差はありません。とはいえ、スフィンクスは無毛の猫。日頃からの健康管理をしっかりと行わないと、寿命も短くなってしまうかもしれません。

とはいえ、猫の長寿記録はこのスフィンクスが保持しているんです。残念ながら2005年に虹の橋を渡ったスフィンクスの「クリーム・パフ」ちゃんは、なんと38歳という年齢でした。

スフィンクスにしっかりと寿命を全うしてもらうためには、まず第一に温度の管理が重要となるでしょう。日本のように四季がある国では、夏と冬の管理方法も異なってきます。前述の通り、あまり寒暖差を与えないようにし、適正温度で生活を送れるようにしましょう。

また、夏場は紫外線のあたりすぎにも注意が必要です。紫外線の影響で皮膚がんを引き起こす可能性もありますので、夏場でも洋服や薄手の衣類を着用するようにしましょう。

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スフィンクスのかかりやすい病気について


スフィンクスは無毛の影響からか、皮膚病がおこりやすい猫種として知られます。基本的には体を拭いてあげたりと、清潔な状態を保っていれば問題はありませんが、不潔な状態にしておいてしまうと、皮膚を守る被毛がありませんので、ダメージを受けやすいといえるでしょう。

また、スフィンクスは遺伝的に心臓疾患を抱えている場合も多いようです。「肥大型心筋症」「僧帽弁形成異常」が特に注意が必要になりますので、若年期になにかしらの異変を感じた場合には、念のため診察を受けたほうが良いかもしれません。

調査によると約30%の確立で心臓疾患が認められるというデータもあるようですので、スフィンクスを飼育する際には心臓疾患の初期症状について理解しておくと安心かもしれません。

スフィンクスのブリーダー

日本でもまだまだめずらしい品種のひとつであるスフィンクス。ペットショップで見かける機会は少ないながらも、全く見かけないというわけではないかもしれません。また、スフィンクスのブリーダーは徳島県、福岡県に存在しております。やはり暖かい地方になりますね。

スフィンクスの価格は、平均すると25万円ほど。安くとも20万を少し切る程度でしょう。また、高いスフィンクスになると100万円近くの個体もいるようです。両親の血統によってや、月齢によっても価格は変動しますので、迎え入れるタイミングによっても変わってくるでしょう。

猫舎にいる段階から探したい!という方は、親の顔も確認できるブリーダーから迎え入れるのが理想的ですね。遺伝による疾患など、色々と確認して見ても良いかもしれません。

まとめ

他の方と違う猫を飼いたい!と思う方には、うってつけの猫種でもありますが、前述のとおり、飼育する際には他の猫種とは違うケア方法や、温度管理なども適切に行えなければいけません。

性格も飼育しやすく、一般家庭にも溶け込むことができる猫種ではありますが、こういったケアをきちんと行えなければ、スフィンクスを飼育することは難しいでしょう。真夏や真冬だけ気をかければ良いわけではありません。寒暖差にも敏感なので、春や秋の温度が変わりやすい時期においても気を使わなければいけず、1年中のケアが必要になるでしょう。

しかしながら、非常に愛情深い猫種でもありますので、こうしたケアさえしっかりと行うことができれば、よいパートナー猫となるでしょう。

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