家族以外の人や犬が近付くと、震えたり唸ったりする子を見たことありませんか。このような子に無理に近付くと恐怖のあまり噛み付くことがあり、これは、犬の社会性が欠如したことが原因の一つであると考えられています。では、犬の社会性とは何でしょうか。

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子犬の社会化期とは

生後4週間から16週間までは、「犬の社会化期」と呼ばれ、この期間の子犬は、感受性も豊かになり、好奇心が旺盛になるため、子犬の置かれている環境の様々なものを体験や経験をさせることで、犬の社会性を身に付けるのに最も適した時期なのです。

愛犬の社会性を高めてあげることで、人間社会のマナーを身に付けることにも繋がりますので、愛犬にとっても、飼い主さんにとっても、家族以外の人にとっても、誰もが快適に暮らせる愛犬との生活を手に入れられるでしょう。

しかし、この期間を過ぎると、子犬は好奇心より警戒心や恐怖心の方が強くなるため、新しいものに接する場合は少し時間がかかることがあります。

ケンネル症候群とは

ケンネル症候群というものをご存じでしょうか?
生後生まれてまだ間もない子犬が、母犬や兄弟犬と引き離され、ペットショップのような陳列用のケージに入れられて、1頭で育つことに伴うストレスから、犬や人だけでなく、ケージの外の世界の全ての環境に怯える臆病な犬に育ってしまうことが「ケンネル症候群」と言います。

何気に立ち寄ったペットショップで「少しだけ・・・」と、陳列されている子犬の気を引こうと、ガラスをトントンと叩いたり、顔が見たくて寝ている子犬を起こしたこと、動物好きの方なら誰でもそんな経験ありますよね。
しかし、この「少しだけ・・・」が積み重ったことが子犬にとってストレスとなり、子犬の性格形成に大きな影響を与えてしまうのです。

人間に置き換えて考えてみましょう。例えば、2~3歳くらいの子が親兄弟と引き離されて、たった一人で部屋に入れられ、食事も睡眠も一日のほとんどは一人で過ごすのです。そして、眠い時にはガラスを叩かれて覗き込まれ、たまに抱っこをしてくれる人が現れても、またすぐにひとりぼっちに戻ってしまいます。これって、とても寂しいことだと思いませんか。

今は、この社会性を身に付けるために、1頭ずつ陳列するのではなく、大きなケージに複数頭の子犬を入れて自由に遊ばせ、犬同士コミュニケーションを取れるように陳列しているペットショップも増えてきました。
しかし、子犬が寝ているのにガラスを叩いたり、安易に抱っこをするということは、子犬たちに大きな負担をかけてしまうということを忘れてはいけません。

社会性を身に付けるために、愛犬を外に出しましょう

愛犬を外に出し、愛犬が将来必ず見聞きするもの(例えば、他の犬の吠え声や、車やバイクの音、工事現場などの大きい音、花火や雷など)に慣れさせることが必要です。

しかし、この犬の社会化期は、ちょうど愛犬のワクチン予防接種前という時期でもあるため、愛犬を外へ連れ出すことなく、安静に家の中で過ごそうとする飼い主さんが多いと思いますが、これではせっかくの社会化期を無駄に過ごしてしまいます。
地面を歩かせたり、他の犬と接することができないのであれば、抱っこをして近所を歩いみたり、ペットキャリーに入れて車に乗せてみるなど、様々なものに慣れさせることが必要です。

老若男女あらゆる人や犬に会わせましょう

家族以外の人や犬に対して、分け隔て無く、友好的に接することができる犬にするためには、子犬のうちからあらゆる人や犬と接する機会を作ってあげることが大切です。この期間中に十分な社会性が付かなかった子は、家族以外の人や犬に対して、恐怖心を持ったり、過度に怯えて吠えてしまったり、攻撃的になることがあります。

そのため、社会化期には、家族以外の子供や年配の方、制服を着ている方やヒゲが生えている人、どんな人でもにどんどん会わせてあげましょう。この時、家族以外の人におやつを与えてもらうことも一つのやり方です。また、愛犬が嫌がっている時は、少しずつ慣らしていきましょう。

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人に対してしてはいけないことを教えましょう

生後2~4ヶ月と言えば、歯が生え始めて痒くなってくる頃のため、甘噛みを頻繁にするようになります。愛犬と一緒に遊んでいると、初めは遊びのつもりですが、そのうち夢中になって遊びがエスカレートして本気で囓られることも多々あるのではないでしょうか。これは、甘噛みと言っても良くないことなので、止めさせないといけません。

愛犬が甘噛みした時、すかさず「だめ!」「いけない!」とピシッと叱り、その場を離れます。子犬にとって飼い主との楽しい遊びの時間が強制的に終わり、ひとりぼっちになってしまうのです。これが子犬にとっての罰であり、これを繰り返すことで子犬は囓るとひとりぼっちにされてしまうと学習します。

愛犬が甘えている時に囓った場合、同じように「だめ!」「いけない!」と叱り、愛犬のお腹を上にして服従の体勢を取ったまま、下顎を押さえます。どんなに暴れても、その体制でしばらくじっとしましょう。そのうち諦めて大人しくなったら解放して、噛んでも良いおもちゃを与えてあげましょう。

この時、決して愛犬のマズル(鼻先から口にかけた部分のこと)全体を強く掴まないようにして下さい。鼻周辺は急所になっているので、力強く押さえ込むと命を落とすことがあります。また、舌を挟むこともありますので、十分注意しましょう。

さいごに

このように、犬の社会化期に愛犬が体験や経験、学習したことは、今後の愛犬の性格を作る上でとても大切なものであり、この期間に愛犬が習得したものは、生涯ずっと忘れないとも言われています。犬の世界でも「三つ子の魂百まで」という言葉があるようですね。

「他の人や犬を嫌がっているのに、無理に慣れさせる必要はない」と、諦めてしまう飼い主さんもいると思います。他の人があまり散歩に出ていない時間帯を狙って散歩に出れば良いからです。確かに、愛犬に無理強いをさせることは良くありませんが、愛犬の苦手の克服を諦めてはいけないのではないでしょうか。

愛犬が怖い物や苦手な物が多いということは、愛犬がそれだけ多くのストレスを抱えているということです。飼い主さんが愛犬を変えてあげなければ、愛犬は本来必要のないストレスを抱えたまま、生涯暮らさなくてはいけないのです。1つでも苦手意識を克服してあげた方が良いですよね。

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