症状がわかりにくく、発見が遅れがちな「糸球体腎炎」という病気。初期の症状にはタンパク尿が認められますが、軽度である場合にはまだまだ判断がつきにくい病気です。今回はこの糸球体腎炎の症状と予防策について調べてみました。

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無症状でわかりにくい「糸球体腎炎」とは

一見、無症状なので病気になっているのかが非常にわかりにくい「糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)」と呼ばれる病気。初期症状も軽度なので、病気と気がつくまでは時間がかかるかもしれませんが、症状が悪化してくると腎臓にダメージを与えてしまう病気なので、注意が必要な病気でもあります。

「糸球体腎炎」とは、腎臓内部にある血液をろ過する働きをする「糸球体」に炎症が起きてしまうことを言い、「急性腎炎」とも呼ばれます。ウィルスや細菌が原因となって発症することが多く、比較的オス猫が発症するケースが多いようです。

腎臓は一度ダメージを受けてしまうと、元通りに再生することが出来ない臓器のため、状態が深刻化してしまうと「急性腎不全」や「慢性腎不全」の症状も見られるようになります。では、まずは「糸球体腎炎」を発症してしまった場合に見られる症状について見てみましょう。

糸球体腎炎の初期症状について


糸球体腎炎の症状には、尿の量が減少したり、尿が出にくくなる、もしくは多尿になるといった症状が見られるようになります。その他、元気が無くなったり、うつのような状態が見られるようにもなりますが、ちょっと元気がないなと見落としがちな症状でもあります。

また、嘔吐や体重減少、食欲の低下といった症状も見られるようになり、いつもうれしそうにご飯を食べていたのに、残してしまったりと言った様子も見られるようになるでしょう。

身体的な症状ではむくみが見られたり、脱水症状になるといった症状が見られるようになります。下痢も伴う場合があり、腹痛で動き回らなくなったり、抱き上げられるのを拒むような仕草も見られるようになります。

糸球体腎炎の特徴的な「タンパク尿」の症状

初期の症状の中でも特徴的なのが「たんぱく尿」が出る症状です。猫の糸球体腎炎の最大の特徴となるのがこのたんぱく尿なのですが、たんぱく尿が見られても軽度である場合には糸球体腎炎とは認められない事もあります。

通常であればタンパク質は、腎臓で濾過されるために尿中にはあまりタンパク質が見られませんが、腎臓の機能が正常ではない場合に、タンパク質が尿中に混ざってしまうのです。

とはいえ、激しい運動や体調が回復したばかりの時にもタンパク尿が増えたりと、体のちょっとした変化でもタンパク尿が認められるため、タンパク尿が認められたからとすぐに病気だと疑うのは難しい判断になります。

また、タンパク尿は糸球体腎炎以外にも、肝臓の病気「ネフローゼ症候群」や「糖尿病」等にも見られる症状のため、糸球体腎炎とすぐに判断することが難しいのです。

糸球体腎炎の症状が悪化すると

糸球体腎炎が悪化してくると、腹水が見られたり、血液の巡りが悪くなってしまうために「血栓」ができやすくなります。その結果、血の塊が血管に詰まって血流障害を引き起こす「血栓塞栓症」を発症することもあります。

血栓塞栓症を発症してしまうと、足などに麻痺が起きたり、場合によっては命の危険も伴うこともあります。この他、高血圧の状態になるために「眼底出血」や「網膜剥離」といった症状も見られるようになり、場合によっては失明する可能性もあります。

糸球体腎炎の症状と併発して「急性腎不全」もしくは「慢性腎不全」を引き起こす場合もあり、これらの病気を発症した場合にはより深刻な事態になるでしょう。前述の通り、腎臓は一度ダメージを受けると完治することはありませんので、腎不全をきっかけに様々な病気を併発する可能性も出てきます。

日頃からの健康管理とボディチェックを

糸球体腎炎の初期症状から、重症化してしまった場合の症状について見ていきましたが、糸球体腎炎の症状はゆっくりと進行していくために、悪化している状態に気が付かずに症状が重くなってしまっているケースもあるようです。

日頃から健康管理を行っていれば気がつくかもしれませんが、軽い健康管理程度であれば「今日はちょっと元気がないな」「ご飯の好みが変わったのかな」と、病気の初期症状とは思わずに過ごしてしまうでしょう。

非常に初期症状がわかりにくい糸球体腎炎ですが、こうした症状を発症してしまうこともあるので、日頃から愛猫の状態を把握できるようにし、ささいな違いも見逃さないようにすることが大切です。

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糸球体腎炎の原因となる感染症

残念ながら糸球体腎炎を発症する明確な原因は、未だに解明されていませんが、ウィルスや細菌、他の病気などを発症することが原因とされています。

これらの病気を発症することで、体内で免疫反応を引き起こし、その病原体を取り除こうと抗体を作るのですが、それらの抗体が合体して糸球体にくっつくことで炎症が起きてしまい、糸球体腎炎を発症してしまうのです。

「猫免疫不全ウィルス感染症(猫エイズ)」や「猫伝染性腹膜炎(FIP)」、「猫白血病ウィルス感染症(FeLV)」などのウィルス感染によるものの他、「リンパ腫」や「全身性エリテマトーデス」、「膵炎」や「骨髄増殖性疾患」などの病気が免疫反応を引き起こす原因となると考えられています。

猫免疫不全ウイルス感染症とは?


糸球体腎炎を引き起こす場合もある「猫免疫不全ウイルス感染症」。通称「猫エイズ」と呼ばれるこの感染症は、ウイルスによる感染が原因で引き起こされる感染症で、場合によっては命を落としてしまう可能性のある怖い病気です。

原因は、猫免疫不全ウイルスを保持している猫との接触ですが、主にケンカやグルーミングが挙げられます。ウイルスは唾液中に潜んで感染を拡げますが、実際のところウイルス自体の感染力はそれほど強くはありません。

とはいえ、油断はできないウイルスなので、ウイルスを保持している猫との接触は避けなければなりません。また、発症するまでには4年〜といった長い期間潜伏しており、中には10年以上も症状が見られない場合もあります。

猫の膵炎も感染症が要因に

上記に挙げられたような感染症は糸球体腎炎だけでなく、猫の「膵炎」も引き起こす場合があります。膵炎もまた、糸球体腎炎のように感染症が原因となり、下痢や嘔吐といった初期症状から、糖尿病を引き起こしてしまったりと、油断の出来ない病気の一つ。

膵炎の場合は感染症に加え、肥満体質や食事の管理の悪さによっても引き起こされる病気ですが、感染症はこのように様々な病気を引き起こす要因ともなるのです。

糸球体腎炎を発症している時に膵炎も併発してしまうと、猫の体も免疫不全の状態となってしまい、病期の進行を早めてしまったり致命傷を与えてしまったりしますので注意が必要です。まずは基本となる感染症に感染しないということが最も大事になります。

糸球体腎炎の原因とは

糸球体腎炎は、比較的にメス猫よりオス猫が発症することが多く、その確率も75%にもなると言われています。オス猫を飼育している場合は特に注意が必要です。

前述で挙げたような感染症は、基本的には室内飼いに徹していれば、感染のリスクも大きく下がるものです。しかし、外飼いをしているのであれば話は別です。外飼いをしていると、これらの感染症だけでなく、様々な病気になるリスクが高いと言えます。

糸球体腎炎を発症する原因は特定できていないものの、主に感染症が最も疑うべき原因となっているため、感染症を防ぐことが糸球体腎炎を予防する事にも繋がるのです。

日頃から外飼いを行っているのであれば、すぐに外飼いをやめ、室内飼いに切り替えて毎日の健康管理を徹底しておくようにしましょう。

糸球体腎炎の治療について

糸球体腎炎の治療に関しては、まずは元となる病気の治療が急がれます。また、糸球体腎炎を発症したことで進行してしまっている病気への対処療法も行われます。

血栓塞栓症などの病気がある場合には、血栓を溶かす治療が行われたり、ホルモン剤の投与を行ったりという治療が施されるでしょう。また、猫の体力を維持するために、タンパク質を避けた食事や栄養補給も必要になっていきます。

じわじわと進行していく糸球体腎炎。明確な原因もわからないため、まずは日頃からの健康維持や予防接種が大事になってくるでしょう。また、極端にタンパク質に偏った食生活も危険が伴います。

バランスの取れた食事を心がけるようにし、日頃からの愛猫の尿チェックも欠かさないようにしましょう。

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健康管理のために糞尿のチェックも


糸球体腎炎の症状を見つけるには、日頃から愛猫の尿の状態を把握することにあります。

猫砂ではなく、ペットシーツ等でおしっこをする猫であれば、尿の色も把握し易いですが、猫砂におしっこをする猫であれば、猫砂を切り替えてみたり、尿の回数をカウントしておくなど、できる範囲で尿の状態を把握できるようにしましょう。

そして、いつもの尿の色に比べ、濃い色、もしくは薄い色が続いているようであれば、糸球体腎炎に限らず、何かしらの変化が体内に起きている証拠となります。場合によっては用心が必要になるかもしれません。

また、体調の悪さは便の色や臭い、形などにもあらわれやすいです。糸球体腎炎の初期症状では下痢の症状も見られるため、便の状態も合わせて確認しておくようにしましょう。

糸球体腎炎を予防するには

糸球体腎炎に限らず、病気をいち早く見つけるために一番効果的となるのが動物病院による「定期検診」でしょう。

尿の濃度を計ることもそうですが、この糸球体腎炎という病気は感染症から引き起こされる場合も多いので、「猫免疫不全ウィルス感染症(猫エイズ)」や「猫伝染性腹膜炎(FIP)」、「猫白血病ウィルス感染症(FeLV)」などの感染症を予防するためにも、1年に1回の混合ワクチンは必ず接種するようにしましょう。

ワクチンを接種する際には健康チェックも必ず行われますので、日頃から気になっている点や、前とは違った点で気になっていることなどを相談するようにしましょう。一番危険なのは、ただ何となく過ごすことです。ちょっとした変化にも気がつけるよう、病気に対しての知識も持つようにしましょう。

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