ロシアの国宝とも称される、極寒のロシア北東部に起源を持つ猫「サイベリアン」。1000年も前から存在していたとされるサイベリアンですが、名前を知られるようになったのはつい最近のこと。今回はサイベリアンの歴史と特徴について見てみましょう。
ロシアの国宝「サイベリアン」
猫は寒さに弱いというイメージを覆すような、極寒の地でもあるロシア北東部に起源を持つ長毛の大型猫「サイベリアン」。同じく寒い環境で土着し、進化を遂げていったノルウェー原産の「ノルウェージャン・フォレスト・キャット」と同じく、サイベリアンも「サイベリアン・フォレスト・キャット」と呼ばれ、極寒の地シベリアで長い年月をかけて進化を遂げていきました。
現在もロシアでは国宝とも称され、ロシア初代大統領ゴルバチョフ氏をはじめ、メドヴェーデフ元大統領もサイベリアンを飼っていたそうです。また、2013年にプーチン大統領から秋田県知事へとサイベリアンが贈呈された事でも知られていますね。(プーチン大統領へは秋田犬が贈呈されました!)
「シベリア猫=Siberian」とも呼ばれるサイベリアン、その起源や性質について見てみましょう。
サイベリアンのルーツ
サイベリアンのルーツはとても古く、近年の遺伝子解析の結果からも1000年も前から生息していたと言われていますが、明確な起源というのは不明のままとなっており、ロシア北東の土着猫として自然発生的に誕生したと考えられています。
その起源の古さからも、「ペルシャ」や「アンゴラ」といった長毛種の猫と同じ起源、もしくはこれらの猫の祖先であるのではと考えられています。
ちょっと気になり調べてみたところ、サイベリアンが誕生したと考えられるロシア北東部での最低気温は、1933年に記録された−73℃。これは南極を除いた世界の最低気温でもあるため、さすがにこれでは生き延びることはできないと思いますが、これほどまでに気温が下がる地域で土着していた猫という事もあり、その被毛も厚くダブルコート〜トリプルコートとなっています。
サイベリアンの血統を残すために
そんな過酷な環境で生きてきたサイベリアンですが、世界的に知られ始めたのが1871年のキャットショーでのこと。しかし、当時のロシアは社会主義国家の旧ソビエト時代という背景もあり、市民が一般的に猫を飼育するという事も無ければ、猫を交配するという事もほぼ無かったようです。また、外交や交易においても制限されていたため、サイベリアンが市場に出回るという事はありませんでした。
1980年に入ると、ロシアのブリーダーの間でサイベリアンの血統を残すために動き始め、その後の1987年に、サイベリアンがようやく輸出されるようになりましたが、旧ソビエト時代に交流の深かったドイツ、ポーランドといった国に限られたものだったようです。
そして、対立の色が濃かったアメリカへとようやくサイベリアンが渡ってきたのは、1990年のこと。アメリカの繁殖家へと送られたサイベリアンは、その血統を残すために1996年にTICAで、2000年にCFAで正式に猫種として認定されるに至りました。
古い起源をもつ猫ながら、政治的な背景もあったために、一般的に知られるようになったのが最近のこと。そのため、まだまだ私達の知らない魅力も秘めている猫種でもありそうですね。
サイベリアンの特徴について
サイベリアンの美しい被毛は、寒さを凌ぐためのアンダーコートと、防水や乾燥から守る効果もあると言われるオーバーコートのダブルコートで覆われており、耳の先端や尻尾の先までも毛で覆われています。
前述のとおり、サイベリアンはメインクーンやノルウェージャン・フォレスト・キャットとも比較される事が多いですが、両品種よりも被毛が固い手触りである事が言えます。見た目には同じようでも、毛の質に関しては違いがあるのです。
この美しい被毛を維持するには、日頃からのブラッシングは欠かせません。猫は自分でグルーミングを行いますが、無駄毛が多いと毛球症などの病気を引き起こしてしまう可能性もありますので、スキンシップを兼ねてブラッシングを行うようにしましょう。
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サイベリアンの大きさ
サイベリアンの大きさは、猫の最大種で知られる「メインクーン」に次ぐ大きさで、体重も4.5kg〜9kgくらい、中には10kgを越えるほどに大きくなる子もいるようです。極寒の地で生きていくためには、厚い被毛とエネルギーを蓄えるための大きな体が必要だったのでしょうね。
全体的には樽型の体型をしており、肉付きは筋肉質な体型をしています。ボディタイプはロング&サブスタンシャルタイプにわけられ、骨太でガッチリとした体格が特徴となります。
毛量も多いので、実際の体の大きさもわかりにくいですが、猫の中で見るとかなりガッチリとした体つきをしているので、抱っこするにも結構重たいでしょう。性格的には甘えん坊なところもあるので、抱っこをせがまれるといったシーンもあるでしょう。
サイベリアンの性格は甘えん坊?
一方、性格に関してはどうでしょうか。ここでも両種と比べられることが多いようですが、サイベリアンの気質は非常に温厚で忍耐強く、頭が良いという特徴を持ちます。その頭の良さも、ロシアではサーカスにも使われていた事もあることから、犬のような芸風も行うサイベリアンもいるのだとか。
また、一般的な猫のおもちゃではあまり遊ばないとも言われていますが、性格が非常に温厚であることから、子供の居る家庭でも問題なく飼育することができる猫でもあります。
ただし、縄張り意識も強い傾向にあるので、日頃からスキンシップを図ることは重要です。しっかりとコミュニケーションを取れていれば問題はありませんが、自分が認めていない相手に対しては興味を示さないとった一面もありますので、ブラッシングなどを兼ねたコミュニケーションは大事になるでしょう。
こういった点にもう一つ挙げられるのが、サイベリアンにはアレルゲンが少ないと言われている事です。
サイベリアンは猫アレルギーでも飼える?
猫アレルギーを持つ方も多いですが、サイベリアンには猫アレルギーの原因となるアレルゲンが少ないと言われています。
これが、サイベリアンは猫アレルギーを持つ人でも飼うことができるという所以になるのですが、科学的根拠もまだ十分ではないため、あくまでも猫アレルギーを持つ人でも「飼えると言われている」程度に留めておきましょう。
猫アレルギーを持っていて、サイベリアンを実際に飼育しようか考えている方は、十分に検討してからにしましょう。サイベリアンは長毛種であるため、健康維持のためにはブラッシングなども非常に重要なケアとなります。こういった日常のシーンも想像し、確実に飼育できる環境が整ってから、実際に飼うかどうかを検討してみてください。
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サイベリアンは暑さに弱い?
サイベリアンに限らず、長毛種の猫は暑さに弱い場合が多いです。特に、サイベリアンは極東で生まれ育った、寒い地域で誕生した猫です。前述の通り、その寒さを凌ぐためにダブルコートの被毛を身にまとっています。
日本のように高温多湿の環境は、サイベリアンは比較的苦手な地域と言えるでしょう。そのため、真夏の温度管理には十分注意する必要があります。室内温度の調節もそうですが、毛の中で温度が蒸れてしまわないよう、ブラッシングなどで無駄毛を取り除いてあげるようにしましょう。
高温の状態が続いてしまうと熱中症などの心配もでてきますので、エアコンを部屋に設置し、適温を保つなどのケアが必要になりますので、常に温度には注意しておくようにしましょう。
サイベリアンの運動量はどのくらい?
大型猫のサイベリアンですが、運動量はどの程度必要になってくるのでしょうか。
サイベリアンは比較的活発な性格でもありますので、運動量もやや多めと言えるでしょう。部屋にはキャットタワーを置いてあげたり、日頃から運動を兼ねた遊びを取り入れてあげると良いでしょう。
十分な運動量が取れないと、ストレスが溜まってしまったり、肥満の原因にもなってしまいます。肥満体型になってしまうと、ただでさえ大きな体が更に大きくなってしまうため、自力で体重を支えるのも困難な状態に。こうなってしまうと、運動をしたくても、運動ができなくなってしまいます。
こうした状態が続くと、病気を引き起こしてしまう原因にもなりますので、健康維持のためにも、十分な運動を行えるような環境を整えてあげましょう。
サイベリアンのブリーダーは?
日本ではまだまだ珍しい種類でもあるサイベリアン。ペットショップで見かける機会もそう多くはないでしょう。そのため、サイベリアンを迎え入れる際にはブリーダーからの直販と言う方法が一般的となっています。
サイベリアンのブリーダーに関しては、国内では数カ所になります。実際に猫舎まで子猫を見に行くとなると、大阪と三重、札幌のみとなります。ただし、ブリーダーが出張可能としている地域に関しては全国になりますので、全く手に入らないと言う感じではありません。
サイベリアンの価格に関しては、おおよそ40万ほどとなります。場合によっては100万円以上、調べた時点では300万円に近いサイベリアンもいました。他の猫種と比較すると高めですね。
まとめ
政治的な理由から、古い起源を持ちながらも、その名が世の中に広まったのが近年であるサイベリアン。日本でも見かけることも増えましたが、ダブルコート〜トリプルコートを持つサイベリアンも居ることから、温度の管理はしっかりと行いましょう。高温多湿の日本では、サイベリアンを飼育するのに適していない場所も出てくるでしょう。
まだまだ知られていない事も多いであろう、サイベリアンの飼い方や性質。サイベリアンが自然に健康に暮らすことができる環境を整えて、サイベリアンの持つたくさんの魅力に癒されましょう。
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