インドの猛獣「黒豹」をイメージさせる、アメリカン・ショートヘアとバーミーズの血を引く猫「ボンベイ」。その作出から新品種までの登録に20年をかけた歴史と、ボンベイの特徴について解説していきたいと想います。

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黒豹をイメージした猫「ボンベイ」

黒豹をイメージして作出された猫で知られる「ボンベイ」。1958年にアメリカで「アメリカン・ショートヘア」のブラックと、ミャンマー原産の「バーミーズ」を交配することで作出されました。

この「ボンベイ」という名は、黒く美しいボンベイの容姿がインドに生息する「黒豹」に似ていたことにちなんで、インド最大の都市である「ボンベイ(現 ムンバイ)」と名付けたことに由来しています。そんなボンベイの歴史と特徴について見てみましょう。

理想の黒猫の作出


アメリカ国内でも有名な猫のブリーダーであったニッキー・ホーナー氏が、自身最高の猫を作り上げたいとの想いから作出されたのが、このボンベイでした。ホーナー氏の猫舎には、アメリカン・ショートヘアやバーミーズ、ヒマラヤン、シャムなどの猫がおり、いくつもの賞を受賞している猫舎でした。

こうした想いから、ホーナー氏は小型のブラックパンサー=黒豹のような黒猫を作出しようと、1958年から新品種の作出に乗り出し、アメリカン・ショートヘアとバーミーズを交配させることで理想の黒猫を作出させようとしましたが、理想とする黒猫は誕生しなかったようです。

その後も作出は続けられ、1965年にアメリカン・ショートヘアのメスと、バーミーズのオスとを交配させることで、理想の黒猫を作出させることに成功しました。その後も交配は続けられ、6年間で27頭の黒猫を作出させることに成功したのです。

この時点で、ホーナー氏によって作出された新品種の黒猫であるとして、前述した内容の由来で「ボンベイ」と名付けられました。

新品種「ボンベイ」の登録へ

理想とする黒猫「ボンベイ」の作出には成功しましたが、ボンベイを新品種として登録させるためには、CFA規定による個体数を上回る必要がありました。そして、より多くのボンベイを作出させるためには、遺伝の多様化を行う必要がありました。

こうして、ホーナー氏はボンベイの繁殖に協力してくれる繁殖者を探し始めますが、ボンベイがバーミーズの血を引くことを良しとしなかったバーミーズの繁殖者たちからは良い反応をもらえなかったようです。

しかし、多くの繁殖家たちはボンベイの繁殖に協力し、1976年にボンベイはCFAに新品種の猫として新たに登録されることとなったのです。その後も、多くの団体がボンベイを新品種として迎え入れる事となるのです。

ボンベイを作出したホーナー氏は、1995年に猫に囲まれたその生涯を閉じましたが、作出からおよそ20年に及ぶ歳月を経て、ボンベイは新品種として登録されることとなり、ホーナー氏の理想とする小型の黒豹は今も世界中に愛される、自身最高傑作となる猫になりました。

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ボンベイの特徴


ボンベイの特徴は、何と言ってもその美しい黒豹のような姿でしょう。引き締まった筋肉と、丸く大きな目もまさに黒豹のような容姿で、迫力と気品のある雰囲気が漂う猫です。体重はおおよそ3kg〜5kgとされています。

ボディタイプに関しては「セミコビータイプ」で、同じセミコビータイプの猫には、ボンベイの作出にも登場したアメリカン・ショートヘアやブリティッシュショートヘアー、シンガプーラなどが挙げられます。セミコビータイプの特徴としては尻尾や手足はやや長め、輪郭はやや丸く、全体的には筋肉質なイメージです。

また、同じくボンベイの作出に登場したバーミーズのボディタイプに関しては、尻尾が短めで顔が丸く、手先も丸いのが特徴の「コビータイプ」となっています。ボンベイは異なるボディタイプを持つ2品種から、良いとこ取りで受け継いだ猫と言えるでしょう。

ボンベイの毛色

ボンベイの美しく黒光りした被毛は、基本的には短毛のブラックに限られますが、バーミーズの血縁もあるためにブラウンの毛色を持つボンベイが誕生することもあります。そして、ボンベイをより引き立たせるのがゴールド、もしくはカッパー(銅色)の目です。

ボンベイのこの美しい被毛は、年齢を重ねるごとに美しくなるのも特徴的であり、手触りも良い被毛を持ちます。この美しい被毛を維持するためにも、こまめにケアをしておきたいところです。

ボンベイの被毛のケアに関しては、短毛種でもありますので1日1回程度のブラッシングで済むでしょう。また、ボンベイは人とのふれあいを好む猫ですので、ブラッシングを兼ねて、ボンベイとスキンシップを図ると良いでしょう。

ボンベイの性格

ボンベイの性格は、その容姿とは裏腹に、アメリカン・ショートヘアとバーミーズの性格を引き継いだような性格を持ち合わせており、非常に飼いやすい性格の猫種としても知られます。

気質も穏やかな性格をしておりますが、運動量は多めなので遊ぶことも大好きです。そのため、小さな子どもがいる家庭でも安心して飼育することができるでしょう。また、ボンベイは高いところを好みますのでキャットタワーなど、運動できるような高い所や遊ぶ場所は必須となってきます。

まるで黒豹のような格好の良い雰囲気を出しながらも、意外とかまってちゃんな部分もあるので、飼い主さんと一緒に遊んだり、同じ空間に居ることを好む、フレンドリーな猫種でもあります。

ボンベイの気をつけたい疾患


前述の通り、ボンベイはアメリカン・ショートヘアとバーミーズの血を引く猫であるため、両種の持つ疾患も受け継いでいる部分があります。

特に、バーミーズに多く見られるのが口腔内のトラブルだと言われています。歯周病などがそれにあたりますが、単なる歯周病だと思って油断するのは危険です。歯周病が重症化してしまうと、口腔内だけではなく、内臓にも影響をようになってしまうため、油断は禁物なのです。

歯周病のリスクを減らすためには、歯磨きが効果的と言われています。猫の歯磨きも一昔前と比較すると、かなり一般的になってきました。子猫の頃から歯磨き週間を身につけるためにも、まずは指を口に入れることに慣らしていき、徐々に歯磨きを行えるようにしていくと、あとあと助かることになるでしょう。

アメリカン・ショートヘアの病気にも気を付けたい

ボンベイが血を引くアメリカン・ショートヘアは、肥大型心筋症も好発する猫種であることで知られます。肥大型心筋症とは心室壁が肥大してしまうことで心室が思うように拡張しにくくなり、一度の収縮で送り出せる血液量が減少してしまう病気です。

初期症状には元気がない様子や行きが苦しそうといった様子、咳をする事があげられ、次第に低体温症や脱水症状、腹水や後肢麻痺といった症状が見られるようになります。

肥大型心筋症の原因や治療に関しては、未だ明確なものがありませんので、できるだけ早くに症状に気が付き、症状を緩和させることが大事になります。高年齢に入ると一気に発症率も上がる病気なので、毎年健康診断を受けるなどして、早期発見・早期治療が施せるようにしましょう。

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ボンベイの寿命はどのくらい?

ボンベイの平均的な寿命は、おおよそ13歳〜15歳ほど。猫としても平均的な寿命となっています。

ボンベイは前項でも触れた通り、アメリカン・ショートヘアとバーミーズが持つ疾患や弱い部分を引き継いでいる猫でもあります。寿命をしっかりと全うしてもらうためには、日頃からのケアや健康診断が大事な猫種でもあるでしょう。

両品種の弱い部分をしっかりと理解し、日頃から意識することで、早期発見・早期治療につなげることが出来ます。日頃からボンベイとしっかりとスキンシップを図るようにし、具合悪い所はないか、変わったところはないかなど、こまめにチェックするようにしましょう。

また、家の中で十分な運動を行える環境であるか、ストレスがかかる環境ではないかという点にも注意しておきましょう。ストレスは寿命を縮める要因にもなりかねません。

ボンベイの価格はどのくらい?

ボンベイは日本に限らず、アメリカ以外でもまだまだ希少とされる猫種です。そのためペットショップで見かける機会もないでしょう。そのため、ボンベイを迎え入れる際にはブリーダーからの直接取引という事になるでしょう。

ボンベイの平均価格としては、おおよそ30万円ほど。高い場合ですと35万円ほどになる場合もありそうです。

全国的にも希少種であるボンベイのブリーダーですが、その多くは個人ブリーダーである場合が多そうです。インターネットなどでもボンベイの個人ブリーダーを探すことが出来るでしょう。

ボンベイはまだまだ珍しい品種ですので、出来る限りボンベイの知識が豊富なブリーダーから迎え入れたいところです。相談する際にも助かるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ボンベイは、ペットショップ等でもたくさん見かける品種ではありませんが、性格的にも非常に飼いやすい猫でもあるので、おすすめの猫種でもあります。

20年近い年月をかけて作出されたボンベイ。その姿もホーナー氏が目指していた黒豹そっくりの黒猫となりました。非常に格好の良いスタイルをした猫ですので、飼っていても非常に目立ちそうですね。気になる方は、ショップなどで見かけた際にぜひ検討してみてください!

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