犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は犬種の一つ「ラサ・アプソ」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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ラサ・アプソとは

小さなライオンのような見た目のラサ・アプソは、チベット原産で「幸福をもたらす犬」と呼ばれており、シーズーやペキニーズの祖先としても知られています。

ラサ・アプソはとても聴覚が優れており、来客の足音をいち早く気付いたり、雪山では雪崩の前兆を察知することもできると言われているため、チベットでは現在も雪山の登山にはラサ・アプソを連れて行くことがあるようです。

シーズーの祖先でもあるラサ・アプソ

ラサ・アプソは、2000年も前から存在していたという歴史が古い犬種です。そして、ラサ・アプソは昔の人々から、人の死後に「魂が宿る犬」と信じられ、チベットの当時の首都、ラサにあるラマ教の寺院の僧侶や貴族たちの間で、幸運を呼ぶ「魔除けの犬」と、とても重宝されていました。

ラサ・アプソは、代々のチベット仏教の統率者であるダライ・ラマによって、中国の皇帝に献上されていましたが、それはラサ・アプソの複製を防ぐために、オス犬に限られていたようです。

この慣習は17世紀から19世紀の前半頃まで続きましたが、こうして中国にラサ・アプソが渡ったことにより、中国古来の犬種とラサ・アプソを交配させ、シーズーやペキニーズが作出されたきっかけとなったと考えられています。

ラサ・アプソのルーツ

20世紀初めにチベットに訪れた調査団によって、ラサ・アプソはイギリスへ持ち帰られ、1908年にイギリスの愛犬家団体「KC(ケネルクラブ)」に登録されましたが、ラサ・アプソとチベタン・テリアや、その他のラサ・アプソの血を引く小型犬たちは混同されることがありました。

しかし、1922年にチベットを訪れたエリック・ベイリー夫妻により、純血のラサ・アプソがイギリスに持ち帰られたことで、1934年にラサ・アプソとチベタン・テリアが分けられて、改めて再登録されるようになりました。

ラサ・アプソという名前は、「ラサ」はチベットの首都名から付けられており、「アプソ」は山羊のような被毛を持っていたことから、チベット語で「rapso(山羊のような)」という説や、ラサ・アプソは寺院で番犬としての仕事をしていた歴史を持ち、来客が来ると吠えて僧侶たちに知らせていたこともあったため、チベット語で「abso seng kye(よく吠えるライオンのような犬)」から来ているという説があります。

ラサ・アプソの性格

ラサ・アプソは、穏やかで落ち着きがあり、とてもマイペースな性格なので、愛犬との静かでのんびりとした暮らしを望むのなら、最高のパートナーとなるでしょう。また、子供に攻撃することはないのですが、あまり我慢強い性格ではないので、乱暴でやんちゃな子供や犬がいる家での飼育は難しいかもしれません。

ラサ・アプソは、一度信用した家族には深い忠誠心を持ち、とても甘えん坊なところがあり、愛情を持って接しますが、見知らぬ人や犬に対して警戒心が強く、友好的に接することはありません。また、寺院で番犬の仕事をしていた歴史があるためか、見知らぬ人に対して吠えることがあります。さらには、独立心が強く、頑固な性格も持ち合わせていますので、幼少期からのしっかりとしたしつけが必要になるでしょう。

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ラサ・アプソの被毛

ラサ・アプソは、真っ直ぐで長く、硬めの「オーバーコート(上毛)」と、柔らかく密生した「アンダーコート(下毛)」の2種類からなる、「ダブルコート」の被毛を持った犬種です。全身長い被毛で覆われており、目に覆い被さるほどの頭部の被毛や、頬髭や顎髭はまるで小さなライオンのようにも見えます。

ラサ・アプソの被毛のカラーは、「ゴールド」「サンディ」「ハニー」「ダーク・グリズル」「スレート」「スモーク」「パーティカラー」「ブラック」「ホワイト」「ブラウン」などがあります。

ラサ・アプソのカットについて


ライオンにも似ていると言われてきたラサ・アプソ。その被毛は硬く、長い毛で体を覆っています。成犬になると被毛もかなり伸び、床につくほどに伸びていきますが、ペットとして飼育する際には、こうした長い毛はケアもしにくく、扱いも大変になってしまうでしょう。

そのため、ラサ・アプソをペットとして飼育する際には、トリミングサロンなどでトリミングを行い、適切な長さに被毛をカットする必要があります。

被毛を長くして、あまりに手入れを怠っていると皮膚病を引き起こしてしまう可能性もあるので、ペットとしてラサ・アプソを飼育する際には、トリミングは必須と言えるでしょう。

抜け毛は少ない犬種ですが、トリミング以外にも、自宅でブラッシングをかけたりと行ったケアが出来なければ、ラサ・アプソを飼育するのは難しいかもしれません。

ラサ・アプソに好発する病気

【眼瞼内反症】
眼瞼内反症とは、下瞼が内側に反り返ってしまう状態のことで、要は逆さまつ毛のことです。軽度の場合は、下まつ毛を抜くことで治まります。重度の場合は瞼の整形手術を行います。
ラサ・アプソは、他にも眼の病気にかかりやすいと言われていますので、日頃から目ヤニや涙が出ていないか、目に毛がかかっていないかなど、目のチェックは欠かさず行いましょう。

【膝蓋骨脱臼】
膝蓋骨脱臼とは、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な場所から、内側か外側にずれてしまう(脱臼する)状態になる骨の病気です。最初のうちは気付かない場合も多く、放置していると、どんどん悪化していきます。
膝蓋骨脱臼を予防するためには、まず膝に負担をかけないことです。フローリングなどの硬く滑る床には、カーペットやラグを敷きましょう。

短頭種に多い病気にも注意

ラサ・アプソは、鼻の短い「短頭種」ですので、短頭種に多く見られる病気にも注意が必要です。

【鼻腔狭窄】
鼻が短い犬種に多い「鼻腔狭窄」という、鼻の穴が潰れて狭くなり、呼吸がしづらくなる病気があります。ラサ・アプソにも見られる病気で、原因は先天性によるものと、鼻の中の粘膜が炎症を起こし、鼻の穴が腫れて狭くなったことで鼻腔狭窄を引き起こしてしまうといった、後天性によるものがあります。

鼻腔狭窄の主な症状は、ブーブーと鼻を鳴らして呼吸をしたり、よく鼻水を飛ばしたり、鼻で呼吸がしづらいため、口で呼吸するようになったり、軽く運動しただけでも酸欠状態になる症状がみられます。このような症状に気が付いたら、すぐ動物病院で診てもらいましょう。

ラサ・アプソの寿命はどのくらい?

ラサ・アプソの寿命は、おおよそ12歳〜14歳ほど。特筆すべき病気も少ないですが、短頭種ならではのトラブルも多いので、飼育する際には短頭種であることを十分に気をつけましょう。

また、ストレスは寿命を縮めてしまいかねない要因となるものです。ストレスのかからないような生活環境を整えてあげるのも、寿命を延ばす一つの要因となるでしょう。

そのためには、幼少期からしっかりとした運動を行うようにし、丈夫な体つくりを心がけること。そして、日頃からの食事の管理もしっかりと行うようにしましょう。偏った食生活や、栄養のないような食事は、病気を引き起こす原因にもなります。

そして、飼い主さんとの十分なスキンシップも大事な要素。飼い主さんとのスキンシップは、愛犬の生活のハリを出すものでもあり、飼い主さん自信も愛犬の微妙な変化に気がつくことが出来るようになります。病気は早期発見・早期治療が大事ですので、日頃からのスキンシップは大事にしていきましょう。

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ラサ・アプソの価格は?


ラサ・アプソは日本では比較的珍しい犬種の一つでもあり、ペットショップでも扱っている店舗も稀と言えるでしょう。そのため、ラサ・アプソを迎え入れる際にはブリーダーからの直販という形が一般的といえます。

価格に関しては10万円前後といったところですが、月齢や血統によっても前後してきますので、あくまでも参考程度に考えていたほうが良いでしょう。また、ラサ・アプソのブリーダーに関しても少なく、日本全国でも数える程度しかブリーダーが存在していません。

このように珍しい犬種ですと、何かあった時の相談も、ラサ・アプソを飼っている方でないと分かり合えないという問題も。しかし、ラサ・アプソについてより詳しいブリーダーから迎え入れられれば、良い相談相手にもなってもらえますので、ブリーダーから迎え入れるメリットもあるでしょう。

ラサ・アプソと暮らすために

ラサ・アプソを飼う上で気をつけなければならないのが、ラサ・アプソの特徴でもある「短吻種(目の前から口までの長さが短い犬のこと)」だと言う事です。短吻種の犬種は、体の構造的に呼吸器の機能が弱く、麻酔を行う場合は若干リスクが高くなるので配慮が必要です。

また、短吻種の犬種は「体温調整が苦手」な犬種でもあります。熱中症には十分気を付けましょう。そして、熱や気圧の変化にも弱いことから、飛行機での輸送を断られる場合があるので、飛行機を利用して旅行に行く際は、予め航空会社で確認するようにしましょう。

日本ではペットとして飼育されているラサ・アプソはあまり見かけることはないかもしれませんが、アメリカでの小型犬の飼育数では、シーズーと同じくらいの人気があるようです。ラサ・アプソは、飼い主さんや家族に対しては甘えん坊さんで愛情深く、とても頭が良い犬種です。幸福をもたらすと言われるラサ・アプソを家族として迎えてみませんか。

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