愛犬を車に乗せてドライブに行った際の用事足し。あなたはどのような状態で車内に愛犬を残していきますか?人間にも起きる熱中症、実は犬も熱中症で命を落とすこともあるんです。今回は炎天下の車内と熱中症について解説していきます。

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増加傾向にある「熱中症」

近年、夏になるとよく耳にする「熱中症」という言葉。気のせいか、ほんの数十年前はあまり意識したことも無いような気がします。最近になって熱中症の言葉を多く聞くということは、それだけ熱中症で亡くなる方も多いのだと言うことですね。印象に残るのは、親がパチンコをしている間に、子どもたちは車にのせたままの状態にしてしまい、熱中症で子供が亡くなったというニュース。

こうしたことは、人間に限られた話ではありません。愛するペット達も同様に、熱中症の被害に合っているという事をご存知でしょうか。これも同じく、飼い主が用事を足している間に、車に残された犬が熱中症で亡くなるというケースですが、海外からもこうしたニュースを耳にするようになりました。

厚生労働省が発表した「熱中症の死亡数の年次推移」によると、平成15年から平成25年までの熱中症による人の死亡数は、

平成15年:201人
平成16年:432人
平成17年:328人
平成18年:393人
平成19年:904人
平成20年:569人
平成21年:236人
平成22年:1,731人
平成23年:948人
平成24年:727人
平成25年:1,077人

以上のような犠牲者の数字が見られます。平成22年の数字は異常ともいえますが、全体的に見ると平成19年辺りから、徐々に数値が大きくなっているような気がします。もちろん、暑い年やそれほどでもない年でも変わってきますが、決して油断のできないものであることがわかります。

わずか6分で48℃に上昇する車内温度

海外で検証されたもので、炎天下の中の車内ではどのようになるかという検証VTRがあります。この検証VTRでは、犬ではなく人間が実験台になりますが、窓を少し開けた状態の車内でも、外の気温が30℃を越える日では、ほんの5〜6分で車内の温度は48℃まで上昇するということが判明しました。こんな温度になっては、自分で脱出することのできない犬が熱中症で亡くなるのは当たり前です。

普段のちょっとした行動にも要注意です。愛犬とドライブに行く際に、コンビニに寄った時、どのようにして愛犬を車内に残しているでしょうか。「クーラーを付けたままにして車内に残す」という方もいれば、「窓を少しだけ開けてエンジンは止める」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

では、日本でおなじみのロードサービス「JAF」の2012年に行われた検証による、真夏の車内温度の検証を見てみましょう。

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「JAF」による車内温度と時間の検証

テストの条件は2012年の8月22日、23日。天候は晴れで、気温は35℃。この条件下で、12:00〜16:00の間、下記の異なる条件の車5台の車内が、どのような状況になるかを検証したものです。

・対策を行っていない、黒い車
・対策を行っていない、白い車
・サンシェードを付けた、白い車
・窓を3cm開けた、白い車
・エアコンを付けている、白い車

まずは車内の温度。クーラーが入っているため、開始時にはいずれの車も25℃でしたが、15分後には熱中症指数が危険レベルとなる35℃以上になるという結果に。最終的な温度は以下の数値になりました。

・対策を行っていない、黒い車:平均51℃、最高57℃
・対策を行っていない、白い車:平均47℃、最高52℃
・サンシェードを付けた、白い車:平均45℃、最高50℃
・窓を3cm開けた、白い車:平均42℃、最高45℃
・エアコンを付けている、白い車:平均26℃、最高27℃

以上の結果がでましたが、いずれの車も最高気温まで上昇するのには1時間程度しか要さない事がわかりました。また、一番熱くなるであろうダッシュボードでは、約1時間で卵焼きも出来上がるという結果も。

※参考:http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/usertest/temperature/detail2.htm

「アニコム」による夏の事故件数

ペット保険でお馴染みの「アニコム」による、犬の熱中症事故件数が公表されています。平成26年〜平成28年のデータになりますが、アニコムの保険に入っていること、アニコムの保険を利用したこと、症状が「熱中症、日射病、熱射病」に関連する事故であるとこ、以上の条件での数値になります。

平成26年の件数は712件、平成27年は890件という結果に。平成28年に関してはまだ2ヶ月分の数値のみでしたが、すでに例年同月までの数値を上回る結果となっていました。また、公表されている件数は1ヶ月毎の件数となっていますが、最も注意しなければいけないのが、やはり7月・8月・9月の3ヶ月間です。

この3ヶ月間に関しては、平成26年・平成27年共に3桁の数字を記録しており、他の月に関しては3桁になることはなく、多くても83件という結果に。こうしたデータからも、愛犬たちが熱中症になっているリスクが高まっているということが伺えます。

※参考:http://www.anicom.co.jp/stopheatstroke/

犬の熱中症の症状

犬が熱中症を発症すると、口を大きく開けながら呼吸も荒く、苦しそうにし、よだれを大量に垂らしてしまいます。更に悪化すると、嘔吐や下痢といった症状に加え、体もふらついていき、失神や筋肉の痙攣、意識の混濁といった症状が現れます。こうした症状が更に悪化すると、吐血やチアノーゼの症状が見られるようになり、やがては命を落としてしまうのです。

犬が熱中症の症状を表したら、すぐに体を冷やしてあげ、水分補給を行いましょう。ここで水を飲むことができるのならば、少しは安心ですが、自発的に水を飲めない状態であれば、すぐに動物病院にいくことをおすすめします。恐らく、この場合には意識も朦朧としているか、気を失いかけているため、一刻も早く応急手当をしなければ、最悪の事態にもなりかねないでしょう。

また、意識があっても、体の内部にもダメージを受けている場合もあります。熱中症の症状が落ち着いたからといって油断は禁物です。軽症であっても、念のため病院へ行って検査をするようにしましょう。場合によっては心不全や腎不全といった後遺症も残る場合があるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。結果としては、愛犬を乗せてドライブに行く際には、「クーラーを付けることを徹底する」という事が言えるでしょう。なんとなく、少し窓を開けていれば大丈夫という、これまでの考え方を見つめ直してもらえたら幸いです。

愛する愛犬を熱中症で亡くしてしまう、なんてことにならないよう暑い日には十分に注意するようにしましょう。また、気温の上がる3ヶ月以外にも注意が必要です。くれぐれも気温には注意し、温度注意報などの情報をこまめに確認するようにしましょうね。

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