私達も健康診断を受けた際「コレステロール値が高かった」「中性脂肪が基準値を超えた」という声を耳にする事がありますよね。食生活が乱れている場合に起こしてしまう「高脂血症」。これは犬にも同じ事が言えます。では「高脂血症」について解説しましょう。

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高脂血症とは

「高脂血症」とは、血液中に溶け込んでいる脂質、「コレステロール」と「トリグリセリド(中性脂肪)」の両方か、そのどちらかの濃度が高くなってしまっている状態のことを言います。

通常、コレステロールとトリグリセリドのような脂質は、血液中で蛋白質と結びついた「リポ蛋白」という形で体内に運ばれていきますが、高脂血症を起こしている場合は、リポ蛋白と結合できずに遊離した状態の脂質が血液中に増加したり、単独あるいは複数種のリポ蛋白が増えている状態になります。

また、食事をした後の10時間以内では高脂血症の状態は普通ですが、食後12時間以上も経っているのにも関わらず、高脂血症の状態が続いている場合は、もしかしたら、何らかの原因があると疑った方が良いかもしれません。

高脂血症の症状について

高脂血症を引き起こすと、食欲が消失したり、腹痛や下痢、嘔吐をするというような症状が見られたり、神経障害を起こす場合もあります。しかし、全く症状に現れない場合もあり、知らないうちに症状が進行してしまうこともあります。元気に見えるのに健康診断をした際、血液検査で高コレステロールや中性脂肪が高くなっている場合は、高脂血症を起こしてる可能性がありますので注意しましょう。

高脂血症の症状が進行すると、「膵炎」や「動脈硬化」を併発してしまうこともあります。膵炎は、膵臓が自ら作り出す膵液中の消化酵素によって膵臓が消化され、炎症を起こす病気で、最悪の場合は、膵臓の組織が壊死し、命を落としてしまうこともある怖い病気です。動脈硬化は、放置すると脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまうこともあります。

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高脂血症の原因とは

高脂血症の原因としては、遺伝的要因や、特別に原因が見当たらないのに発症する「原発性高脂血症」と、何らかの疾患に続発する「続発性高脂血症」があります。ミニチュア・シュナウザーは、遺伝的にリポ蛋白の代謝に欠損があるため原発性高脂血症を起こすと言われています。また、シェルティやドーベルマン、ビーグルやロットワイラーなども、原発性高脂血症の好発犬種として挙げられます。

続発性高脂血症を続発させる要因とは、糖尿病や甲状腺機能低下症、クッシング症候群、慢性腎不全やネフローゼ症候群、蛋白喪失性腎症などの基礎疾患、その他に、肥満も高脂血症を起こす原因と考えられています。

高脂血症の治療について

高脂血症の治療に関しては、糖尿病や甲状腺機能低下症などの基礎疾患がある場合は、まずその治療を優先的に行います。原発性高脂血症の場合は、食事の見直しや生活習慣の見直しを行う必要があります。獣医さんに低脂肪のフードを処方してもらいましょう。肥満が原因である場合は、軽い運動を取り入れるなどして、体重管理を行うことも大切です。

高脂血症の食事とは

高脂血症になってしまった場合も、高脂血症を予防するためにも、まずは食事の見直しが必要になります。先述したように、肥満は高脂血症を引き起こす原因と考えられますので、食事の管理は飼い主さんの大切な役割となるでしょう。

高脂血症は、食事中の脂肪を制限する食事療法が必要になります。しかし、ただやみくもに脂肪を制限するのではなく、質の良い脂肪を選んであげることが大切です。高脂血症に効果のある脂肪は、魚の油などに含まれるオメガ3脂肪酸の「DHA」や「EPA」と言われており、血中の脂肪を低下させ、動脈硬化を予防するのにも効果があります。

また、食物繊維である「フラクトオリゴ糖」と「ビートパルプ」を一緒に摂取すると効果があると考えられています。フラクトオリゴ糖はバナナなどにも含まれており、腸の善玉菌を増やしてお腹の調子を整える作用があるオリゴ糖の一種で、カルシウムやマグネシウムを体内に吸収するのを促す役割もあります。

ビートパルプはサトウダイコンに含まれる食物繊維で、腸内細菌を整える作用があります。しかし、両方とも過剰に摂取すると、軟便になることがありますので注意が必要です。

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さいごに

先述したように、高脂血症を起こしても症状に現れない場合もあります。また、高脂血症は高齢期のワンちゃんが引き起こすことが多いので、愛犬がシニア期に入ったら、年に1度の健康診断は必ず受診するようにしましょう。健康診断を行うことは、高脂血症だけでなく、他の病気の早期発見にも繋がります。

高脂血症は、質の悪い脂肪を使用したドッグフードや運動不足、肥満が原因で起こると言われており、最近では高脂血症を引き起こすワンちゃんが増えているようです。愛犬が一日でも元気で長生きできるように、栄養バランスがしっかりしているドッグフードを選び、肥満にならないように毎日の運動を心掛け、健康管理には十分に気を付けてあげましょうね。

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