愛猫がお尻を擦りつけていたり、お尻を気にする様子はありませんか?それは、「肛門嚢炎」の症状が伺えます。放っておくと肛門嚢が破裂することもあります。今回は、肛門嚢炎の症状と原因について、また、肛門嚢の絞り方について解説していきたいと思います。

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肛門嚢炎とは

愛猫が自宅にいる時に、「地面にお尻を擦りつけている」または、「お尻をずっと気にしている」といった様子を見かけていないでしょうか。もしかするとそれは、「肛門嚢炎(こうもんのうえん)」の疑いがあります。

この肛門嚢炎とは、猫の「肛門嚢」という部位が炎症してしまう状態のことで、肛門嚢炎を放置してしまうと、ひどい痛みや腫れに襲われてしまうことがあります。

愛猫をトリミング等に出した時や、病院に行った時に、「肛門嚢を絞りますか?」と聞かれた経験はありませんか?この肛門嚢を絞ることで、肛門嚢炎は予防できるのです。

では、具体的に肛門嚢炎の症状とは、どのような状態になるのかを詳しく解説していきます。

肛門嚢炎の症状とは

猫が肛門嚢炎を発症すると、お尻や尻尾を気にする様子や、お尻を擦りつけて歩いたりといった様子が見られるようになります。この段階ではまだ、肛門嚢炎の軽症、もしくはなりかけといった具合でしょうか。この時点では、肛門嚢を絞ることで解決できるかもしれません。

こうした症状が悪化していくと、今度は排便時に踏ん張っても出にくそうにしていたり、痛みがあるために鳴いたりといった様子が現れます。この時点になると、肛門嚢炎の症状も悪化しはじめ、炎症によって痛みが生じはじめているのです。肛門周りを確認してみてください。恐らく、肛門の周りは赤くなり、腫れ上がっている様子が見られるはずです。

さらに症状が進行すると、肛門はさらに腫れ上がり、また痛みも増しているために、排便するたびに痛そうに鳴いたり、排便自体を嫌がるようになるでしょう。腫れは腫瘍となってしまい、また、腫れ上がった患部が破裂して穴が開き、血や膿が排出されることもあります。

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肛門嚢炎の原因とは

肛門嚢炎を発症してしまう原因には、肛門嚢を絞らないことが挙げられます。肛門の周辺には、「肛門腺」という猫の分泌液を分泌する器官がありますが、この分泌液は肛門嚢に貯められ、通常であれば排便時に一緒に排出され、排便することで臭いを付けて「マーキング」として利用されます。

こうして一緒に排出されるはずの分泌液ですが、中には上手に排出されず、肛門嚢に溜まってしまう猫もいるのです。この分泌液を排出させなければ、肛門嚢の中で細菌が繁殖してしまい、やがて炎症してしまい肛門嚢炎となります。そして、分泌液は膿として溜まっていき、肛門嚢を膨らましていってしまうのです。

また、この他に、分泌液を排出できない理由には、老化や日頃の運動不足などが原因によって、肛門の筋肉である外肛門括約筋が弱くなり、自らの力で分泌液を出す筋力が無いために起こることもあります。適度な運動をすることで、筋力が鍛えられ、筋肉の収縮によって肛門嚢に圧力が加わり、自然と中の分泌液が肛門外へと排出されます。

肛門嚢炎の治療について

肛門嚢炎の治療については、痛みや腫れなどがある場合は、炎症を緩和するために、抗炎症剤や抗生剤を投与するなどの治療を行います。また、肛門嚢を絞ったり、肛門嚢内に細いカテーテルを入れて洗浄し、分泌液を排出させてから内部を消毒し、直接抗生剤を注入することもあります。

肛門嚢炎を繰り返して発症してしまう場合は、肛門嚢を摘出するなど、外科的治療を行う場合もあります。

肛門嚢を絞るとは

このようにして肛門嚢炎を発症してしまうのですが、分泌液を排出できない猫は、肛門嚢を絞ってあげて、分泌液を排出させてあげる必要があるのです。溜まりやすさや、肛門嚢を絞る頻度は猫によっても変わりますが、目安としては1ヶ月に1回の頻度で絞ってあげるようにしましょう。

ちなみに、この分泌液はマーキングのために排出される液体なので、非常に臭いのきついものです。そのため、肛門嚢炎を発症し、患部が破裂してしまった場合などには、酷い悪臭と、患部が酷い炎症に見舞われているので注意が必要になります。

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肛門嚢の絞り方

自信が無ければ、病院やトリミングサロンなどでお願いすることもできますが、肛門嚢は自宅でも容易に絞ることができます。

肛門嚢絞りとは、肛門嚢を絞る事を言いますが、まず、愛猫の肛門を確認してみましょう。そして、肛門を正面から見て、肛門の下の4時と8時の位置を確認してみましょう。この場所が肛門嚢の場所になります。肛門嚢を絞る時には、この場所をつまむように押さえ、肛門の中心に向かって押し絞るようにします。こうすることで、肛門から分泌液が出てくるのです。

注意点としては、非常に強い悪臭の分泌液ですので、ティッシュか何かを当てて絞るようにしましょう。時折、勢い良く飛び出してくる事もありますので、顔などにかかると害は無いものの、その臭いの強さに飼い主さんも驚くことでしょう。また、肛門嚢絞りが、なかなか上手くできなかった場合は、無理をせずに病院かトリミングサロンでお願いするようにしましょうね。

まとめ

肛門嚢絞りはそんなに難しいケアではありませんので、月に1回でも、肛門のケアも忘れずに行うようにしましょう。一度、肛門嚢炎を発症してしまうと、消毒や抗生剤を投与するなどの治療が必要になりますので、こうした面倒なことになる前に、きちんと肛門嚢を絞るようにしましょう。また、日頃から愛猫と遊んであげるなど、適度な運動を心掛け、肛門の筋力が低下しないようにすることも大切です。

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