大型犬に多く見られる病気のひとつ「骨肉腫」。骨の癌である骨肉腫は、激痛を伴う症状で、さらに肺への転移が見られる恐ろしい病気の一つです。その病状の進行の早さも特徴で、早期発見・早期治療が非常に重要となります。今回は骨肉腫について解説します。
骨肉腫について
犬にも、人と同様に「癌」や「腫瘍」というものが体に出来てしまいます。その原因がわからないものもありますが、人間よりも体の小さい犬では、悪性腫瘍が発生した場合、進行が早いものがおおく、早期発見・早期治療が望まれます。
その中の一つ、「骨肉腫」は、骨の癌と呼ばれる病気です。骨に含まれている組織が癌化してしまうために発症する病気で、大型犬や超大型犬種に多く見られる病気です。また、オスのほうが比較的多く発症すると言われています。しかしながら、骨肉腫を発症する原因というのは、未だに解明されていません。
犬種では、「ゴールデン・レトリバー」や「ラブラドール・レトリバー」、「グレート・ピレニーズ」「シベリアン・ハスキー」と、いずれも10kgを超えるような大型犬種が名前を連ねます。また、大型犬種が骨肉腫を発症する確率は、10kg未満の犬種と比較して約150倍と、そのほとんどが大型犬が発症するという確率も出ているほどです。原因はわかっていないものの、体の重さが関係しているような数字も出ているため、やはり大型犬種を飼育している場合には、骨肉腫を意識し、注意する必要がありそうです。
腫瘍に対する知識をある程度もっていると、犬を触った時に「しこり」があった場合など、悪性なのか良性なのかの判断は難しいものの、ある程度の状況判断はつくので、日頃の健康チェックに役立てられるでしょう。また、何よりも、癌や腫瘍の症状を、いち早く見つけ、いち早く治療することが大事になりますので、ちょっとした変化がわかるよう、腫瘍に対しての知識を身に着けてみましょう。
骨肉腫の症状について
骨肉腫を発症すると、犬が足をひきずって歩くといった様子が見られるようになります。これは、骨に激痛を生じているためで、通常であれば犬は痛みなどを見せないように隠す動物ですが、その犬が足を引きずって歩くという事は、よほどの激痛が走っているのでしょう。
この他にも、患部の骨が腫れ上がったりという症状も見られるでしょう。腫れ上がった患部は硬い腫れとなります。また、骨肉腫を発症する箇所も偏っており、四肢に多く発症する傾向にあります。中でも、「太ももの骨」や「すねの骨」「上腕骨」といった箇所に多く見られ、他にも「頭蓋骨」や「下顎」、「肋骨」といった部分にも発症することがあります。
転移するのが早い骨肉腫
骨肉腫が恐ろしいのは、こうした痛みが出ることだけではありません。一番恐ろしいのは、骨肉腫が転移しやすく、その病状の進行が早いということです。
転移は、同じ関節内にはみられない事が多いですが、肺に転移する場合が多いため、注意が必要です。しかし、骨肉腫の症状に気がついた時には、すでに肺に転移しているという事も多いのが、この骨肉腫の最も恐ろしい特徴なのです。
そのため、早期発見ができるように、犬のちょっとした歩き方の違いもわかるようになるなど、日頃からの愛犬の観察眼が必要となるでしょう。
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骨肉腫の治療について
骨肉腫の治療に関しては、前述の通り、転移するスピードも早いため、肺への転移が認められない場合には、外科手術で腫瘍の出来た部位を切除する方法が取られるでしょう。また、この場合は、犬の体力がある場合に限られ、術後の状態を考えると、体力のない犬には耐えられない手術となるでしょう。
その後は抗がん剤を投与し続ける形となりますが、残念ながら骨肉腫の完治は難しく、再発してしまう場合が多いようです。中でも、四肢に骨肉腫が現れた場合は、さらに再発率も高く、長くは持たないのが現状です。
そのため、骨肉腫の完治を目指すというよりは、症状の緩和や、再発に備える治療法となるでしょう。
骨肉腫を予防するために
残念ながら、骨肉腫を完全に予防する手段はありません。そのため、早期発見が何よりも重要になってきます。そのためには、まずは骨肉腫がどのような病気なのか、どのような場所に骨肉腫が発生するのかという事を、知っておく必要があります。
普段の生活の中でも、毎日犬のボディチェックを行うようにし、犬の歩き方に変化がないかを注意深く確認するようにしましょう。また、最低でも年1回の健康診断を受けるようにしたいところです。
ついつい症状がでてから病院に連れていきがちではありますが、定期検診を行うことで、病気の予防にもなりますし、万が一の場合にも、かかりつけ医があるというのは、非常に安心出来るものです。1日でも多く、愛犬に長生きしてもらえるよう、日頃から健康チェックする癖をつけてみてもいいかもしれませんよ。
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