体の老廃物を排出する大事な臓器のひとつが腎臓です。この腎臓にダメージが加わることで発症してしまう腎不全は、命の危険にかかわる深刻な病気です。愛犬が腎不全を発症しないためには、どのようにしたら良いのでしょうか。今回は腎不全について解説します。

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犬の腎臓の働き

腎臓とは左右に1つずつある臓器のひとつで、「尿」を作るためには欠かせない臓器です。尿は腎臓で作られ、体の老廃物と共に尿を排泄することで、体の中をきれいに整える大事な役割を果たしています。また、尿を作る働きだけでなく、血液のph値を一定に保つ働きや、血圧の調整、ホルモンを作る働きもしています。

このように体の健康を維持するのに欠かせない腎臓ですが、他の臓器は病気などで一度ダメージを受けると、自己再生機能が働き、元の機能や形に戻ろうと修復されますが、腎臓は一度ダメージを受けてしまうと、元の形には修復が出来ない臓器なのです。

ほとんどのドッグフードは1日の栄養バランスを考えて作られていますので、1日の食事を摂ることで栄養バランスは整えられるのですが、偏った食事を与えすぎてしまうと栄養バランスが崩れてしまい、腎臓に負荷がかかってしまうのです。特に、人間が食べるもの等を犬に与えてしまうと、犬にとっては負荷のかかるような成分も多いため、腎臓などの臓器にダメージを与えてしまいます。

その結果、腎臓の機能が上手く働かなくなってしまうため、体内には老廃物も蓄積されていってしまいます。この状態を長く続けていくことで、腎臓は病気を引き起こしてしまい、また、一度ダメージを受けると再生もされないため、常に腎臓を気にかけた生活を送らなければいけなくなるのです。

腎不全とは


腎臓機能の75%を失うことで発症する「腎不全」は、放置しておくと命にも関わりかねない「腎臓」の病気です。また、腎不全には大きく分けて「急性」のものと「慢性」のものがあり、同じ腎不全であっても、その症状は別のものとなります。

中でも、急性腎不全である場合は特に注意が必要で、急激な腎臓機能の悪化によって、尿の量が減少、もしくは全く出なくなる場合があり、その結果「尿毒症」といった病気を併発し、命を落とす危険性もあるのです。

尿毒症とは

尿毒症とは、何かしらの要因によって尿が排出できない状態になり、体内に尿が留まってしまうことで老廃物が体にたまってしまう病気です。

腎不全による要因においては、腎不全の症状が末期状態となり、尿毒症を併発するようになります。尿毒症を発症すると、食欲不振や嘔吐、下痢といった症状から、体温低下や痙攣、昏睡状態にまで陥ります。

残念ながら尿毒症を発症してしまうと、治療に関しては非常に難しいものとなります。全回復は見込めず、犬の体力によっては延命治療や症状緩和のための治療がメインとなります。回復させるというよりも、現状維持を目指し、出来る限り症状が悪くならないようにしていくのです。

こうした治療も犬の体力次第なところがあるため、できるかぎり早期に腎不全を発見し、尿毒症にまで症状が進行しないようにするほかありません。

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急性腎不全について

急性腎不全は、発症した原因がどの部位にあたるかによって、主に3つにわけられます。

一つは、感染症などにより腎臓内を構成する尿細管などがダメージを受けて引き起こされる「腎性急性腎不全」。二つ目は尿道に炎症を起こし、尿道が閉鎖されてしまったことが原因となる「腎後性急性腎不全」。三つ目は貧血や脱水、心筋症を患うことで、腎臓への血液供給に不備が生じたために起こる「腎前性急性腎不全」があります。

これらいずれかの要因を解明し、根本となる要因を治療していくことが大事になります。こうした要因を早急に治療することで、急性腎不全から立ち直る可能性も大きくなるでしょう。

慢性腎不全について


慢性腎不全は、ウイルス感染や細菌感染を発症した際に、腎盂腎炎などの腎疾患を患ったりといったように、他の病気に伴い、腎臓へのダメージが加わることで慢性腎不全を発症してしまいます。また、急性腎不全を発症した後に、慢性腎不全へと移行する場合もあります。

初期症状では、水をとにかくよく飲み、排尿も増えるといった行動が見られますが、水を多く飲むのにも関わらず、腎臓が機能していないために、体の老廃物は蓄積されていきます。

初期症状がわかりにくいため、発見までに時間がかかる場合もあり、病状が進行していくと、嘔吐や下痢、食欲と元気の減退がみられるようになるでしょう。また、慢性腎不全の場合、一度発症すると回復が見込めないことも、一つの特徴となります。
やがて、貧血や痙攣も起こりはじめ、やがて昏睡状態になって命を落とす結果となってしまいます。

検査を行い腎不全のステージを確認

腎不全の症状は初めから重篤な様子を見せず、徐々に犬にダメージを与えながらやってきます。そんな腎不全の症状ですが、検査を行うことで大きく4つのステージに分けて、腎不全の状態を見分けていきます。

ステージ1となるのが初期の腎疾患で、腎臓の機能が正常に働いていない可能性が高くなります。率としては100%〜33%以内が腎機能として残存している状態のステージとなります。この時点では症状についても特に目立ったものは見られないのがほとんどです。

ステージ2は初期の腎不全を患っている状態になり、前述でも説明してきたような、多飲多尿といった症状が見られるようになります。腎臓の機能も不全状態となり、目立つような症状が見られ始めるでしょう。腎機能の残存状態は33%〜25%ほどに低下します。

症状に気付くのが多いステージ3

腎不全の症状が見られて、始めて診断に訪れるのが多いと言われるのが、このステージ3の状態です。

ステージ3の状態は貧血や嘔吐、下痢といった症状が多く見られるようになり、元気も無くなり始める状態です。腎機能の残存状態は25%〜10%ほど。ステージ3になると腎不全と診断されます。

ステージ4に入ると腎不全も末期と判断され、尿毒症も併発している状態に。腎機能の残存状態も10%以下となり、生命を維持することが難しくなります。

このように、腎不全に至るまでには段階的な悪化が見られ、腎不全の症状を知ってはいても、なかなか早期発見・早期治療に繋げる事が難しいのです。腎不全を予防するためには、どのような対策を講じればよいのでしょうか。

腎不全を予防するために

慢性腎不全に関しては、慢性腎不全を引き起こしてしまう病気にならないと言うことが、一番の予防策にはなります。また、何かしらの病気を発症してしまった際にも、慢性腎不全に陥る前に、適切な治療を施していることが重要です。

急性腎不全の場合には、腎臓の病気にならないように気をつけることが必要になります。腎臓の病気を引き起こす、尿結石などを未然に防ぐためにも、腎臓に影響が及ぶような食生活の改善が、最低限の予防策となるでしょう。

また、年一回だけでも、X線検査や超音波検査といった項目を含めた健康診断も効果的です。健康診断を受けることで、発見しにくい腎臓系の病気を含む、様々な病気のリスクを減らすことができるので、慢性・急性の腎不全の対策にもなりますので、おすすめです。

血液検査など、定期的なケアを


腎不全を未然に予防・発見するには、血液検査でしっかりと検査を行う他ありません。血液検査では、「BUN(尿素窒素)」「Cre(クレアチニン)」「BUN クレアチニン比」「リン」といった数値を確認します。

前述のステージにあてはめると、ステージ1の状態ですと血清クレアチニン濃度は1.4未満という数値ですが、ステージ2では1.4〜、ステージ3では2.1〜、ステージ4では5.0〜といった数値となります。

こういった血液検査の費用に関しては、動物病院にもよりますが、おおよそ5,000円〜10,000円ほどとなります。検査としては安くはありませんが、上げられたような症状が見られたり、心配な場合には念のため血液検査を行なったほうが安心ではないでしょうか。

バランスの取れた食生活を

腎不全を始めとした腎臓の病気というのは、比較的、高齢期に発症しやすい病気ですので、できるだけ若い年齢期からシニア期に備えるようにし、健康な生活を送れるように食事にも気を使うようにしましょう。

若い頃には考えもしないですが、犬も不摂生な生活を送っていると、老後の体にも影響が出てしまいます。病気にならないような体づくりを、若いうちからを心がけていくようにしましょう。

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