遺伝的な要因が多い「肺動脈狭窄症」。気がつけない訳ではありませんが、普段の生活で肺動脈狭窄症の症状を見分けることは非常に難しいでしょう。そのため、定期検診などでの発見が多い病気でもあります。今回は肺動脈狭窄症について解説します。
肺動脈狭窄症とは
遺伝的な要因が強いと言われる病気「肺動脈狭窄症(はいどうみゃくきょうさくしょう)」。未だに原因が解明されていない病気のひとつですが、その症状は非常に発見しにくく、発見が遅れることも少なくありません。
遺伝的な要因が多いため、症状に気づかずに飼育していき、症状が重くなってから気がついてしまい、症状が重症化することで心不全を引き起こしてしまい、命を落としてしまう場合もある、怖い病気です。
肺動脈狭窄症の症状
遺伝的な要因が多い肺動脈狭窄症ですが、好発犬種にはブルドッグやチワワ、サモエド、ビーグル、スコティッシュ・テリア、ワイヤー・フォックス・テリア、ミニチュア・シュナウザー、ウエスティ等の犬種が挙げられます。
軽症であれば、カッと言うような乾いた咳や元気の減退、疲れやすい、活動的でなく運動を避けるようになるといった症状が見られます。しかし、こうした症状は意外と見落としがちな症状でもあり、それ以上悪化しないこともあるため、一生気がつかないと言うこともあるようです。
こうした症状のほか、腹水によってお腹が膨れてきたり、四肢がむくんでくるといった症状も現れます。
しかし、こうした症状が悪化してしまうと呼吸困難といった症状も見られるようになり、うっ血性心不全によって突然死を招く場合もあります。また、生まれつき症状がひどい場合には、生後すぐに命を落としてしまう事もあります。
肺動脈狭窄症を引き起こす原因
肺動脈狭窄症は、肺動脈に異常が見られる病気です。この肺動脈は、心臓の右心室から肺へと血液を送り出す、非常に重要な役割を持つ動脈で、この肺動脈の入口にある「肺動脈弁」、もしくはその付近の箇所が狭まってしまうことで、肺動脈狭窄症を引き起こします。
こうして入り口付近が狭まってしまうことで、右心室に負荷がかかってしまい、上手く肺へと血液を流すことの出来ない右心室は、やがて肥大化してしまい、収縮力が低下、ポンプの機能が弱くなってしまうのです。
肺へと上手く流れていかない血液は、次第に肺にも影響を与えるようになります。肺動脈へと流れる血液の量が低下してしまい、肺は血圧が低下、呼吸困難などの症状を引き起こす結果となるのです。
このように、一部分の機能が悪いことで、他の部位へと悪影響を与えてしまい、やがて全身の機能に影響を与えることとなります。
肺動脈狭窄症の治療について
肺動脈狭窄症の治療に関しては、症状の重さによっても変わってきます。軽症である場合、治療は投薬による内科治療が施されるでしょう。現在引き起こされている症状を緩和するための薬を投与し、症状を落ち着かせていきます。
また、こうした場合は無理な運動をさけるようにし、心臓に負担のかからないような生活を送らせることが重要になってきます。
このほか、食事療法として、心臓に負担をかけないような食生活を送らせることも必要です。例えば、塩分過多では高血圧を招いてしまいますので、塩分を抑えた食事や、ハイカロリーな食事を避けると言った具合です。また、肥満体質になっても心臓に負担をかけることとなりますので、カロリーや塩分を抑えた、体にやさしい食事を摂ることが必要になります。
症状が悪化している場合には、外科手術が行われます。いずれの場合にしても、肺動脈狭窄症を発症している場合には、一生上手に付き合っていかなければいけない事となります。
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肺動脈狭窄症を発見するために
どの病気も早期発見・早期治療が望まれますが、肺動脈狭窄症の場合は遺伝的な場合が多いため、発見するためには、病院の検診を受けるなどして発見される事が多いです。通常の生活を通じては、病気の判断がつきにくい症状なので、こうして検診を受けることで、早期発見に繋がることでしょう。
また、幼少期からも発症している場合が多いので、通常の販売業者であれば、子犬の段階で心雑音等が認められ、発見される事もあるでしょう。こうした場合には、販売先からの説明もあるはずです。実際に飼育してからの発見には、非常に難しい症状なので、年に1回の定期健診を受けるなどして発見することが望まれます。
まとめ
愛犬の定期健診を行っている飼い主さんは、どれくらいいるでしょうか。年1回とはいえ、なかなか病院に言って検診を受けされる機会は少ないかもしれませんが、こうした遺伝的な病気以外にも、定期検診を受けることで早期発見できる事も少なくありません。
外見ばかりに気を取られ、こうした内臓の病気に対して、警戒心が薄くなるのは当たり前のことかもしれません。しかし、年1回の定期健診を受けるだけでも、その後の生活や飼育に対しての安心感はぐっと変わるはずです。
また、定期健診は、犬に病院を慣れさせるばかりか、行きつけの動物病院をひとつ持つことで、細かい変化にも気がついてもらえるようになるでしょう。症状が軽症であれば問題はありませんが、今回挙げた症状に見に覚えがある場合には、特に注意して接するようにし、動物病院で診察を受けるようにしましょう。
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