猫のキャラクターでお馴染みの新ブランド「フィリックス」をご存知でしょうか。日本にはまだ入ってきたばかりのブランドなので、知らない方も多いかもしれませんが、海外ではすでにシェアNo1を誇るブランドなんです。
「felix(フィリックス)」
「デキるネコさんに。」をキャッチフレーズに2015年の春に「ネスレ ピュリナ」から登場した、猫用ウェットフードの「felix(フィリックス)」。
テレビCM等でも見かけることもあったかと思いますが、このフィリックスのキャラクターとなっている猫の「フィリックス」のイラストが、いかにも海外のタッチで描かれているものですよね。
そうなんです。このフィリックス、日本では2015年に新発売となりましたが、実はフィリックスブランドとしては1970年にオランダで誕生したブランドなんです。
因みに、最近ではあまり見かけなくなりましたが、猫のキャラクターでお馴染の「フィリックス(Felix the Cat)」とは別物です。こちらは1919年のアメリカで誕生したとのこと。キャッチフレーズもデキるネコさんではなく、「幸運をもたらす猫」なんだそうですよ。
一部の国々では圧倒的なシェアを持つ「フィリックス」
1970年にオランダで誕生したフィリックスは、80年代〜90年代にかけてイギリスやフランス、ドイツ、スペインなどのヨーロッパ諸国へと展開していった老舗ブランドとも呼べる製品です。
その後は中南米、オーストラリアといった国々へも展開が拡がり、現在では日本を含めて世界36カ国で展開されるキャットフードブランドに成長しました。
海外では日本のように「ウェットフード」や「おやつ」だけではなく、ドライフードなども展開されていて、日本では「カルカン(Kal Kan)」や「シーバ(Sheba)」と言ったブランドのシェアが目立っていますが、なんとこのフィリックス、西ヨーロッパに関してはシェア18%でトップシェアブランド、中南米でも約15%のシェアを誇っているのだとか。
日本にいるとあまり海外のペット事情も見えてきませんが、どうやらこのフィリックスブランド、ぽっと出のキャットフードブランドではなさそうです。
フィリックスの猫パウチ
フィリックスが世界的にも広く販売されているキャットフードブランドだということはわかりましたが、肝心な内容はどのようなものなのでしょうか。そこで、日本でのシェアが大きい「カルカン」ブランドのパウチと、フィリックスのパうちの原材料を比較してみましょう。
【フィリックス やわらかグリル成猫用(1歳から) 原材料】
肉類(ビーフ、チキン、家禽ミール等)、穀類(小麦グルテン等)、魚介類(ツナ、いわし)、糖類(ぶどう糖、シュガーシロップ)、ミネラル類(Ca、P、K、Na、Cl、Mg、Fe、Cu、Mn、Zn、I)、ビタミン類(A、D、E、K、B1、B2、パントテン酸、ナイアシン、B6、葉酸、ビオチン、B12、コリン)、アミノ酸類(タウリン)、増粘多糖類、着色料(酸化鉄、酸化チタン)
【カルカン 味わいチキン 原材料】
肉類(チキン、ビーフ)、ブドウ糖、調味料(アミノ酸)、ビタミン類(B1、B2、B6、E、コリン、葉酸)、ミネラル類(Cl、Fe、I、K、Mg、Mn、Na、Zn)、アミノ酸類(システイン、タウリン)、増粘安定剤(加工でん粉)、増粘多糖類、着色料(カラメル、二酸化チタン)、ポリリン酸Na、キシロース、pH調整剤、EDTA-Ca・Na、発色剤(亜硝酸Na)
いかがでしょうか。
気になる部分としては着色料として使用されている「酸化チタン(二酸化チタン)」でしょうか。また、カルカンに配合されている「亜硝酸Na(亜硝酸ナトリウム)」もまた、あまり好ましくはない成分です。
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着色料の使用
上記で説明した「酸化チタン」。酸化チタンは食品を白くさせるために使用される食品添加物のようですが、動物実験でも少なからず悪影響は確認されているものの、日本でも着色のみの使用で認められている成分ではあります。
また、カルカンに含まれていた「亜硝酸ナトリウム」に関しては「発色剤」として利用される添加物で、肉の赤見をより赤くさせる効果を持ちますが、魚肉などに含まれる成分の「アミン」と結合することで、発ガン性物質である「ニトロソアミン」と呼ばれる物質が作られるため、注意が必要です。
これら着色料に関しては、飼い主向けの対策であり、実際に猫が色味を気にするかというと、そうではないことも明確ではないでしょうか。わざわざ添加物を配合する意味は感じられません。
フィリックスのおやつ
続いて、フィリックスブランドで販売されているおやつについて調べてみましょう。
【フィリックス パーティーミックス チーズミックス(チェダーチーズ味、ゴーダチーズ味、エダムチーズ味) 原材料】
穀類(米、コーングルテンミール、とうもろこし等)、肉類(家禽ミール等)、油脂類(植物性油脂、動物性油脂)、たんぱく加水分解物、糖類(ぶどう糖)、乳類(チェダーチーズ、ゴーダチーズ、エダムチーズ)、魚介類(フィッシュミール)、ミネラル類(カルシウム、カリウム、ナトリウム、クロライド、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、セレン)、ビタミン類(A、D、E、K、B1、B2、パントテン酸、ナイアシン、B6、葉酸、ビオチン、B12、コリン)、アミノ酸類(グリシン、タウリン、メチオニン)、着色料(食用赤色2号、食用赤色102号、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色5号)
第一主原料には「穀類」が使用されており、次いで肉類が使用されてはいますが「家禽ミール」が使用されています。
残念ながら、決して健康志向のキャットフードとは言い難い内容ではあります。穀類に関しては、猫が消化にしにくい原料であるため、便秘がちであったり、日頃から運動を行う機会が少ない猫は肥満の原因になるでしょう。
また、穀類アレルギーを持っている場合は、避けたほうが良いものです。
海外と日本の違い
前述でも着色料について触れてきましたが、こちらの製品に関しては「赤色2号」「赤色102号」「青色1号」「黄色4号」「黄色5号」の着色料が含まれます。
以上の着色料に関しても、北欧やカナダ、アメリカといった国々では発がん性があるものとして、使用が禁止されているものですが、日本国内においては着色料として認められている食品添加物です。
前項でも触れましたが、こうしたキャットフードへの色付けは、猫にとって不必要な添加物です。中には発がん性やアレルギーを引き起こす要因と考えられている成分もありますので、できれば避けたいものではあります。
気になったので、海外のフィリックスの原材料(Felix Goody Bag -Cheezy Mix)を確認してみましたが、日本の原材料とはまた違っていました。
イギリスのフィリックスはどんな原材料?
私もかろうじて英語がわかる範囲ではあるので、正確なものではないかもしれませんが、イギリスでのフィリックスのおやつ(Snack)で、同種と思われる製品を見てみました。
第一主原料にはAnimal Derivatives(家禽副産物)が使用されています。日本では第2原材料となっているので、この時点ですでに配合が違うようです。次いでCereals(穀類)となっています。また、着色料に関しては日本のような着色料は使われていない様子。
【Felix Goody Bag -Cheezy Mix 原材料】
Meat and Animal Derivatives (35%)*, Cereals, Oils and Fats, Vegetable Protein Extracts, Milk and Milk Derivatives (0.5% Cheddar Powder, 0.5% Gouda Powder, 0.4% Edam Powder)**, Minerals, Various Sugars, Yeast, Fish and Fish Derivatives, (*Equivalent to 50% Rehydrated Meat and Animal Derivatives, with min. 26% Meat), (**Equivalent to min. 1% Re-hydrated Cheddar, min. 1% Re-hydrated Gouda, min. 1% Re-hydrated Edam)
日本では認められる添加物
その国その国によって、規制されているもの・されていないものは違います。そのため、その国の基準でしかありませんが、ペットフードに関する意識や法律に関しては、日本は非常に遅れをとっているのも事実であるため、未だに安価な添加物や原材料が使用されることもしばしば見受けられます。
これも、日本では規制がないため、安心なものとして使用されていますが、ペット先進国を始めとした国々では、もはや使用していないものも多いのです。
残念ながら、日本とイギリスでは同じフィリックスブランドといえど、内容はやや違う様子です。日本でのフィリックスに関しては、あくまでも日本の規則に沿った内容になっているので、ある程度キャットフードについて調べている方、健康に気を使いたいと考えている方であれば、あまり手がでないような内容であることは確かです。
コストにこだわらない品質重視の製品
国内産の一部のキャットフードと、海外産の一部のキャットフードでは、このように様々な違いが見られることがわかりましたね。必ずしも国内産のキャットフードが粗悪品だというわけではありませんが、価格帯などから判断して、割合的にはややこうしたキャットフードが多く出回っているのは事実です。
海外産の一部のキャットフードの価格が高いのは、決して輸入コストが発生しているからという理由だけではありません。キャットフードに使用される原材料、利用する添加物の違いがあるからこその価格差が発生しているのです。
コストのかからないキャットフードであれば、それだけ販売価格も安く販売されていますが、利用する添加物や原材料にこだわっていくと、どうしてもコストが高くなり、結果として販売価格も高騰してしまうのです。
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大手企業だからこその品質
今回紹介したネスレピュリナのフィリックスに関しては、着色料について取り上げてきましたが、実際には他にも気になる成分が含まれます。
これはフィリックスに限らず、他のキャットフードにも同様に言えることですが、少なからず合成添加物を一切使用していないフード、「ミール類」を使用していないフードが最近では主流になりつつあります。
近年では価格帯よりも品質重視な傾向になってきており、こうしたキャットフードもどんどんとその数を減らしてきています。
大手企業だからこそ、しっかりと腰を据えて品質の良いキャットフードを製造して欲しいところではありますが、実際にはコストの問題があるために、大手企業だからこそ難しい問題なのかもしれませんね。
まとめ
猫のキャラクターがかわいい?フィリックスのキャットフードですが、海外のフィリックスとはまた内容が違うと言うことがわかりましたね。
日本のフィリックスに関しては、日本に並ぶキャットフードブランドに合わせるような形で原材料が組まれているため、「フィリックスらしい」と言えるのは内容ではなく、パッケージやキャラクターなどの個性といえるかもしれません。フィリックスブランドとしては、少々勿体無いような印象を受けます。
フィリックスに限られた話ではありませんが、国産ブランド、もしくは日本でリプロダクトされているような製品に関しては、日本基準で作られているものがほとんどです。
あまりにも安価に売られているキャットフードと比較すると、フィリックスもハイグレードな部分には入りますが、愛猫の健康に気を使いたいと考えるようであれば、まだ上のグレードのキャットフードを利用することをおすすめします。
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