あまりにも多くのトラブルが発生する中国産の食に関する問題。アメリカではペットフードによる事件を皮切りに、こうしたトラブルを発生させる、中国産の原材料を使用しないという意味の「チャイナフリー」という表現を使うようになりました。

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「チャイナフリー」という言葉


「チャイナフリー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。単語から推測して、中国が関係している事とわかると思いますが、実はこの言葉はアメリカで使われ始めた言葉で、発端には中国産の食品に対する安全性の問題が原因となり生まれた言葉でした。

この問題とは、2007年に起きた中国産ペットフードの「メラミン混入事件」。

メラミンとは、プラスチックの原材料であり、当然、ペットフードに含まれる原料ではない有害物質ですが、ペットフードの原料として輸出された中国産小麦粉に、このメラミンが混入していたというものでした。

大規模なリコールが発生

メラミンが混入された中国産の原料を使用したペットフードが市場で販売されたことで、このペットフードを食べた犬や猫の約100匹以上が死亡、アメリカで販売されていた製品は全てリコールが発生。ヨーロッパや南アフリカでもリコールが発生するという、大きな事件になりました。

中国産の食品に関するトラブルはその後も立て続けに、中国国内では粉ミルクにメラミンが混入、約5万人の乳幼児に健康被害が出たり、日本国内でも中国産の冷凍餃子に毒素成分が混入していたなど、世界的にも中国産の食品に対する疑問視が強くなりました。

もちろん、全ての中国産の製品に対してではありませんが、残念ながら「中国産」の製品に対して信頼をしているという方は、実際のところ少ないのではないでしょうか。これは、食品でも電化製品でも同じことが言えますが、アメリカではこの後も中国産ペットフードに関しての大きな問題が発生することとなるのです。

中国産ペットフードによる健康被害

事件の発端は2014年の5月16日、「FDA(Food and Drug Administration)」の衝撃的な発表から起きました。

FDAとは食品や薬品、化粧品、嗜好品、玩具など、主に消費者が接する機会の多い製品の認可や、取締り等を行っている機関で、日本では「アメリカ食品医薬品局」と略されるアメリカの政府機関のことです。

このFDAの発表によると、2007年から2014年(発表当時)までで、6,200匹もの犬と26匹の猫、3人の人間が「中国産原材料」を使用したペットフードが原因と見られる健康被害を確認、そのうち1,140匹以上の犬が死亡したというものでした。

原因はこの時点では不明ではありましたが、犬たちには共通して「胃腸疾患」や「腎不全」「下痢」「嘔吐」といった症状が確認されているとのこと。

多岐にわたるチャイナフリーの影響

この発表に関しては、すでに2013年10月24日の段階で明らかにされており、この時点では約3,600匹が健康被害に、そのうち600匹が死亡したというものでした。

このFDAの発表に対し、中国サイドは「米国の一部のペットが中国からの輸入ペットフードで病気になり、死亡したというが、我が国としては科学的根拠に乏しいと考えている(中国国家品質監督検査検疫総局スポークスマン)」と発表。

アメリカ国内では、中国産ペットフードに対して規制すべきとの声が高まり、「チャイナフリー(中国産を使用していない)」を選択する動きが強くなるのでした。

これはペットフードに限られたものではなく、野菜や果物、歯磨き粉、電話のバッテリーなど、多岐にわたるものに大きな影響を与えていきました。

まだまだ安心はできない原材料の表記


FDAは2015年の発表に際し、その多くのクレームは中国産の「鶏肉」や「アヒル肉」「サツマイモで作られた干し肉」だったと発表しました。

FDAは2011年よりアメリカで販売されているペットフード1200種類以上を検査、すでに問題とされるペットフードに関しては引き下げられているため、いまのところは問題になっていないようです。

しかしながら、原材料コストを抑えるために中国産原料を使用しているものも少なくは無いため、いつ何かしらの問題が起きてもおかしくはないかもしれません。この問題はアメリカに限られた話ではなく、日本に関しても同じ事が言えるかもしれません。

日本では2009年にペットフード安全法が成立し、パッケージには原材料の表記が義務付けられましたが、原材料の産地までは記載する義務はないため、中国産原材料が使用されている可能性もゼロではありません。

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選ばれる「オーガニック」のフード

このような事件を受け、世界的にも「オーガニックフード」の需要は高まってきていると言えます。

オーガニック製品は私達、人間用の食品でも多く聞かれるものですが、近年ではペットフードでもオーガニックの原材料を使用した製品が多く登場してきており、より安心で安全な製品を選ぶのであれば、オーガニックフードを与えるのが理想と言えるでしょう。

「メイドイン◯◯」「原産国:◯◯」といった表記でもチャイナフリーを避けることは出来ますが、今回のような事件を考えると、原材料の段階から安全性の高いものを選ぶ必要があります。

そのためには、やはりオーガニック製品を選ぶのが最も適切であると言えます。オーガニック製品は厳しい条件下のもと、認定されるものですが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

オーガニックとは?

オーガニックとは、使用される原材料はもちろん、原材料を育てる土壌や飼料の餌についても無農薬であったり、完全に自然な状態で育てられたものを指し、人工的な手を加えずに「天然」で「安全」なものをオーガニックとして指します。

具体的には野菜などの作物を育てる際、その土壌で過去二年(もしくは三年間)以上に渡って禁止されている農薬や科学的な肥料を使用していないといったもの。また、育てる際に使用される「水」もまた、オーガニックではならないなど、オーガニック認定を受けるには非常に厳しい条件が存在しています。

このオーガニックの認証を受けるには、第三者機関からの認証を受けなければならず、認証機関は各国によってもそれぞれ存在しています。また、日本ではオーガニックという呼称の他にも「有機」という呼ばれ方もしていますが、基本的にオーガニックと同じ捉え方でよいでしょう。

中国産キャットフードは危険?


愛猫にキャットフードを与える際に最も安心なのがオーガニック認定を受けている製品ではありますが、反対に、中国産のキャットフードは全て危険なのでしょうか。

今回はチャイナフリーを取り上げてきましたが、実際のところ原産国に関わらず、あまり健康的ではないと思えるようなキャットフードは世界中に存在します。また、ここ日本においても同様に、本当に猫の健康を考えているのか疑問が残るような製品も多く見られます。

ポイントとなるのは、いかに「その国」がペットフードに対して規定が持たれているか、その国のペットフード事情がどれだけ発展しているかなど、まずは国レベルでの考え方が重要になってきます。

ある国では危険と考えられているものも、もう一方の国では何の問題もないと考えられる成分もあるのです。

異物混入

原材料の成分以外にも、今回の騒動の発端となったメラミンのように、異物混入してしまうケースは意外とあるものです。

製品を製造する過程では様々な包材などが使用されていますが、やはり人間の手も加わる以上、事故を全く無くするということは難しいのかもしれません。今回取り上げた件ではペットフードで、規模もかなり大きかったことから世界的なレベルとして取り上げられる事態に発展しましたが、小さなプラスチック片などの異物が混入すると言ったケースはあります。

入っていないのが当たり前ではありますが、愛猫にキャットフードやおやつ、ウェットフードなどを与える際には、異物が混入していないか気に留めておきながら与えるようにすることも大事かもしれません。

さいごに

このアメリカで起きた問題のように、多くのペットが犠牲になり、ペットフードを製造する会社にも大きなダメージが残り、中国自体も評判を落としてしまうこととなるため、誰も得をしない結果となります。

前述の通り、近年ではオーガニックや原材料の産地までを明確にしているペットフードもすくなくありません。一方、安価なペットフードに関しては、グレーゾーンのまま販売されている物も多く見受けられます。

原材料が安心で安全なものを使用していると、どうしても製造コストが上がってしまうため、販売価格も高くなりがちです。しかしながら、これが妥当な金額であって、これまで安く手にしていたペットフードの価格が異常であったと考えてもおかしくないのではないでしょうか。現実に何かあってからでは取り返しがつかないのですから。

※内容は2017年3月時点での情報になります。原材料、商品名等の内容は変更している場合があります。

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