猫も大好きウェットフードですが、イメージ的にはウェットフードは素材そのままといった感じもしますが、実は合成添加物や天然の添加物が使用されているものがほとんど。今回はウェットフードに含まれる「増粘多糖類」「天然多糖類」について調べてみました。
高栄養価のウェットフード
愛猫のキャットフードにトッピングしたり、ご褒美や記念日のご馳走にも与えることの多い、猫の缶詰やパウチに代表される「ウェットフード」。食いつきも抜群で、食欲のない猫でもぺろりと食べてしまいますよね。ウェットフードは、ドライフードよりも水分も多く、ドライフードよりも熱処理が施されていない為に、素材そのものの栄養価も壊されることなく、非常に高品質な栄養を摂取することもできます。
ウェットフードにも様々な種類が販売されていますが、そんなウェットフードも、必ずしも健康に良い原材料が使用されているとは限りません。ハイクラスなウェットフードになると、素材のみで勝負しているウェットフードもありますが、中には添加物を使用して見た目を良くしているものも存在するのです。
ウェットフードに使われる「増粘多糖類」とは?
多くのウェットフードに使われる添加物に、「増粘多糖類」というものがあります。増粘多糖類は文字通り、食品の「粘り」を出すために使われるもので、ウェットフードにも見られる「とろみ」や「プルッ」とした食感や見た目を作る物で、ウェットフードだけでなく、人間用の製品にも使用されるものです。
この増粘多糖類ですが、本来は「天然多糖類」と呼ばれる素材を2種以上使用する場合に、簡略名として「増粘多糖類」もしくは「ゲル化剤」と表記されるもので、この天然多糖類にもいくつかの種類が存在するのです。因みに、増粘多糖類の他にも「増粘安定剤」と表記されることがありますが、増粘安定剤と表記される場合には「増粘多糖類」とひとまとめにせず、使用される天然多糖類を表記する場合に用いられています。
「天然多糖類」とは?
「天然多糖類」とは、身近なものでは「デンプン」や「セルロース」といった物が挙げられますが、いくつかの糖分が結合したものを多糖類と呼び、天然の添加物として使用されています。多糖類にはこの他にも、
・豆類(グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム)
・果物類(ペクチン)
・野菜類(デキストリン)
・樹液類(アラビアガム)
・海藻類(カラギナン、ファーセレラン、アルギン酸)
・微生物生成類(キサンタンガム、カードラン)
など、様々な天然多糖類が存在します。天然と聞くと、体にも害がなさそうな気がしますが、実はそうでもないのが問題です。天然多糖類の中には、これまでの実験や研究で発がん性やアレルギーを引き起こすと指摘されている物も存在するのです。
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危険が囁かれる、一部の天然多糖類
上記に挙げた天然多糖類の内、発がん性や染色体異常が認められたものは、
・豆類(トラガントガム)
・海藻類(カラギナン、ファーセレラン)
危険、もしくはまだ安全性が認められていない(=現段階では問題ではないので使用される)天然多糖類には樹液類の「アラビアガム」が挙げられます。アラビアガムに関しては、人間が吸引した際にアレルギーを引き起こす可能性があるとして指摘されるものですが、まだ確実な結果としては認められてはいません。
とは言え、これらの危険とされる天然多糖類も、微量の摂取量であれば問題は無いとされています。発がん性が認められた「トラガントガム」では、マウス実験による研究で、食事の全体量1.25%〜5%にトラガントガムを混ぜ、2年間投与した結果、発がん性が認められると言った研究内容で、この量からも分かる通り、かなりの量を投与し続けた結果なのだと言うことがわかります。
とはいえ、なんとなく不安が残ってしまうのも飼い主さんの気持ちですよね。では実際に、店頭などで販売されているウェットフードには、どのような天然多糖類(増粘多糖類)が含まれているのかを見てみましょう。
あのウェットフード、増粘多糖類は含まれる?
猫のウェットフードとして有名どころのピュリナの「モンプチ」。2種を比較してみましたが、いずれにも「増粘安定剤(加工デンプン)」が含まれていますが、実はこの加工でん粉、化学的に作られたいわゆる合成デンプンのこと。合成添加物と同じ扱いなので、アレルギーを引き起こす要因になるとして、少々注意が必要なものです。
また、両種ともに「増粘多糖類」が配合されていますね。前述の通り、2種以上の天然多糖類を含むのでこうした表記となっていますが、加工でん粉の方が含有量が多いため、できれば避けたほうが良いかもという結果になりますね。
【ピュリナ モンプチ セレクション ロースト若鶏のあらほぐし手作り風】
肉類(ポーク、チキン等)、穀類(小麦グルテン等)、豆類(大豆たんぱく)、糖類(ぶどう糖)、増粘安定剤(加工でんぷん)、ミネラル類、アミノ酸類、着色料(酸化チタン)、ビタミン類
【ピュリナ モンプチ プチリュクスパウチ まぐろのしらす添え】
魚介類(かつお、まぐろ、しらす、フィッシュエキス)、調味料、増粘安定剤(加工でんぷん、増粘多糖類)、カラメル色素、ビタミンE
実はほぼ全てのウェットフードに含まれる増粘多糖類
正直な所、モンプチに限らず、現在日本で販売されているウェットフードの多くが、モンプチと同じような物といっても良いかもしれません。プレミアムフードのイメージも強いヒルズやロイヤルカナンのウェットフードや、モンプチと並んで販売量の多そうなカルカンも同じように増粘多糖類を含みます。
【カルカン パウチ 成猫用1歳から お魚・お肉ミックス まぐろ・かつお・ささみ入り】
魚類(かつお、まぐろ等)、肉類(チキン、ささみ、ビーフ)、植物性油脂、小麦、調味料(アミノ酸等)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、E、コリン、葉酸)、ミネラル類(Ca、Cl、Cu、I、K、Mn、Na、P、Zn)、タウリン、増粘多糖類、ポリリン酸Na、EDTA-Ca・Na、発色剤(亜硝酸Na)
【ヒルズ サイエンスダイエット シニア チキン缶】
チキン、ターキー、ポーク、コーンスターチ、コーングルテン、動物性油脂、小麦、大豆、セルロース、米、チキンエキス、酵母、ミネラル類、ビタミン類、アミノ酸類(タウリン、メチオニン)、着色料(酸化チタン)、増粘多糖類
【ロイヤルカナン インスティンクティブ ウェット】
肉類(鶏肉・豚肉)、豚レバー、サーモン、小麦粉、小麦タンパク、セルロース、糖類、ミネラル類(Ca、P、Mg、Na、K、Cl、Zn、Fe、Mn、Cu、キレートミネラル(Zn、Mn、Cu))、アミノ酸類(タウリン、グリシン、メチオニン)、増粘多糖類、調味料(アミノ酸等)、ビタミン類(コリン、E、B1、ナイアシン、D3、B2、パントテン酸カルシウム、B6、葉酸、ビオチン、B12)
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増粘多糖類の表記ではなく、増粘安定剤として明記するブランドも
一般的には馴染みの薄いジーランディアのウェットフード。プレミアムフードとしても知られるメーカーですが、ジーランディアのラム缶では、増粘多糖類の表記ではなく、増粘安定剤として詳しく、配合している内容が表記されています。
【ジーランディア キャット ラム】85g 300円
ラム肉(53%)、グリーントライプ(32%)、グリンピース/パンプキン/ニンジン(7.4%)、ホキフィッシュオイル、増粘安定剤(カラギナン、ピロリン酸四ナトリウム、グァーガム、キサンタンガム、カシア)、ビタミン類(A、D3)、有機キレートミネラル類(亜鉛、鉄、銅、マンガン、ヨウ素、セレン)、緑イ貝、タウリン、コエンザイムQ10
また、一方「アルモネイチャー」のオーガニック缶では、こうした増粘安定剤は一切使用されず、オーガニック素材のみの配合で、素材勝負の缶詰も存在します。非常に体にも良さそうです。
【アルモネイチャー デイリーメニュー オーガニックパテ ビーフ】100g 267円
ビーフ(有機)、ポーク(有機)、チキン(有機)、シリアル、ベジタブルプロテイン、ビタミン類、ミネラル類
まとめ
増粘多糖類・天然多糖類は必ずしも危険とは言えない添加物ではありますが、さらに今後、研究が進んでいくと安全ではないとされる天然多糖類も出てくるかもしれませんね。そうなってくると「増粘多糖類」といった表記も、より細かに指示されることになるとは思いますが、現段階から、どのような素材が使用されているのかを、愛猫の健康のためにも知っておいておきたいですね。
※内容は2017年2月時点での情報になります。原材料、商品名等の内容は変更している場合があります。
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