色鮮やかなキャットフード。こうしたフードは見た目はかわいい粒ですが、蓋を開けてみると非常に危険なキャットフードである可能性も高いのです。安価なキャットフードに多く見られる「着色料」に関して、今回は解説していきたいと思います。
日本のペットフード事情
近年では愛猫家もキャットフードの原材料や保存料にも詳しくなってきているため、一昔前よりも原材料にこだわったキャットフードが増えてきています。とはいえ、まだまだ日本国内ではペットフードに対する考え方や規定も厳しいものとは言えず、ペット先進国と呼ばれる諸外国と比較してみると、まだまだレベルの低いものと言わざるをえないです。
日本では原材料に添加物の表示が義務化されたのが2007年6月、「ペットフード安全法」が施工されたのが2009年6月のことでした。ペットフード安全法では「原材料の安全性の確保」、「ペットの健康被害防止に必要な措置の実施」等の内容が盛り込まれています。
一方、アメリカでは1992年に「AAFCO(全米飼料検査官協会)」と呼ばれる機関がキャットフードやドッグフードの栄養基準値を数値化。義務化ではありませんが、各社AAFCOの定める栄養基準を参考にし、ペットフードが作られる流れがあります。このAAFCOの基準値は日本のペットフードメーカーも参考にしている物もあります。
安価なフードほど危険が多い
比較的安価なキャットフードに含まれる原材料や保存料で注意が必要と考えられている物には色々とありますが、特に注意すべきは「酸化防止剤」「着色料」「保存料」です。
念のため、現在、愛猫に与えているキャットフードの原材料表記を確認してみましょう。下記の原材料表記は、国内で販売されている比較的安価なキャットフードの原材料です。
穀類(とうもろこし、小麦等)、肉類(チキン、チキンエキス等)、植物性タンパク、大豆、油脂類(パーム油、大豆油等)、魚介類(フィッシュエキス、かつおぶし等)、野菜類(ほうれん草、にんじん等)、ビタミン類(A、B1、B2、B5、B6、B12、E、コリン、ナイアシン、葉酸)、ミネラル類(亜鉛、カリウム、カルシウム、クロライド、セレン、鉄、銅、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、リン)、アミノ酸(タウリン、メチオニン)、保存料(ソルビン酸K)、着色料(赤102、青2、黄4、黄5)、酸化防止剤(クエン酸、BHA、BHT)、pH調整剤
酸化防止剤はキャットフードの質を落とす原因となる「酸化」を防ぐために使用される合成添加物で、有名なものでは「BHA(ブチルヒドロキシアニソール)」、「BHT(ブチルヒドロキシトルエン)」、「エトキシキン」の3種が挙げられます。用途としては酸化を防ぐための重要な働きをしているものですが、どうやら合成添加物はメリットだけとは言えないのが現状となっています。
キャットフードに含まれる合成添加物
酸化防止剤や保存料、着色料などに使用される合成添加物は、発がん性が疑われるものとして注意が必要な添加物と考えられています。
保存料に関してはその名の通り、キャットフードの賞味期限を伸ばすために使用される合成添加物ですが、「ソルビン酸カリウム」等は健康に害を及ぼす可能性があるとも言われる合成保存料として挙げられます。
キャットフードで主に危険と言われるものが「亜硝酸ナトリウム」と呼ばれる添加物です。この亜硝酸ナトリウムが危険と言われる理由には、肉や魚に含まれる「アミン」と呼ばれる成分が亜硝酸ナトリウムに反応し、発がん性物質へと変化してしまう危険性があるためです。
数十年前までは当たり前に使用されていたこれらの合成添加物も、近年では「害がある」「危険」といった研究結果や噂なども広がり、徐々にフードメーカーも使用を避け始めるようになりました。
なぜ着色料が必要なのか
そして今回取り上げるのが着色料です。人間の食べ物でも着色料が危険という認識はありますね。これはキャットフードにも同じことが言えます。
安価なキャットフードでは、その内容にこだわるのではなく、見た目を良くし、コストをかけないような形でキャットフードを製造していくのだと思います。
そのため、キャットフードは可愛い骨型だったり、ハート型だったり、色も綺麗な色が付いていたり、見た目にも体に良さそうな野菜をイメージさせる緑色であったりと、キャットフードの粒自体の見た目は可愛いものに仕上がっています。
ところが、当の猫からすると、こうした形や色はどうでもよく、いかに美味しい食べ物であるかが重要なのです。そのため、こうした着色料などの使用は、飼い主に対するものでしかないといえるでしょう。
赤色、青色、黄色の着色料
着色料にも「赤色」や「黄色」「青色」といった種類がありますが、それぞれの色に病気を引き起こすリスクがあるということが言われているのです。発がん性が心配される赤色、黄色、アレルギーを引き起こす可能性が高くなると言われる青色、黄色といった感じです。
この3色を混ぜることでかなりの色数は再現できるようになります。例えば緑色を作る際には黄色と青色が用いられるので、発がん性やアレルギーを引き起こす可能性が高くなるということです。
先程、例にあげた原材料表記の中の着色料に該当するのが「赤102号」「青2号」「黄4号」「黄5号」ですが、これらはいずれも猫にとって害となる可能性が高い「合成着色料」と呼ばれるものであります。
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様々な着色料
以下に挙げたのは先程の製品とはまた別のキャットフードです。価格帯としてはこちらも安価な製品です。
穀類(とうもろこし、中白糠、コーングルテンミール、小麦粉、ホミニーフィード)、肉類(ミートミール、チキンミール)、魚介類(フィッシュミール、フィッシュパウダー、まぐろ節、しらす、かにかまチップ、えび)、動物性油脂、大豆ミール、のり、オリゴ糖、野菜類(キャベツパウダー、にんじんパウダー、ほうれん草パウダー、かぼちゃパウダー)、ミネラル類(カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素)、ビタミン類(A、D、E、K、B1、B2、B6、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、コリン)、アミノ酸類(メチオニン、タウリン)、食用黄色5号、食用赤色3号、食用黄色4号、食用青色1号、食用赤色102号、紅麹色素、酸化防止剤(ローズマリー抽出物)
赤字で表示している「食用黄色5号」「食用赤色3号」「食用黄色4号」「食用青色1号」「食用赤色102号」が着色料になります。
こうして見比べてみると、別メーカーのキャットフードでも使用している着色料は「赤・青・黄色」と同じ色の着色料を使用していますが、「青2号」と「青色1号」といったように「◯号」と番号が違うことに気が付きます。
続いて以下は、別メーカーのパウチの原材料です。
穀類(小麦、コーングルテン、米等)、肉類(家禽ミール等)、動物性油脂、たんぱく加水分解物、魚介類(サーモン、ツナ、フィッシュパウダー(まぐろ、かつお、鯛、小魚))、豆類(大豆ミール)、ミネラル類(カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、クロライド、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、セレン)、ビタミン類(A、D、E、K、B1、B2、パントテン酸、ナイアシン、B6、葉酸、ビオチン、B12、コリン、C)、着色料(食用赤色2号、食用赤色102号、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色5号)、アミノ酸類(タウリン)
赤色で示した「食用赤色2号」「食用赤色102号」「食用青色1号」食用黄色4号」「食用黄色5号」と、また前述で挙げた着色料とは異なる内容となっています。
ヨーロッパ各国でも使用禁止とされる「赤102」
このように着色料にも色々な番号がありますが、それぞれ異なる合成添加物となっています。
例えば「赤102号」は「ニューコクシン」と呼ばれる合成添加物で、人間用の製品ではソーセージに使用されていたり、梅干し、福神漬け、ゼリー等にも使用されている着色料です。
しかしながら、アメリカ、カナダ、ヨーロッパなどの国々では、発がん性やアレルギーを引き起こすリスク、発達障害に関する発症リスクなどの懸念があるため、使用を禁じられています。
この他、「赤色2号」に関してもアメリカや韓国でも仕様が禁じられておりますが、発がん性のリスクがあると発表されているものの、日本では未だに使用されている状況です。当然ながらキャットフードにも使用されており、前述で挙げた製品にも使用されていることがわかります。
「青」や「黃」も同様のリスク
猫の体に悪影響を及ぼすのは「赤」だけではありません。「青」や「黃」も同様のリスクがあります。
「青色1号」に関しては発がん性が認められており、ラット実験では94週〜99週の間、週1回のペースで青色1号を2%〜3%含んだ液体を1ml、皮下注射によって投与し続けた結果、なんと76%もの割合でガンが発生したという研究結果も。
「黄色5号」に関しては更に恐ろしく、ラット実験では体重1kgに対して2g以上経口投与することで、50%の死亡率という急性の毒性が認められています。
当然ながらキャットフードに使用される量はコンマ何ミリの含有量ではあるものの、決して安全とは言えないものです。
これらの着色料に関しては、日本の規定では問題ないとされているのですが、長期的な研究が行われているわけではなく、猫の体に悪影響を与えるという可能性も非常に低いとされています。
徐々に天然由来の添加物に
近年ではグレードの高いキャットフードを始め、多くのキャットフードがこうした合成着色料の使用をやめ、天然由来のものへと移行している動きがあります。
今では合成着色料を使用しているキャットフードの方が珍しくなりかけている位ですが、前述の通りまだまだ安価なキャットフードでは使用が続けられているのが現状です。
体に害はないとは言え、飼い主の気持ちとするとできれば与えたくはない成分のひとつのため、愛猫の健康を意識するようであれば、使用は続けないほうが良いかもしれません。
また、プレミアムフードで知られるメーカーが微量であれば害がないとして「BHA」を使用した製品が日本で販売されていますが、アメリカで販売されている同製品では酸化防止剤として「ミックストコフェロール(天然由来)」を使用しているのは何故でしょうか。
まとめ
実際のところは必ず猫への悪影響があると断言されたわけではありません。ここだけは覚えておきましょう。しかし、多くのキャットフードが合成着色料の使用を止めている現状を見てみると、やはり悪影響も疑わずにはいられません。
愛猫には出来る限り安全なキャットフードを与えたいと思うのが、飼い主さんの願いだとはおもいますが、キャットフードの内容と価格はある程度、イコールの関係ではあります。
価格が高ければ、それだけよい原材料、添加物不使用といったキャットフードが手に入ることでしょう。逆に安価なキャットフードであれば、質の悪い原材料、合成添加物だらけというのは覚悟した方が良いでしょう。
※内容は2017年2月時点での情報になります。原材料等の内容は変更している場合があります。
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