ボルゾイと一緒に暮らすために、どんな特徴や性質であり、どのようなことに気をつけなければいけないのでしょうか?今回は「ボルゾイ」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
ボルゾイとは
皆さんも一度は、非常に大きく、気品に満ちた犬を、もしかしたら見かけたことがあるかもしれません。
「ボルゾイ」という名前の犬ですが、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
体高は70cm前後にもなる大きな体と、美しい被毛を持っており、その見た目のインパクトで、記憶に残っている方もいると思いますが、気品あるあの雰囲気は、かつての皇帝達や貴族たちにも愛されていました。
ボルゾイのルーツには諸説あり、ロシアの民族が持ち込んだとされる説や、ハンガリーにいたグレーハウンドの血を引くという説など、ほかにも様々な仮説があるようです。
有力な説として、すでに絶滅してしまった「ラップ・スレッド・ドッグ」という犬と「コリー」の交配によって作出された犬種として伝わっています。確かに、どこかしらコリーにも似ていますよね。
確実にわかっているのは、14世紀頃のロシアで、オオカミの猟犬として使途されていた犬であり、当時の皇帝や貴族達に使えていた犬だったという事です。
こうしたことから、ボルゾイの原産国はロシアとされており、かつては「ロシアン・ウルフハウンド」と呼ばれていましたが、1936年にロシア語の意味で「俊敏・機敏」という意味をもつ「ボルゾイ」という名称に改められました。
オオカミ狩りの名手
「ロシアン・ウルフハウンド」と呼ばれていただけあって、ボルゾイはオオカミ猟をするために適した体と性格を持っていました。見た目からしても、非常に足が早そうですが、実はボルゾイの自慢はそれだけではありません。
まず特徴となるのが、非常に優れた「視覚」です。
ボルゾイは非常に目が良く、遠くにいる獲物を目で捉えることができます。
ボルゾイは、オオカミだけではなく、広い広原でのウサギ猟にも使われており、こうして目で捉えた獲物を追いかけるため、最高速度が50km/hとも言われる俊足で、獲物を捕えるために追いかけるのです。
この速度を可能にするために、ボルゾイの体は美しいアーチ型を描いた体型になっています。
また、非常に俊足でありながら、体力も自慢のひとつであり、長い距離を追跡することも可能としていました。
ロシア以外では、コヨーテ猟やジャッカル猟でも活躍しており、こうした動物たちやオオカミと戦ってきた猟犬でした。
現在は家庭犬としての交配が進められ、かつての猟犬としての性格は少し影を潜めた所もありますが、「ルアーコーシング」などのスポーツ競技でも活躍しています。
ボルゾイとウィペットの違い?
ボルゾイのような体型をし、ボルゾイよりももっと小柄な中型犬で知られる「ウィペット」。ボルゾイの体高は75cm〜85cm、一方ウィペットの体高は41cm〜51cmほどと、ボルゾイよりも小柄な犬種ですが、ウィペットもまた、走ることが得意な犬種で、ルアーコーシングにも参加している事が多い犬種です。
ロシアのグレイハウンドとも言われたボルゾイですが、ウィペットに関しては祖先犬にグレイハウンドを持ちます。祖先犬は違えど、同じくハウンド犬の血を引く両犬種なので、似た特徴を持つのですね。
体格差もありますが、同じく運動量の多い犬種ですので、1日に1時間以上の散歩は必須と言えるでしょう。ただし、ボルゾイに関してはウィペットの倍は運動してもよいかもしれません。
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ボルゾイの性格について
猟や外遊びでは、非常に活発な様子を見せるボルゾイですが、室内においてのボルゾイは一変して、非常におだやかになり、また、人懐っこい一面を見せるようになります。
かつての貴族たちもこうした、ボルゾイの性格を気に入っていたのでしょうか。
成犬になり、落ち着いた年齢になってくると、非常に気品溢れる優雅な犬種となります。
しかし、その見た目からは想像がつかないほどに、遊ぶことが大好きで、人間の子供ともはしゃいで遊べる犬種でもあります。
体力もあるので、子供ともたくさん遊んでくれるかもしれませんね。
基本的に、人に対しては非常に従順な性格を持っており、こうして遊ぶことも大好きな犬種ではありますが、頑固な部分もあるので、躾をしっかりと行う事が重要になります。
また、元は狩猟犬、他の動物や動くものには非常に俊敏に反応してしまいますので、こういった部分も注意や躾が必要になります。
ボルゾイの被毛のお手入れについて
ボルゾイの気品溢れる雰囲気は、その見た目でも優雅さが伝わります。
ボルゾイ自慢の美しい長毛の被毛は、絹のように繊細な毛質を持ち、手入れをすればするほどに美しくなることでしょう。
基本的には、多くても1日1回のブラッシングで十分ですが、常に美しい長毛を維持するためには、トリミングは月に1回が理想的です。
また、一般的なボルゾイは「白い被毛」の個体が多いですが、白い被毛をベースに
- 「ブリンドル」
- 「グレー」
- 「タン」
- 「レモン」
- 「黒」
いずれかの斑が入っている個体も見られます。どのカラーも美しい被毛を持っており、様々なカラーを楽しむことができるでしょう。
また、ロシアで育った犬種のためか、ボルゾイは寒さには幾分強いですが、暑さには非常に弱いです。
夏場、日中の散歩はボルゾイにとっては過酷な状況となり、熱中症などになりかねません。運動量が必要な犬種ではありますが、散歩や運動をさせる時間帯には気を付けるようにしましょう。
ボルゾイの運動量について
前述のとおり、ボルゾイは猟犬の血も引き、運動量もかなりの量を必要とします。
1日の散歩は最低でも2回、30分以上は必要となり、さらに散歩以外の運動も必要です。運動量が少ないと、ストレスが溜まることになり、躾や性格にも影響してくるでしょう。
頑固な一面もありますので、こうした最低限の運動ができない環境下では、ボルゾイとの意思疎通も難しくなるばかりか、上手にコントロールもできなくなるでしょう。
ボルゾイの病気について
ボルゾイが気をつけておきたい病気は、主に皮膚疾患と目に関係する病気です。とはいえ、ボルゾイに好発する病気は比較的少なく、他の純血種に比べると病気の心配も少なく、やや丈夫な犬種と言えるかもしれません。
とはいえ、必ず病気にならないわけではありません。基本的な健康管理は必ず大事になりますので、日頃からの健康維持には気を使うようにしましょう。特に運動量の多い活発な大型犬は「胃捻転」に注意が必要です。胃捻転は命にも関わるものなので、食後に激しい運動を避けるなど、最低限のことには気をつけましょう。
また、先天的疾患に「ボルゾイ網膜症」とも呼ばれる病気もあります。網膜の形成不全となる本症ですが、先天的疾患である場合が多いため、子犬の頃に一度診断を受けてみると安心かもしれません。
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ボルゾイの寿命について
ボルゾイの寿命に関しては、おおよそ7歳〜10歳ほど。特筆すべき病気も少なく、丈夫な犬種でもあるボルゾイですので、幼少期からしっかりとした健康維持を行っていれば、しっかりと寿命もまっとうしてくれることでしょう。
ボルゾイに大事なのは、多くの運動量です。思うように運動が出来なければ、ストレスも溜まってしまいます。ストレスは病気の要因にもなりかねないものですので、日頃からしっかりと運動を行い、ストレスのかからないような毎日を送るようにしましょう。
また、しっかりとした食事の管理も重要です。これだけの運動量を必要とする犬種ですので、1日に必要としている栄養やカロリーも多め。消化に悪い食事や、不健康な食生活は、体の負担にもなりますので、消化に良い食事を与え、スムーズに消化し、すぐにエネルギーに変えられるような食事の管理を行うようにしましょう。
ボルゾイのブリーダーについて
ボルゾイは人気の犬種ではあるものの、ペットショップなどで見かける機会の少ない犬種です。というのも、ボルゾイを飼育するにはある程度の犬に対しての知識や、ボルゾイに対しての知識を要します。そのため、ボルゾイを飼育するには、初めての方が飼育するには少々、難しい犬種とも言えるのです。
ペットショップは初めて犬を飼うという方も大勢いらっしゃる場所ですので、初心者向きではないボルゾイを販売する機会も少ないのです。そのため、ボルゾイを迎え入れる際には、ブリーダーからの直販という形が一般的となるでしょう。
ボルゾイの価格に関しては、20万円〜といったところ。高い個体でも30万円前後ほどが相場でしょう。毛色によっても価格の前後は出てきますので、好みの毛色を把握しておくと、相場もある程度は把握できるでしょう。
ボルゾイのルーツと飼い方は?【気品溢れる優雅な犬!】のまとめ
非常に魅力的で美しい犬種でもありますが、見た目だけの判断や「自慢」するだけの目的でボルゾイを飼育しようと考えるのは止めましょう。さらに、美しい被毛の管理も、常に維持することは大変です。
栄養バランスの取れた食事と、適正な運動量があの美しい被毛を作り上げ、さらに飼い主の手入れによって、絹のような被毛を維持しているのです。
犬を飼ったことが無い方には、少々難しい犬種ではありますので、中級者〜上級者向けの犬種と言えます。
どうしても飼いたいと考える場合は、それなりの覚悟が必要になる犬種という事を忘れないようにしましょう。
とはいえ、長い年月、人とパートナーとして飼われてきた犬種ですので、飼い主にとってかけがえのない「相棒」にもなれる犬種ですので、いつかは飼ってみたい犬種です。
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