オス犬の生殖器の病気として知られる「前立腺肥大」という病気。主に、高齢の犬が多くかかる生殖器の病気としても知られています。今回は、この「前立腺肥大」の症状と治療・予防策について解説していきたいと思います。

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前立腺肥大とは

主に、高齢期のオス犬が発症しやすいと言われる「前立腺肥大」という病気。人間でも同じく前立腺肥大を発症しますが、犬の世界にもある生殖器の病気です。
原因は、老化していくにつれて崩れていってしまう、ホルモンバランスが影響していると言われています。

前立腺肥大を発症してしまうことで、排尿に困難が生じることや便秘、また、血尿がでるといった症状も見られます。前立腺肥大を発症したことで、命を落とすという訳ではありませんが、こうした病気から、様々な病気を併発し、やがて取り返しのつかない事態になるということも考えられなくないので、油断は禁物です。

前立腺肥大の症状について

初期症状が非常にわかりにくい前立腺肥大。ほぼ無症状の状態から病気が進行していきます。やがて、病状が進行することで、前立腺の肥大が影響し、膀胱や尿道といった臓器を圧迫しはじめます。こうして圧迫されてしまうことで、尿の出が悪くなったり、排尿の回数が少なくなってくるといった初期症状が見られはじめます。

老犬に多い病気ということもあり、こうした頻尿の症状や尿が出にくいといった様子が、高齢の為に起きているのだと、勘違いされてしまいそうですが、今一度、愛犬の様子をしっかりと観察するようにしましょう。

頻尿の症状に加え、便秘や、便を少量ずつ排泄するといった症状もみられるでしょう。やがて血尿も見られ始めますが、血尿が出始めたということは、「膀胱炎」など、細菌感染による膀胱の炎症も考えられます。より注意深く観察するようにし、状態が不安であれば診察を受けるようにしましょう。

前立腺肥大により併発する病気

前立腺肥大を発症することで、他の病気を併発するリスクが高まります。その一つは、「膀胱炎」です。細菌感染などの要因によって、膀胱に炎症が起きてしまう泌尿器の病気です。

膀胱炎を発症することで、排尿の回数が増えたり、回数の割には尿の量が少ない・出ていないといった症状が見られ、膀胱炎の病状が進行していくと「尿道結石」や腎臓の病気を引き起こすきっかけとなりますので、注意が必要な病気です。

さらに、前立腺肥大の進行によって「前立腺嚢胞」という症状も併発する恐れがあります。これは、前立腺が肥大し、そのすき間に血液などが蓄積してしまう症状です。細菌感染を併発すると化膿してしまい、膿がたまってしまう「前立腺膿瘍」となる場合もあります。

前立腺肥大の症状が軽いからと言って、治療するのを放おっておくと、こうした様々な病気を併発する可能性が高くなります。早期発見・早期治療ができるように、日頃から愛犬の排泄について観察しておきましょう。

前立腺肥大はなぜ起きるのか

前立腺肥大は、男性ホルモンが崩れることによって発症すると言われています。精巣から分泌されている「雄性ホルモン」と「雌性ホルモン」、この両ホルモンのバランスが崩れることで、前立腺に良性の肥大が発生します。これが一つの原因と言われるホルモンによる前立腺肥大の原因です。

この他にも、細菌性による前立腺肥大や腫瘍の影響による前立腺肥大などが存在します。しかしながら、前立腺肥大の明確な原因というのは、未だに明らかになっていないのが実情です。

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前立腺肥大の治療について

前立腺肥大を治療するには、去勢手術が一番の治療法となります。その後はホルモン剤投与による内科療法となります。去勢手術をせずに、ホルモン剤を投与して前立腺肥大を抑えるという方法もありますが、あくまでも前立腺肥大の状況が軽度である場合に限られるでしょう。

前立腺肥大は、いずれ腫瘍化する恐れもあるため、その後の予防策として去勢手術を行い、根本となる原因を除去する方法が、やや一般的な方法でしょう。また、あまりにも前立腺が肥大しすぎている場合、前立腺の摘出も視野に入れておきましょう。

前立腺肥大を予防するために

やや高齢期に多く見られる前立腺肥大ですが、高齢期ともなると、外科手術に耐えられるか不安な点もでてくるでしょう。必ずなるわけではないにしろ、高齢期に発症し、外科手術を受けるリスクを考えるのであれば、若年期に去勢手術を行う事も考えても良いかもしれません。

去勢手術を行うことで、前立腺肥大を予防できるだけではなく、生殖器系の様々な病気のリスクを減らすことが可能となります。生殖器系には前立腺のほか、睾丸の腫瘍といった病気もあるため、高齢期そなえ、こうした病気のリスクを回避することも重要です。

また、若い内に去勢手術を行うことで、様々な病気のリスクを減らすだけではなく、オスならではの行動を未然にしつけることも可能となります。飼い犬が若年であれば、高齢期の予防策として、去勢手術を取り入れる事を一度、検討してみてはいかがでしょうか。

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