犬に必要不可欠な栄養素の1つに挙げられる「カルシウム」。皆さんもご存知このカルシウムは、骨や歯などを形成し、健康な体を維持するためにかかせないものです。今回はこの「カルシウム」について調べてみましょう。
生命を維持するために必要な「6大栄養素」
犬や人間に必要な5大栄養素には「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「炭水化物」「ミネラル」の5つが挙げられますが、これらに加えて必要な栄養素「水」を入れることで、6大栄養素とも言われます。6大栄養素は、生命を維持するために必要不可欠なもので、人でも犬でも同じ6大栄養素が必要となります。
その中のひとつの「ミネラル」は、犬の生命を維持するために必要な栄養素でもあり、犬の成長のためにも欠かせないものです。ビタミンとミネラルに関しては、食事から摂取する必要があるので、しっかりと栄養素の関わりについて理解し、ミネラルやビタミンが含まれる食べ物についても理解するようにしましょう。
知っているようで知らない「カルシウム」
恐らく、数ある栄養素の中でも最も知名度のある栄養素が「カルシウム」ではないでしょうか。
このカルシウム、皆さんもご存知の通り、骨を形成するためには欠かせないもので、カルシウム不足になることで、骨粗鬆症や骨が折れやすくなるという事も周知の事実ですよね。犬にとってもこのカルシウムは大事な栄養素で、人間と同じく、犬の骨を形成する役割や、歯を形成することでも大事なものです。
また、イライラしていると「カルシウム足りてないんでない?」と言われたりする通り、カルシウムは骨や歯だけではなく、脳や神経といったところにも関係のあるものなのです。
この他、筋肉の収縮する事にも関係していたり、血液を固まらせないための働き、ホルモンの分泌を補助、細胞の増殖を助けるといった役割もしている、まさに体を支えるためには無くてはならないものなのです。
リンとマグネシウムも必要不可欠な栄養素
なんとなくカルシウムを摂取していると、骨になっているというイメージではありますが、カルシウムが骨になるまでには、様々な別の栄養素の存在が不可欠なため、単純にカルシウムを摂取しているからと言っても、ダイレクトに骨に変わっている訳ではありません。
カルシウムの働きや吸収を正常に行わせるためには「リン」、そして「マグネシウム」が大事な役割を担っています。その比率も、カルシウム1〜2に対し、リン1、マグネシウム1という割合が理想的とされます。
ミネラルの一つ、リンとは肉類に多く含まれるミネラルで、筋肉や骨を生成するための原料となり、骨を強化するために必要なものです。
マグネシウムもまた、魚類や哺乳類、鳥類といった生き物の骨に含まれるミネラルで、骨を構成する際に安定させる働きをします。
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骨を形成するメカニズム
このように、骨を構成するためには、カルシウム・リン・マグネシウムのバランスが非常に重要であり、骨を生成し、安定し、強化をするという3つの働きが非常に重要になるのです。
ですので、カルシウムばかりを積極的に摂取しても、バランスが取れていなければしっかりと体に吸収されず、せっかくのカルシウムが無駄な状態になるばかりか、カルシウムの過剰摂取となって悪影響を及ぼしてしまう場合もあるのです。
骨をしっかりと形成するためにはカルシウムとリン、マグネシウムのバランスが重要であり、その割合は「2:1:1」、もしくは「1:1:1」の割合でそれぞれを摂取する事が望ましいとされています。このようにバランスを取りながら摂取することで、始めて骨は形成されていくのです。
カルシウム過剰と不足の症状
前項で挙げたメカニズムがあるため、カルシウムだけを過剰に摂取していても意味がないという事になります。これは、リンに関しても、マグネシウムに関しても同じことが言えます。
カルシウムが不足するとカルシウム欠乏と呼ばれる状態に陥ってしまいますが、逆にカルシウムを過剰に摂取した場合には、どのような状態になるのでしょうか。
カルシウムは体内に最も多く含まれるミネラル分ですが、過剰摂取することで本来の役目とは逆の状態を引き起こしてしまいます。カルシウムは本来、骨や歯を形成するには必要不可欠なミネラルですが、カルシウムを過剰摂取してしまうことで、嘔吐や腹痛・下痢といった症状をひきおこします。
さらには、犬の成長期に過剰摂取してしまうと、その後の成長にも悪影響が及ぶ状態を引き起こしてしまいます。
カルシウムの過剰摂取は関節にも悪影響
カルシウムの過剰摂取は、腹痛や下痢と言った症状だけにとどまりません。仮に、成長期にカルシウムばかりを過剰摂取してしまった場合には、本来であれば骨を形成するはずのカルシウムが、逆に骨格の異常を引き起こしたり、関節疾患を引き起こす場合もあるのです。
成長期は多くのカルシウムを与えたくなるものですが、ピンポイントでカルシウムばかりを与えていたのでは、関節が弱かったりと、逆に弱い体を作ることに繋がってしまうのです。
また、カルシウムの過剰摂取は尿路結石を引き起こす要因にもなります。これは尿中のカルシウム濃度が高くなることで引き起こされる結石で、食事のバランスを変えていかなければ改善することができなくなります。
必要量を把握してカルシウムを摂取する
カルシウムに限らず、極端に同じ栄養素ばかりを摂取すると、逆に体に悪影響が及ぶということがわかりました。
一方、カルシウムが不足してしまうとカルシウム欠乏を引き起こし、発育障害がみられるほか、骨がもろくなるために折れやすくなったり、精神的にも不安定・神経質となってしまいます。
この他、出産後の母犬が母乳からカルシウムを与えることになるため、自身がカルシウム不足を引き起こし、低カルシウム血症と呼ばれる症状を引き起こすこともあります。
こうしてみると、しっかりとバランスをとりながら栄養を摂取する大切さがわかりますが、はたして1日に必要となる栄養素の必要量や、カルシウムの適正量とはどのくらいの量なのでしょうか。
1日のカルシウム適正量
AAFCOの犬のカルシウムの適正量によると、1日の食事に対して下記の量を参考に摂取すると良いとされています。
【幼犬】
カルシウム 1.0〜2.5%
リン 0.8〜1.6%
カルシウムとリンの比率 1:1〜2:1
【成犬】
カルシウム 0.6〜2.5%
リン 0.5〜1.6%
カルシウムとリンの比率 1:1〜2:1
プレミアムフードを食べている場合であれば、AAFCOの基準値を参考に開発されている事も多いので、上記の数値は自然と摂取されているはずです。とはいえ、ジャーキー類等のおやつを多く食べていると、今度はリンの割合が高くなるために、カルシウムとの比率も崩れてしまうでしょう。
近年ではドッグフードの質も向上しているために、適切な量を与えていれば過剰にカルシウムの事を気にする必要はありません。カルシウム欠乏を心配するよりは、こうしたカルシウム過剰摂取や、リンの過剰摂取が懸念されます。
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バランス良く栄養を摂取できるサプリメント
カルシウムはバランス良く栄養を取ることが大事ですが、サプリメントに関してはどうでしょうか。犬用のサプリメントにも様々なものがありますが、実のところ「カルシウムのみ」含まれるサプリメントというのも珍しいのかもしれません。
というのも、前述の通り、カルシウムはリンやマグネシウムがあって、始めて吸収される栄養素ですので、サプリメントに関しても、カルシウムだけではなくリンやマグネシウムがバランス良く配合されており、サプリメントを摂取するだけでバランスの取れたカルシウム吸収が行えるものが殆どとなっています。
サプリメントは足りない栄養素を補うものですので、極端な配合はされていませんが、前述にも挙げたドッグフードとの相性や、栄養バランスをよく考慮し、本当に必要であればサプリメントで栄養を補うようにしましょう。
食べ物の栄養素を理解しておきましょう
気を付けなければいけないのが、手作り食や、プラスアルファで食材をトッピングしている場合です。
ドッグフードやサプリメントは栄養のバランスを考慮して作られているものですが、手作り食に関してはしっかりと栄養バランスを計算していなければ、偏った栄養のフードになりかねないのです。
食材にも色々な栄養素が含まれます。極端な栄養バランスに傾きかねないため、予め食材の栄養素については熟知しておく必要があるでしょう。愛犬が喜ぶからと、プラスアルファの食材を利用するのは良いことですが、愛犬の栄養バランスを崩してしまっては意味がありません。
こうして別の食べ物を利用する際には、ドッグフードの栄養素と比較し、過剰摂取にならないよう、しっかりと栄養バランスをコントロールするようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。単純にカルシウムばかりを摂取していても、意味がないと言うことがわかれば、愛犬の健康維持も適正に行えそうですね。しっかりとバランスの取れた食事をすることが、カルシウムをたくさん摂取させられることに繋がります。
適正な食事の管理と、適切な運動を行うことで、より愛犬の骨や歯も丈夫になりますので、おやつの与えすぎや偏食の場合には、しっかりと栄養バランスについて検討し、適切な食事を与えられるようにしましょう。
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