避妊手術をするかしないか。手術のリスクや様々な理由で避妊手術を躊躇してしまう場合も多いでしょう。しかし、子宮蓄膿症などの病気を予防するには、避妊手術が一番の予防策となります。今回は子宮蓄膿症と避妊手術について解説していきます。

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猫の子宮蓄膿症について

ペットを飼うと、リスクの軽減のために避妊手術をするかどうか、悩む事もあるかと思います。今回取り上げる「子宮蓄膿症」に関しては、メスの猫が発症する子宮の病気ですが、避妊手術をすることで未然に防ぐ事ができます。しかし、子供を残したい、避妊手術に抵抗があるといった方も少なくないはずです。

そこで気になるのが避妊手術によるリスクとメリットではないでしょうか。避妊手術を行うことで、子宮蓄膿症や子宮内膜炎、乳腺腫瘍(乳がん)、卵胞嚢腫といった、メス猫に起こり得る病気を軽減、もしくは予防することが最大のメリットです。一方、避妊手術を行わない場合と比べると乳腺腫瘍の確率が7倍という数字も。また、手術での麻酔が原因となる死亡率は0.11%という数字も出ているようです。

100%安全ではない避妊手術ですが、病気のリスクを考えると、避妊手術を行ったほうが予後の病気によるリスクも軽減されるため、前向きに検討してもよいかもしれません。

子宮蓄膿症の症状

メス猫特有の病気のひとつでもある子宮蓄膿症。初期の症状では水を多量に飲む事や、多尿といった症状が見られはじめます。発熱や嘔吐、下痢なども見られることも。また、子宮内に「膿」が溜まってしまうために、妊娠したようにお腹が膨れてくるのが特徴で、非常に悪臭を伴った、子宮内に溜まった膿が外陰部から排出されるようになります。

こうした状態を放置してしまうことでショック症状や急性腎不全といった病気を併発し、場合によっては命を落としてしまう結果を引き起こしてしまうのです。

子宮蓄膿症の原因とは

子宮蓄膿症の原因となるのは、子宮が細菌によって感染してしまい、炎症を起こしてしまう事で発症します。本来であれば、猫の体は妊娠しやすくするために子宮頚管が通常より開いた状態であったり、受精卵が着床しやすいように、猫の免疫力を低下させるといった状態になります。しかし、こうした体の反応は同時に、細菌に感染しやすくなる状態でもあります。

こうした状態は、発情期の後期〜妊娠中にかけて起こり、こうした時期が最も危険な時期でもあるのです。他の病気で猫の免疫力が落ちていたり、飼育している環境が不潔・不衛生な環境である場合には、さらに感染するリスクは高まるといえるでしょう。

避妊手術のタイミングについて

メス猫が細菌に感染し、子宮蓄膿症を引き起こすという原理はお分かりいただけたかと思います。では実際にこうした病気のリスクを無くすため、避妊手術を決断した場合には、いつ行うのが良いのでしょうか。

もちろん猫の体調等でも変わってきますが、推奨される避妊手術のタイミングは生後6ヶ月以内と言われています。これは、初めての発情期に関係しており、発情期がくる前に避妊手術を行った場合、2回目の発情期を迎えたタイミングで避妊手術を行うのと比べると、病気を発症する確率が大きく下がるためです。

また、発情前の避妊手術を行うことで、発情期による問題も解決することができます。特に欲求不満によるストレスの軽減も大きく、こうした病気以外のリスクの軽減も期待できるかもしれません。

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子宮蓄膿症の治療について

猫が子宮蓄膿症を発症した時の治療には、子宮を摘出する方法が取られるでしょう。また、すでに重度の症状を発症してしまっている場合には、状態を緩和するための薬剤投与が行われます。状態によっては摘出も難しい事もあり、こうした場合には症状を緩和させながらの治療となりますが、原因となる子宮・卵巣を摘出しなければ、再発のリスクも高く、予後の経過観察が重要となるでしょう。

こうした病気を完治・予防させるためには、やはり避妊手術によって子宮・卵巣の摘出が必要となり、また、早ければ早いほどに発症のリスクも減らせるため、避妊手術を考えている場合には、できるだけ早い段階での決断が重要となるでしょう。

まとめ

メス猫特有となる子宮や卵巣が原因となる病気。将来、必ず発症するかと言えば、必ずしも発症しない確率の方が高いですが、万が一、こうした病気を発症してしまう事を考えると、やはり早い段階での避妊手術が望まれます。

今回ご紹介した子宮蓄膿症に限らず、他の病気を発症することも少なからずありますので、「ゆくゆくは避妊手術を考えている」と言わず、早めの決断をするようにしましょう。年齢を重ねていくごとに、避妊手術による恩恵も受けにくくなってしまいます。
子猫を生ませたい等の理由が無ければ、将来の身を案じて、また、こうした病気以外のリスクも軽減させるため、前向きに避妊手術について考えてみてはいかがでしょうか。

また、動物病院での避妊手術の失敗も少なからず発生しています。十分に獣医師の先生と話をするようにしましょう。事前の検査も行わずに施術し、命を落としてしまった例も見られます。しっかりとした病院であれば、避妊手術前には血液検査も行い、また1週間程の期間を設けて、猫の体調が万全の状態で手術に望むはずです。こうした段取りを組まない動物病院は、少々不安が残ります。

飼い主もしっかりとした知識を持つことが大事ですので、病気に対して、更に避妊手術に対しての知識を持つようにし、しっかりと相談に乗ってもらえるような動物病院を選ぶようにしましょう。事故が起きてからでは遅いのです。自分のしっかりとした判断で、愛猫の健康を守るようにしましょう。

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